日本最古の仏像に会う
緊急事態宣言が明けて間もない頃、決して気を許してはいけないのだが、僕は無性に仏像が見たくなり、奈良を訪れる。
それは日本で最も古い仏像。西暦609年頃の作、今から1412年前から同じ位置に座り続けている、という仏像。
飛鳥寺の飛鳥大仏さま。
何という穏やかなお顔。すべてを癒してくれる笑顔。よくぞ1400年もの間残っていてくれた。感謝しかない。
両眼は飛鳥時代に造られた当時のままで、アーモンドアイと呼ばれる、アーモンドの形をした眼。
像高2.7メートルもある高さから、アーモンドの瞳にじっと見つめられて、僕はじっと佇む。橿原神宮前から一緒にバスに乗ってきたお騒がせな大阪のおばちゃんグループも、アーモンドアイの瞳に見つめられて、急にしーんと静まっていた。おばちゃんも大仏様には勝てないのね。
コロナ生活での息苦しさ、日ごろのストレス、すべて忘れさせてくれるかのような、優しい瞳だった。
僕は自宅に戻ると、興奮冷めやらぬまま、記憶をベースにスケッチブックを取る。そして1時間程度で描き上げる。
実物には到底及ばない。でも、描いている時、僕は飛鳥の仏様に癒された。なんというか、不思議な感覚だった。
きっと1400年前の人たちも、飛鳥の仏様に救いを求めたであろう。現代に生きる僕らをも癒す瞳で見つめてくれる。
とても幸せな気分になった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?