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ざわわのチカラ~ふたたび

2週ほど前の「ボクらの時代」に森山良子さんが出ていた。共演は清水ミチコさんと名取裕子さん。森山さんと清水さんが仲がいいのは知っていたが、名取裕子さんもそのお仲間だった。

名取さんがもう66歳とは感慨深い。私は1977年のTBSポーラテレビ小説「おゆき」で彼女を初めて見た。読売新聞編集部のゴミを片付け、風呂に浸かった後、事務所のテレビで8時10分から始まるそのドラマをよく観ていた。兄役の前田吟に向かって「兄やん!」と叫ぶ二十歳の裕子さんはとても可愛らしかった。

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私の敬愛する森山良子さんは御年75歳。半年ほど前にも私は彼女のことを書いた ( ⇩ )。良子さんがゲストで登場した「鶴瓶の家族に乾杯」で見せた "強烈なヒキ" についての一編。私はその類まれなる人間力を "ざわわのチカラ" と命名した。放映直後に東海市で開かれた良子さんのコンサートに夫婦で出掛け、そのチカラの恩恵に預かることができた(気がする)。

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そして今回の「ボクらの時代」。3人の会話は淀みなくとても心地好いものだった。3人が3人とも話し上手であり聞き上手なのだ。最年長の良子さんがネタをふり、自然な感じで他の二人に発言を促す。

齢を取ると会話力は明らかに低下する。私の周囲での同世代同士の会話は、どこか嚙み合わなくなっている。現役を退いて会話の機会が減ったことは一因だろうが、脳のある部分の衰えによって自制が効かなくなったことが主要因だと私は考える。ちょっと大袈裟に表現すると‥ 「思いついたことは全部言いたい、止められない」「全体の流れなんか気にしない」「他人の話は聞きたくない、興味ない」という感じ。また読解力の低下も否めない。
これは批判ではない。最近私が感じたところを自戒を込めて書いている。

話を戻す。森山さん、清水さん、名取さんの会話は、前向きな内容で落ち着きがあって、とても気持ちの良いものだった。全く衰えを知らない。むしろ円熟増し増し。3人には遠く及ばない私だが、会話の際の話し方、聞き方、その時の表情や顔の向き・視線には努めて留意したいと思わされた。今後職場や飲み会で試してみるつもり。大事な老化防止策と心する。

良子さんは「まわりにイヤな人がいない」と言う。ミチコさんは「すぐに5人言える」と返す。さすが清水ミチコ、でもそれが普通だと思う。
娘婿の「おぎやはぎ」小木さんについて良子さんは「ウソのない人」「嫌な思いをしたことがない」「一番頼りにしている」とベタ褒め。
直太朗のお嫁ちゃんからも「大事にしてくれてうれしい」そうだ。

とにかく良子さんはいつも明るくて前向きだ。
番組の後半の会話を採録してみる。

森山良子:みんな、それぞれ年輪を経て、楽しみっていうか、ね。
清水ミチコ:そうですね。確かに、年とったほうが生きてて楽しい。
若いころはやっぱり、すぐ傷つくよね。今から考えたら、なんであんなちっちゃいことに悩んでたんだろうっていうようなことも多かったし。
名取裕子:いろいろあるんだけど、やっぱり、引きずっちゃうとね。
森山:私も一時、あったわね。80年代くらいに音楽が全部変わっていって、電気系統になっていったころに「ああ、私の音楽はもう必要じゃなくなった時代になってきたな。しかし、ほかのことできないし」みたいな。そういう意味では、常に新しいものを聞いていたいし、積極的に新しい人たちの音楽を…あ、取り入れるんじゃなくてね。感覚の中で知っていたいから、面白がりたいっていうか。あとはもう、自分の伸びしろがどのくらいあるかを、最後の伸びしろまでやってみようかなっていう感じですね。
名取:良子姉さんみたいに、常に前向きで、常に楽しみながらすてきに年を重ねて、こういうふうな年を重ね方ってあるんだよなっていうのを、道しるべにして、ついていきたい。
清水:ついていきます!

三人とも前向きだし、ふっ切れてるよなぁ。

女性のほうが "老い" を受け入れ、楽しみを見つけているのは間違いない。
女性は家庭や仕事の束縛から解放されると弾けるようだ。
男性は違う。男性は束縛から解放されると迷う。
私は未だに少し迷っているし、"老い" を受け入れ切れない自分がいる。 
うん⁈ そんなのオレだけなのかも??

< 了 >


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