フェーズによって重要なエネルギーは変わる
会社の状況によって今どこに集中すればいいかを考える、という話
起業から成長期のように、0から1を作り出すフェーズから成長期から安定期に需要な役割が変わっていくように、すでに小さな会社を経営していて業績が悪い、崖っぷちに立っている、など会社の状況によって集中しなくてはいけない役割は様々だ。
今の状況に合わせて見なければいけないところを間違うと瞬く間に会社の寿命は尽きてしまう。
私が会社を引き継いだ頃は0から1どころかマイナス時点からのスタートだったのでまずは現状把握から無駄なものを省く作業をスピード感をもって実行しなければならなかった。
無駄なコスト。無用なリースや利益を生まない無駄な広告費(載せっぱなしの広告やつきあいで出している媒体)、不良在庫や長期不動在庫の倉庫の賃料など、改めて書き出してみると重荷になっているコストは思っている以上にあるかと思う。その一つ一つを早期に解約や処分、または安価なものや効果があるものにスイッチすることで年間の無駄な経費の流出が随分とおさえられるはずだ。手術に例えると止血が止まっていない状況で患部にメスを入れる医者はいないと思う。まずは止血が先決ということだ。
このとき気を付けたいのは会社のモチベーションが落ちてしまう人件費や設備等の経費に関しては慎重に行う必要がある。とくに人件費に関しては法外な役員報酬やボーナスの支給でなければ削ってしまうことで従業員のやる気が損なわれてしまうので注意しよう。真っ先に削る人件費は社長の役員報酬と考えた方がいい(私もしばらくの間役員報酬は今の半分以下に設定していた)
無駄なコストの流出を食い止めたら次は売り上げの向上に着手する。まずは売り上げが立たないことには始まらない。このフェーズでは新しいことに挑戦するのもいいが、手元資金が少ない場合は既存客に営業をかけるのが一番効率もよく、コストもかからない。会社の売り上げの上位ランクから中位ランクへ絞って接触頻度を上げて訪問したい。並行して元手のかからない方法で新規顧客を狙うのも悪くない。ここでは既存顧客上位ランクの客層を意識して自社のサービスを認知してもらうような広告を打ち続けると少しずつ効果が出てくると思う。痛手にならないFAXDMやポスティング、地域のフリーペーパーなどのアナログ媒体もまだまだあなどることのできない集客方法だ。
いよいよ売り上げが上がってくると今度は人で足りなくなってくる。今度は求人や外注先などのアウトソーシングできる協力者をうまく使い上昇気流に乗り遅れないようにこころがける。
と、ここまで勢いよく書いてみたがそれぞれのフェーズで考えることは全く違ってくる。経営者として必要なのは変化への迅速かつ柔軟な対応と、何より実行力ではないかと思う。立ち止まっている暇など全くない。自分でもどこまでできているか甚だあやしいが、やれることがあるということはまだまだ成長する可能性があるということだ。
それぞれのフェーズで頭を切り替えて集中していきたい。一つ一つのフェーズに役立つ知識はそれぞれあるが、マーケティング、ターゲティング、市場調査などの本は一通り読んでおいた方がいい。その他にランチャスター戦略、孫子の兵法、ドラッカーなどの関連本も抑えておくと長期的に役に立つと思う。
そして何よりエネルギーを確保するために十分な休息は一番最初に時間配分から天引きしておこう。ハードワークは必要だが倒れてしまっては元も子もない。十分な英気を養い、的確なフェーズに集中投下していくことで会社が息を吹き返していく。
経営は長期戦、息切れしないペース配分で少しずつ育てていこう。
弱った会社に施す治療はフェーズよって違う。状況を俯瞰して捉えて適切な処置を施してやろう。