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【ダメ。ゼッタイ!】商売においての薄利という「麻薬」

商売のあり方として、値引きや安価な価格設定で集客をうながす方法は、はじめのうちこそ有効だが、長くは続かないと心得る、という話

4月に入り、業界では国や自治体が実施する断熱リフォームによる補助金事業がスタートした。

ここ数年、事業名や内容の変化を経て同じような補助金事業が継続されているのだが、本年度は補助額は大きいということから、スタート前から業界では鼻息のあらさを感じていた。



あるリフォーム会社の広告では、製品代価をギリギリに設定し、多くの集客をうながすアナウンスを盛大に始めていた。

おそらくこのような先行組に追随して、各事業者の価格競争が激化する見通し。そうなると何が起こるかといえば「薄利の大戦争」である。



「あちらがその価格はなら、ウチはさらに安く」と利益を削り、その分、案件数を多くとることで売上げを伸ばすということなのだが、こうした市場において一人勝ちするのは言わずもがな大きな会社となる。

その資本力で事前に大量の商品を購入することをメーカーに交渉し、破格の仕入価格により、大量にさばくもそれなりの利益が確保できるという単純な戦略である。



資本力のない小さい会社が太刀打ちできるわけはないのだが、大きな会社が提示する価格と競争するように、更にさ安く売ることで売上げを上げる努力をしてしまう。

同じ売上げでも仕入れ価格が違うのだ。適正利益を確保できる大きな会社に対し、仕入値同然の薄利で躍起になる小さな会社は疲弊こそすれ、おそらく利益はほとんど残らないと想像する。



私も以前、利益率のことをまったく意識せず商売を行っていた時期があるので気持ちはわかるのだが、どんなに儲からずとも会社が忙しく動いていることに安心感をおぼえてしまう。

商売において、値引きや薄利の価格設定とは麻薬のようなもので、安心感を得たいがために会社にとって不利益なことを薄々感じながらも手を出してしまうものなのだ。



飛びつく客に「お客様に喜んでもらえている」といった間違った感覚を覚えてしまい、さらなる儲けを削れないものかと負の企業努力に邁進してしまう。

客が飛びついたのは、会社の価値にではない。安い商品やサービスにである。さらに安い会社があれば当然のことながらそちらに飛びつくのだ。



であるからして、戦い方としても大きな会社のような資本力でものを言わすような戦略はご法度、小さな会社は大きな会社では実現できない「付加価値」に焦点を当てなければ勝ち目はない。

この先、疲弊する同業者が増えると思うと胸が痛いが、その麻薬から目を覚ますのもその会社次第ということになる。

コロナの影響で売上げを大きく落とした会社にかぎって、その焦りから安易な方法に走りがちである。どうか付加価値を創出することをあきらめず、この難局を乗り切ってほしいと願うばかりである。

値引きや安価な価格設定は誰にでも思いつく施策であり、戦略とは異なる



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