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仕事できる風なできない人

人間関係で重要なことのひとつが相手の目線になれているか、顧客との関係もこの意識が薄いと残念な結果になる、という話

去年末からスマホの調子が悪く、そろそろ機種変更の時期かなと考えていた。契約内容の変更などもお願いしたかったのでネットで来店予約と変更する機種の仮予約をを済ませ、後日店舗に伺った。

店舗につきほどなくして席に案内された。奥からあらわれた各スタッフにテキパキと指示を出す店舗のリーダー的な男性が接客してくれた。

要件と仮予約した機種を伝える、すると仮予約したはずの機種のカラーが欠品中だという。そこで指定した色が入荷するまでにはかなり納期がかかるという説明を受けたので在庫のある他の色を購入した。

そこから怒涛の料金プランの説明が始まるのである。

以前から携帯電話の料金プランの複雑さが苦手であったが、流れるようなセールストークをある程度注意しながら聞き流していくといくつかのトラップに気がつくのである。

代表的なものが、あらかじめ初月だけ設定しておくと数千円分のポイントがつくというもので、必要がなければ1ヶ月後に外していただいて結構です、というプラン。

設定すれば当然料金は発生し、月々数百円から数千円の必要ない費用が継続的に引かれていく。1ヶ月後にわざわざ設定を解除する人間は極めて少ないところから、初月の数千円のポイントをエサに設定を促すというプラン。この手のものが細々と存在し、店員の言うとおりにお願いするとたちまち料金体系が必要のないサブスクリプションだらけになってしまう。

その類のプランはすべてお断りしたが、ご年配の方々はこの残念なセールストークに促され、毎月無駄なお金を吸い取られている人が多いのだろう。

そして、このリーダー的な店員、相当取り扱い商品やサービス内容に詳しいのか、ひっきりなしに他のスタッフが指示を仰ぎに来るのだ。その都度煙たい顔しながらも指示を出し、テキパキ感を醸し出していた。

しかしだ、電話対応の指示を仰ぎに来た店員に「あとでかけ直すから待たせとけ」のひとこと。せめてこちらに聞こえないように配慮してほしかったのだが、こちらを振り返り、笑顔でセールストークを再開するところ、あまり気にかけていない様子であった。

その他にもツッコミどころは多々あったのだが、総合的に言えるのはこの職場では頼りになる存在かもしれないが、自身の対応の悦に入りすぎて顧客のことをまったく考えてくれていない、というところ。

一見仕事ができる風なのだが、びっくりするくらい不快にさせてくれるのである。

最後に極めつけだったのが、「数日後、本日の対応に関するアンケートがショートメールでスマートフォンに届くのでご協力いただけると幸いです」そしてこう続けた。

「付け加えて言うと、僕、すごい欲しがりなんで高評価をいただけるとありがたいです」

あまりの図々しさに一瞬言葉を失った。欲しがりかどうかなどこちらの知ったこっちゃない。この接客の最中、一度でもこちらの心中を考える瞬間はあったのか、聞きたいくらいであった。

後日届いたショートメールはすぐに削除したが、あの店員が自身の振る舞いの至らなさに気づくのはしばらく先になるのかもしれない。

自身の言いたいことを言うのでない。売りたいものを売るのではない。顧客の言葉を聞き、顧客の欲しいものを提供するのである。