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得意分野に集中することが成果獲得の近道

どの役割りにおいてもその分野でもっとも得意な領域に集中することで成果を上げやすくなる、という話

先日、同じ川崎市内の同業他社が2社廃業した。

理由は噂レベルでしか耳にしていないが、経営者が高齢でも後継者がいなかったというものと、そもそも売上げがここ数年振るわなかったためということらしい。

その内の1社に関しては以前ご相談も受けており、その際のアドバイスもかなわずこの度の廃業という選択に至ったことはとても残念である。

今回の廃業話にかぎらず、長年にわたり零細企業を営んでいると時代の変化に対応できず、売上げが以前の半分以下にまで落ち込み、起死回生の手を打とうにもどうしていいかわからないといった話はそこらじゅうで聞く話なのだ。

これは時代の変化による企業淘汰という簡単な話なのだろうか。変化に対応できない企業は価値のないものとされ、淘汰されるのは自然の摂理と論じる風潮はあるが、技術や人材、経験値などの財産を持ち合わせていても、零細企業のリソースでは限界があるケースが多々あると思うのだ。

私の界隈でも素晴らしい技術などのリソースがあっても経営の方は芳しくない、従業員を食わしていくのがやっとという企業は多い。リソースを活かしきれない経営者の手腕が足りないと言えばそれまでのなのだが、零細企業の経営者の多くは元々がプレイヤーであり、そこから経営者に格上げになったか、現在もプレイヤー兼経営者なんてことは往々にしてある。

気持ちや視点の軸はプレイヤー、つまり職人や作業員という立場と変わらず、技術や現場経験に対しての仕事は一流に値するが、経営のこととなると苦手意識が先行してしまうようだ。

職人気質の経営者に今更マーケティングやらポジショニングやらと唱えたところで身動きがとれるわけもなく、年々減少する売上げを見て、できることといえば銀行から延命の為の融資を申し込むくらいのことくらいだろう。

そうした一流の技術を持つ零細企業が経営の複雑さから廃業に追い込まれてしまうのは毎度残念な気持ちになる。市場の原理原則を熟知した金儲けの上手いヤツだけが生き残る社会もどうかと思うからだ。

私個人の意見ではあるが、そうした職人気質の経営者には愚直に技術の探求を進めてもらいたい。売上げに直結する経営のあれこれが苦手なら、そこは一部外注してもいいのではないかとさえ思うのだ。

会社にとって大事な根幹である経営の全てを外注するということではなく、経営者としてのマインドを持ちつつ外注先の力を借りるということだ。集客や市場の開拓、アプローチの方法にいたるまで、今ではその分野に特化した専門家が多数存在する。

企業としてのアイデンティティは誇示しつつ、テクニックの部分を細分化して専門家に任せることで、自身にとっての専門分野であるカテゴリーに集中することが可能になる。そこで培った経験や成果こそが社会に還元できる価値、すなわち商品となる。その商品をどのようにして顧客に提供するかを考えるフェーズはその分野に特化した専門家と考えていけばいいのだ。

あれもこれもと経営者が役割りを背負いこんでしまうと、ひとつの役割りの精度が低くなり、どれも中途半端になるか、ひどい場合は実行されずに放置されてしまう事態になる。

であるならば、各専門家と協議の上、会社を向上させるというゴールに向かう目標だけ共有し、自身も含めたやれることを全力でやってしまう方が効率も成果率も上がると思うのだ。

私も含めて零細企業の経営者にそんなマルチな才能に恵まれている人間はいない。だからこそ「これなら自分が一番成果を上げられる」という分野以外はその他の得意な人の力を借りるべきなのだ。

とはいえ、年齢の問題もあるだろうし、そのような柔軟な対応ができない経営者も多い。淘汰される時期はしばらく続きそうだが、素晴らしい資産を持ち合わせている企業が日の目を見ないで倒産してしまうのは、やはり気持ちのいいものではない。

経営者の仕事は会社の価値をどう社会に還元できるかを考えることだ。その還元の方法は各専門家と考えればいい

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