民主主義の再構築
内田樹の研究室、コロナ以後の世界に関する記事を読んだ。民主主義を否定する者たちが現れた時、立ち向かうべきという主張で展開された論だった。
内田氏の意見に概ね賛成だが、現状の民主主義が今後も機能するとは考えにくい。民主主義の再構築が必要だろう。
現代社会は、個人の多様化を認めてきた。特に昨今は個性の発揮を半ば強制しているような時代になってきていると思う。多様化を認めるということは、個々人の生きやすさを広げているという意味で、大いに賛成だ。
しかし、それによる弊害もあるのではないか。それは、個人主義を過分に認めることで、人と人との共通項が減っていくということだ。
民主主義は各人の合意形成の繰り返しにより発展する。ここに、個人主義の主義主張が拡張すれば、合意は先細りし、民主主義の土台は脆弱になるのではないか。
つまり、各人が思いの丈をぶちまけるだけに終わり、合意は形成されず、反目だけが残るという最悪の事態も有り得る。
将来を悲観しすぎた意見とも取れるが、最悪を想定しなければ、最善手は立案されない。
であるならば、我々は異なる意見を持つ勢力に対してある種の妥協をする必要がある。そして、その妥協は個々人ではなし得ず、何らかの第三者の仲介を必要とする。この第三者はこれまで政府が担ってきた。
しかし、日本の民主主義はこの政府を放任し、貴族化してしまった。それも利権に目敏い貴族に成長させてしまった。
だからこそ、我々はこの民主主義を再構築しなければならない。もはや、異なる意見をもつn対nが同意も作れない構図になってしまいつつある世の中で、妥協もやむなしと思えるような采配をする第三者が中核をなす民主主義を考える必要があるのではないだろうか。
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