ビジネスシーンでも「北風と太陽」の心理はあるよなぁ、と思ったこと
顧客の気持ちをつかむ際にどういったアプローチが有効か。テクニックや方法論だけでは透けて見えてしまう、という話
昨日の投稿でも書いたが、現在絶賛買い物中である。
というより、検討中と表現した方が正確かもしれない。
高額な買い物のため、情報を集めてはあれこれ希望の条件と照らし合わせている最中なのである。
そして今回の買い物にかんして2人の立場の違った担当者がついているのだが、その2人が実に対照的でビジネス目線で見ると大変興味深いのだ。
この2人、立場は違えどゴールは同じ、要は最終的に私が今回の買い物にオッケーを出すか否かという共通項があるのだが、アプローチの仕方が全く違うのだ。
1人は話を進めるにあたり、先回りして必要書類を用意してはいつでも購入できるようにと準備を勧める。
「いつまでに決めた方がいいですよ」とか「他にも引き合いが出ています、他の方に決まってしまうかもしれません」などと熱心に連絡をいただく。
一方の方は「大きな買い物ですからじっくりと考えてください」と言い、決める際のポイントとしていくつかアドバイスをくださった。
しかも自身にとっては不利になるようなネガティブな要素まで包み隠さずに。
ここまでのいきさつで私にはある思いが芽生えたのである。
この2人が意識しているかどうかはわからないが、1人は自身の都合、1人は私に寄り添っているように思ったのだ。
確かに期日までに購入しないと不利益になるかも入れないし、他に取られてしまうかもしれない。しかしながら、そこに私の気持ちは汲まれていない。
うがった見方をすれば、その辺のことは物は言いようで真実かどうかは私には知る由もない。噓を言っているかということではなく「私がどうしたいか」という気持ちが置いてけぼりなのだ。
そのまま話を鵜吞みにするとそちらのペースに巻き込まれてしまい、自分の気持ちがどうのという前に「損しないように」とか「誰かに取られないように」という心理を優先してしまい購入後、その判断基準が正しかったかというモヤモヤが残るのだと思う。
顧客は適度に悩みたいのだ。
そして度々noteにも記しているがその思索の期間は「失敗したくない」、「この選択で間違いない」という納得感をはら落ちさせるためにある。
あまりに悩み、その期間をいたずらに伸ばすのはいかがなものかと個人的には思うが、購買意欲が折れそうになるところ、上手い営業マンなら絶妙なタイミングで添え木のようなアドバイスを与えてくれる。
今回、アドバイスをくださった方はまさにそんな話の進め方で、完全にこちらの目線でペースを合わせては時折り後悔しないようにと知恵をくださるのだ。
今回の買い物が頓挫したとしても、次回同じような機会を得た際には間違いなく一番最初に指名するのはこの方になるだろう。
顧客の立場においての洞察でまたしても得るものがあった。
目の前のものを売ることに必死になるより、顧客の信頼を得るために注力する。
どれだけ当事者意識をもって相手に寄り添えるか、ということの徹底で顧客の気持ちは鷲掴みにされる。
商品を売るということは一旦忘れて、顧客の何を解消して差し上げるかということに向き合うことで「信頼からの想起」という名誉な指名枠をいただけるのである。
今回も学びのある場面であったが、買い物にかんしてはいい方向に進むことを願うばかりである。
自分本位な風を吹き付けるのではなく、包み込むような日差しを与えて自然に顧客の心の上着を脱がせてやるように心がける