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利益の獲得にこだわるから商売の質が維持される

自社の仕事に自信がない、またはあまり利益について考えないと安易な値下げによる対応を常態化させてしまう、という話

弊社との取引きがもう数年となる元請業者がいる。年間にしてある程度の件数を発注していただけることもあり、お付き合いを継続しているのだが、ある点において少し問題視している。

そのある点というのは値引き要請の頻度。案件によってどうしても予算が合わずお願いされるのならまだしも、その業者の頻度ときたらほぼ毎回である。事前にお見積りを提出している金額から平均して10~15%前後の値引き要請となるため、困ったものだと呆れている。

こう毎回のように値引きの要請があると、ダメ元でお願いして値引きしてもらえたらラッキーとでも思っているのか、おそらく弊社以外の業者においても同じような措置を取っていると思われる。

その措置とは、この業者からの値引き要請を考慮して、はじめから少し高めのお見積りを提出する、というものだ。結局のところプラマイゼロとなる茶番のような話だが、あまりにも頻度高く値引きの要請をしてくる元請業者の扱いは必然的にこうなってしまうのである。

しかも、信頼度は毀損され、ブラックリストとまではいわないが、下請業者に適正な利益を提供する努力を怠る業者として、優先度が低くなってしまうのだ。

逆に下請業者にも、すぐに値引きでの対応をしてしまう会社がよく見受けられるが、利益の根拠を考えたとき、簡単に値引きができるくらいなら、はじめからもっと低い金額で提示しているわけであるからして、まともな会社が見積りを提示する際は、適正な利益を上乗せして提示する。

その適正な金額に対し簡単に「もう少し安くしろ」というのは受け取り側の傲慢で、ケースバイケースにより、致し方ない場合ならまだしも、大した理由もなく買いたたく姿勢というのは、長い目で見て下請業者の首を絞めていることに変わりはない。

気が弱く、自信のない下請業者や、値引きに慣れてしまい、利益のことをあまり深く考えないようになってしまった下請業者については同罪かと思うが、質の高い仕事を維持するには適正な利益が必要なのはどこの会社も同じだと思うのだ。

売上げから原価を引いた利益には、どれだけ顧客に対しての価値を考えたかの熱量も含まれており、その意図を組まず、こちらの経営資源が乏しくなることを考慮していただけないのなら、それは相互関係においてバランスが崩れている状態であるゆえ、顧客として認識されなく恐れが出てくる。

仕事を依頼したことでマウントを取り、言うことを聞け、という態度の方が時々いらっしゃるが、弊社にとってそのような方は顧客としてみなさないという私的な判断基準から、お仕事やお取引きをお断りさせていただくケースも少なくない。

今回例に挙げた元請業者はそこまでではないが、仕事をする側がどんな気持ちで取り組んでいるか考えないと、あるときバッサリと関係を断ち切られる可能性は十分にある。

それほど会社にとって利益とは重要なものなのだ。仕事を依頼する側も、受ける側もその辺を考慮して日々の商売に向き合った方がいい。仕事の質も信頼も利益が途絶えれば失ってしまうのだから。

会社の血液ともなる利益について考えないということは、倒産に方向を転換するという意味である


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