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ステージを上げる際、その余裕の根拠にお金が必要
自社の器に合わせて、仕事を受注する際、気持ちの余裕を確保する上でも会社の預金残高はあるに越したことはない、という話
今日も現場から現場へ飛び回っていた際に、数年前に弊社で請け負ったとある思い出深い現場の前を通りかかった。
ちょうど4年前、当時の弊社のキャパではギリギリの内容で、工事単価もその当時の過去最高額ということで、ずいぶんと気を使ったことからよく覚えていた。
暑い時期、その工事においては段取りも今ほどうまくできていなかったことから、苦労した記憶があり、なんとか工事を終えた頃には疲労困憊のままお盆休みをむかえたと記憶している。
だが、今はその当時を懐かしく思えるのは、過去最高だったその工事の内容も、今ではコンスタントに受注できるようになっており、先日完了した工事においては、その過去最高としてマークしていた工事金額のじつに10倍の金額を記録したこともあり、成長の感慨にふけることができたのだと思う。
年々、そうした工事金額の増額があり、単純に今の売上げが当時の10倍となっているわけではないが、当時はホームラン級として捉えていた当たりは今ではツーベースヒット級の感覚となっているところは、一応少しずつではあるが、階段を一段一段登っていけていると自負しているのだ。
こうした一案件のボリュームを考えて、その裏で粛々と取り組んできたのは、工事体勢を整えるという足元の固め方もあると思うが、地味なところでいうと、その年に獲得した利益を散財せずに貯め込んでおいたという点もあるだろう。
私は過去の苦しい時期の経験から、少しずつ利益が出始めた頃から、そのお金を会社にプールすることを意識してきた。いわゆる内部留保というやつだが、利益の中から広告費やその他の会社の設備に必要な経費とは別に、気持ちの余裕を持つ意味で、お金を貯め込んでいる。
会社を引き継ぐ前の当時、末端建設業ではよくあることなのだが、仕事はしたがお金を支払ってもらえない、相手方の倒産や夜逃げによって踏み倒される、ということが何度もあり、そうした「まさか」の事態に備えて、自分が経営者になってからは、会社の預金残高を超える工事金額の案件は請け負わないというルールを密かに設けた。
売掛金の遅延や不払いの経歴のある取引先は、私の代になってから関係を清算してきたのもあり、今ではそのような事態はほとんどないが、世の中にある売掛金を保証するサービスや制度は、いざというときにほとんど役に立たないという考えから、自分の身は自分で守るという意識からコツコツとお金を貯め、その金額に見合った仕事以外は「今がそのタイミングではない」と喉から手が出るくらいほしい案件であっても自社の実力不足として、見送ることにしているのだ。
感慨にふけたその当時の案件も、ギリギリ工事金額を上回るお金が手元にあったことから請け負ったのだが、そこから約4年でその10倍のお金を内部留保として貯めることができたことが、今の私の余裕に繋がっている。
とはいえ、今のホームラン級の案件が、この先ツーベースヒット級に常態化されることも十分に想定できるゆえ、利益が出ても堅実に必要以上のお金は預金に回すことになるだろう。
税理士からはそんなに貯め込んでどうするの?とよく言われるが、まさかの事態に外野が手を差し伸べてくれることなどありえないことから、過分な利益は内部留保へ、という取り組みはしばらく続くのである。
お金の余裕は気持ちの余裕へと繋がる。できるうちにその余裕を確保することで、大きなチャンスに挑むことができる