感じる 季節、楽しい を見つけに
「きざし」と「盛り」
夏の「きざし」、立夏。
「盛り」に向けた夏支度を。
こんにちは、絵本作家のまつしたゆうりです。
新緑がキラキラ眩しく、お天気も良く。外に出て、この気持ちよさを体いっぱい味わいたい季節になりました。
まだ春気分が抜けませんが、5月頭(旧暦4月)から「立夏」。夏の気配が立ち始める時期なんです…!
この「きざしが見え始める」時は、もう次のステージに移っているということで、「ああ、すっかり変わったなあ」という頃はすでに盛りだったり。
お日様で例えてみます。
日の出が「きざし」だとすると、今日は始まってますよね? で、お昼になったなあという頃は「盛り」と考えると、分かりやすいかなと。
なので、盛りになってから「よし!」と動いたのではちょっと遅い。気付いたらもう夕方なんて寂しすぎますよね。
めいっぱい遊ぶには、朝早くから出かけると良いように、いつもの夏より「盛り」を満喫するため、「きざし」の頃から少しずつ動いてみたいところ。
今年の立夏は5月5日、一足早い夏支度をそろそろ始めてみませんか。
夏の体を整える
内側を冷やすのは逆効果!
優しく冷やす、夏野菜を。
夏は五行で言うと「火」だそう。(メラメラ暑い季節にぴったりのイメージ!)
でも、過度の熱は体にダメージが…。冷やすためにと冷たい物を摂りがちですが、直接胃に入れてしまうと内臓が一気に冷え冷えに!
それを温めるため余分な体力を使うので、夏バテして食べれなくなったり、秋口の体調にも響いてきたりも…。(特に、秋口の抜け毛がめっちゃ減るので、氷系&アイスをやめてみるのオススメです。)
そこで適度な“冷え”のため、取り入れたいのが夏野菜。
トマト、キュウリ、ナス、瓜、ゴーヤ…
どれも体の熱を逃してくれる「涼」や「寒」性の食べ物たち。
加熱して食すことで、そっと優しく夏仕様の体を作ってくれるそう。できれば内側は適温を保ち、外側を適度に冷やす方が体に負担が少なそうだな、と年々感じています。
(同じものを続けて食べたり、冷えが酷い人は食べ過ぎしないように&温性や熱性の食べ物と合わせて摂ってみる方がいいかと。)
《オススメ養生本》↓
目にも愛らしい天然のお薬
適度な汗を味方に。
汗疹予防には自家製チンキを。
そして外側を冷やせるもののひとつが「汗」。汗腺を働かせ、気化熱による冷えを活用するのも、夏の体の使い方のひとつ。
けれど、汗をかきすぎるとこれも体に負担をかけたり、ちょっと油断すると汗疹になったりも…。
私は2年前の夏に初めて汗疹だらけになり、皮膚科で処方されたお薬でやっと治りました。
でも、「あんまりお薬は使いたくないなあ」と思っていたところ、昨夏に使ってみて良かったのが桃の葉のチンキ。
「プツプツしそうだな」というところにシュシュッとスプレーするだけでスーッと治まり、結果、お薬なしで過ごせました。
桃の木を育てておくだけで、薬局や病院に行かなくても済むなんて、なんと経済的! しかも春には綺麗な花、上手く行けば秋には実も付けてくれます。
体に合う合わないはあると思うので、使う前に目立たないところで少量、試してみてくださいね。
【作り方】
・桃の葉を5〜10枚ほどきれいに洗って乾かす
・煮沸消毒した瓶にウォッカと一緒に入れる
・1週間ほどで完成(スプレーボトルに入れて使用)
夏を告げる鳥
夏限定で来日するホトトギス。
海外の人気アーティスト的な存在?!
立夏のおはなしをもうひとつ。
『万葉集』では「立夏にホトトギスが来て鳴く」という歌がたくさんあり、「夏を告げる渡り鳥」として待ち望まれていたよう。
「夏限定で来日する海外の歌手」って感じですよね!
初鳴きの日は、まさにライブ初日。テンション上げ上げで、前夜からスタンバってた様子も残ってます。
常人も 起きつつ聞くぞ 霍公鳥
この暁に 来鳴く初声
(つねひとも おきつつきくぞ ほととぎす
このあかつきに きなくはつごえ)
《訳》みんな起きながら聴いているはず…!
ホトトギスがこの夜明けに来て鳴く初声を♪
夜明けとともに配信される生ライブを「同じように寝ずに待ってる人がいるんだろうなあ〜」とわくわくしている感じ、とっても共感します!
こういう姿を見ると、「昔も今も変わらないなあ」と、ほっとするような、なんだか不思議な安堵と親近感。日々の何気ない喜びも「大切にしていいんだな」と全肯定したくなります。
ホトトギスって、姿をイメージできます?
ホトトギスを推しまくった大伴家持
庶民感覚あふれる万葉集は、古のSNSみたい
先の歌の作者、大伴家持こと“もっちゃん”は(気付いたら付けてしまっていたニックネーム。「やかもち」→「やかもっちゃん」→「もっちゃん」に)
万葉集を編纂したと言われてる人なんですが、ホトトギスを偏愛しすぎてる感が面白すぎて「ライクの最上級の好き」で推してる歌人の1人です。
ホトトギスといえば、
「鳴かぬなら 殺してしまえ ホトトギス」
の歌群で有名ですが、パッと姿をイメージ出来る人って結構少ないんじゃないでしょうか。
「茶色っぽくて、小鳥っぽい形の…?」と思ったそこのあなた!
それはたぶん、きっと「ウグイス」です。
ホトトギスはこちら↓
ほぅら、全然イメージと違ったでしょう(笑)。私も最初びっくりしました。
そして声も、そんなテンション上がる感じじゃないんです…!
擬音にするなら「キョッキョッキョッ キョキョキョ」。しかもマイナー調で、語尾が下がっていくので、どことなく悲しげ。
「え? これですか? そこまでして聴きたかったの、これですか?!」と再々確認したくなります。万葉集で一番詠まれていた鳥ということもあり、時代を下ったら殿堂入りの大御所アーティスト的な存在になっていたのでしょうか…。
しかし。
この万葉集のホトトギス歌数を激上げしているのが、先程の“もっちゃん”。全体の5分の2は彼作なんです(笑)
もはや、CDを買いまくって推しのアイドルをセンターにしちゃったファンみたいだなと思うと、物凄〜く身近に感じませんか?
万葉集にハマったきっかけは、この「今と変わらなさ」や「庶民感」だったりするので、奈良時代のSNSだと思って(笑)、もっと皆に気軽に楽しんでもらえたらな〜と、ゆるっと活動をしています。
(好きな歌手を話すように、歌人の話をしたい!)
■書籍『よみたい万葉集』
“もっちゃん”のホトトギス話をまとめた「万葉新聞鳥号」や「これ夏痩せにいいよ」とか「草エクステしてる?」などなど万葉暮らしが覗ける歌満載の共書『よみたい万葉集』(第5刷!)、サイト内でパラパラ見ができます。
(オーダーで花入れできるサイン本、ウェブショップにて販売中*)
■インスタライブ「歌と古典のおはなし」
『万葉集』の季節の歌や万葉小ネタ話、オススメ昔話もお話しています。(無料で聴いていただけます)
※4月24日(土)AM11:00~、立夏の歌をお話します。
https://www.instagram.com/tv/CNMATjDFzBL/?igshid=jzxjvykyesov
「好き」が繋がり…
立夏ならではの「ホトトギスコーデ」
“もっちゃん”の歌から生まれた京焼の帯留め。
“もっちゃん”のおかげで、私もすっかりホトトギスが気になり「ホトトギス帯留めが欲しい!」とつぶやいたところ(めちゃくちゃ検索したけどどこにも売ってなかった)、お友達の京焼の作家さんが作ってくれました…!(感・激!)
立夏はこの「ホトトギスコーデ」を纏って、“もっちゃん”の歌を思い出し、夏の到来をうきうきお迎えするのを毎年恒例の楽しみにしています。
ホトトギス帯留め&ブローチ、オーダーできます~*
季節の歌をテーマにした着物語コーデはInstagram(プライベート)にて↓
2021年4月17日 春霞コーデ
https://www.instagram.com/p/CJQhg_OsmeT/?igshid=v1rpkmv6ox5e
こんな風に物凄くマニアックな「好き」が時や場所、人をこえて繋がっていくのって、面白いし楽しいなあって思うんです。
楽しいの先へ
誰かの「苦手」=誰かの「楽しい」
ならば、みんなで「楽しい」を伸ばそう
『論語』で好きな一説があります。
「それを知っている人」は
「それを好きな人」に及ばない。
「それを好きな人」は
「それを楽しむ人」に及ばない。
これはすっごく心当たりがあって、今までを思い出しても頑張ったことより楽しんだことの方が、遥かに自分の予想を超えて、次の“楽しい”に繋がってきたな〜と、ひしひし感じています。
頑張ることは無理をしていること。
無理をしていることは続かない。
頑張った先に得られるものもたくさんあるし、頑張ることが必要な場所もある。でもできれば、向いてないことは向いてる人に任せて、楽しいと思える得意なことを伸ばす方が、自分もまわりもたくさん幸せになれるんじゃないかなあと、この頃すっごく思うんです。
「自分の簡単で楽しく出来ること」は「誰かの苦手」だったりする。
その逆もしかり、ですよね。
あなたの一等「楽しい」は何ですか?
きっと誰かの役に立つ、幸せに&笑顔にできるものが、そこに隠れているように思います。
最後にひとつ。どなただったか、先程の論語の一説に、もう一文付け加えられていたのがこちら。
「それを楽しむ人」は
「それを面白がる人」に及ばない。
確かに!!
「楽しい」を超えた先の「面白い」に、今日もあなたの心が繋がっていきますよう。
【まつしたゆうり・プロフィール】
絵本作家・イラストレーター。
「心をつなぐ、扉を描く」ことを大切に、ここではないどこかへ、心をつなげる絵を描いています。
滋賀出身、大阪在住。大阪芸術大学デザイン学科卒。
植物と日々着物暮らし、鳥は愛でるのも食べるのも好き。
2021年【出版予定】
● 絵本『イナバのしろうさぎ』(よはく舎)
古事記に登場する物語を、新しい視点と解釈で描きます。
● 書籍『大伴家持くんの本』(河出書房新社)
万葉集の面白さ家持くんの良さを、ゆるっと楽しくお届けします。
古典文学を今の感覚で、分かりやすく楽しく伝える活動も。
▶共著『よみたい万葉集』(第5刷)
▶インスタライブ「歌と古典のおはなし」毎週土曜AM11:00〜
(アーカイブはインスタアカウントから無料で観れます)yuuli_illust
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