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【10年目】年度末ともうひとつの区切り

自分の中でいくつかある節目に対し、何を考え今後につなげていくか。そして10年というスパンは過ぎてみれば短い、という話

7月に入り、私のスマホのリマインダーには年設定されている「祖父の墓参り」が表示されるようになった。

祖父とはわたしの父方の祖父であり、私の商売の先々代にあたる人物である。寡黙で職人気質だったが、下戸で質素な生活を好んだせいか96歳まで入院など一度も経験せず人生を全うした。



なぜ7月のリマインダーにわざわざ墓参りなのかといえば、7月は登記上わたしが父から会社の代表を引き継いだ月であり、引き継いだ翌年から毎年7月には「ことしもなんとかなりました」と報告するために足を運んでいるのだ。

とはいえ、はじめの5年目あたりまでは、墓石の前で手を合わせては「なんとかしてください」と懇願したり「正直もうダメかもしれません」といった弱音を心の中でつぶやいていたことの方が多かったかもしれない。



そして当たり前の話なのだが、いくら墓参りをしても、神頼みをしても状況が一遍することはないし、父のように毎度真剣な気持ちで宝くじを購入したところで奇跡など起こらないということを理解するのだ。

そうなると遠回りだろうが壁が高かろうが目の前の処理できそうな問題に粛々と取り組むほかなく、そうやって地道に地味な作業に取り組んでいるうちにしぜんと力がついてくることも知った。



よって、墓参りも6年目あたりからようやく本心から「ありがとうございます、なんとかやっています」という心境になっていくが、それまでは何度も心が折れそうになったし、環境のせいにして逃げたくなったのも一度や二度ではなかった。

そんな商売人としての生活も10年目となるが、墓参りをはじめた当時の自分に声をかけるなら「ドラマや映画のような奇跡は起こらない。愚直に取り組んでも成果が出るまで5年はかかると覚悟すべし」と伝えてやりたい。



経営者になりたての頃は、こんな状況が何年続くのか、と長いトンネルの見えない出口に嘆いていたが、過ぎてみれば9年はあっという間だったし、悲観するほどのことではないと思うのだ。

現状でこのまま今期を終えれば、会社を引き継いだ当初の2倍の売上高となる。当時より負債は軽くなり、利益率も上がっているのでそれ以上の成果を実感している。



はじめて7月に墓参りした頃はここまで回復できるとは思っていなかったが千里の道も一歩から、地道な取り組みでしか本質的な成果はなしえない、というのがこの9年で得た最大の学びである。

自身のもうけた区切りにより、ふりかえりを実行すると新たな気づきがある


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