【どこを見るか】商売もリスクは分散するにかぎる
今日で10月が終わる。
今年も残すところあと2ヶ月であるが、師走に向けて忙しさが急に押し寄せてきている。
そしてまた1社、新しく取引きをしたいということで面談をさせていただいた。お話を伺っていくと依頼したい仕事の内容、一案件のボリューム、会社の雰囲気と、どれをとっても理想的な相手先である。
話はまとまり、早速最初の案件のご相談を進めていくこととなった。
つい先日までスランプだ、と弱音を吐いていたのがウソのような展開だが、ここで気をつけなければならないのは売上げを作る全体のバランスだ。
理想的な得意先が増えるのは好ましい。だが、そのような得意先が何社もあり、全体のバランスを取りながら総売上げが上がることが一番いいバランスなのだ。
要は1社の理想的な得意先に依存しない、ということ。私も今まで何度絶好調に見えた得意先を突然失っただろうか。
失う理由は色々あり、倒産される、得意先の方針が変わる、他社に奪われる、などなど日常的にそのバランスが崩れる要素などいくらでもある。
一般的には依存率は1社に対し30%未満といわれている。あとの70%はその他の顧客で構成していくのだが、数十年の単位で安定的に仕事提供してくれるような得意先は幻に近いと思う。
一度つないだ縁であれば長くお付き合いしたいものだが、そこはビジネスである、お互いの事情により途切れていしまうことも想定しておかなければならない。
苦境に立たされていた会社が、1社の新規顧客との取引きをきっかけに息を吹き返すということはよくあるだろう。そこでその取引先のために全力で取り組むのはあるべき姿だが、その姿勢はそのままに更なる得意先をを見つけることが急務である。
1社依存は1本の命綱を握りしめながら商売を進めていくことに過ぎず、安定を目指すうえでもその綱は1本、もう1本と増やしていくことでリスクを分散することを目指すべきだ。
ただ、以前の弊社もそうであったが、苦しい時期が長く続くと優良な得意先にすがりたくなる気持ちはよくわかるのだ。今までの努力が実を結んだというか、暗く長いトンネルをぬけたというか、ホッと腰を降ろしたくなる心境は理解できる。
しかし、その局面はひとつのきっかけであり、本当に腰を降ろしていいのはもう少し先だということを肝に銘じよう。
とはいえ、極限のストレスからは一時解放されるわけで、その余裕は次のアクションへとつなげていくことで、徐々に安定に近づいていくのだと思う。
私も性格上、窮地を脱したり、調子が上向きになったりした途端、手を休めてしまう怠け癖がある。今回の波は真摯に受け止めて、1本でも多い命綱を操れるように気はゆるめないつもりである。