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感情的にならない子育てができたお話し ~2つ目のおはなし~

子どもを産み育てることって、やってみなければ何が起きるか分からないし、人それぞれであることは分かっているものの、ついついよそ様の子育てが気になったり、人と比べて落ち込んでみたり…。そんなことが子育てをされた方には、多かれ少なかれあったのではないでしょうか。
私の子育ては、子ども達にとって、ダメダメなお母さんでしたので、子育てが終わった今でも、子どもたちの温かさに感謝しているところです。そのお陰で今の私がある!と言っても過言ではありません。そもそも体力ないし、すぐに体調崩すし、そんなこんなで自分のことで精いっぱいだし…。そんな私のお母さん第一歩からお話ししたいと思います。どなたかの参考になれば幸いです。


■産後の肥立ちというもの

第一子である息子を産んだあと、私はしばらく体調がすぐれない時期が続いておりました。産後、皆さんに必ずある“悪露”ですが、なんと…私の場合、半年間も続いておりました。この長い期間続いただけでなく、毎月必ず39度近い高熱が出るという不調な状態…つまり、産後の肥立ちが悪い状態が続いておりました。熱が下がっている日でも、悪露がある間はバスタブに入浴することができないため、子どもが成長していっても、一緒にお風呂に入ることができませんでした。
出生時も十分大きかったのですが、私の不調に反して息子はスクスクと成長し、どんどん大きくなっていきました。そのうち、新生児が使うベビーバスでは納まりきらないのと、とにかく重くて片手で支えることが大変でした。
それと併せての高熱で寝込む日々が多く、何度も遠方の母に駆けつけてもらうことになりました。

■実家に戻る

ある時、それまでの体調がそれまで以上にの状態になり、いつも通りに実家の母が助けに来てくれました。ですが、あまりの私のやつれように、母が見かねて、私を療養させるため一旦実家に帰ろう~ということになりました。先にも書きましたが、私は殆どワンオペ状態でしたので、自分がこんな状態の中で、生まれたばかりの息子のお世話が大変難しい状況にありました。母に言われるがまま、とりあえず帰省することにしました。

実家に戻って総合病院で検査してもらったところ、私は肺炎にかかっておりました。両親の手助けを得ながら、実家で療養しながら過ごしていたのですが、肺炎の回復状況を見て、また再び我が家へと戻って参りました。
肺炎は回復しても、時々高熱が出るのは悪露が治まった後もさらに続き、結局産後1年間ほど、こんな日々が続くことになりました。

■私が本当のお母さんになった瞬間

いきなりですが、皆様おなじみの『トトロ』ですが、ご覧になったことありますか?私はトトロが大好きで、独身のころからDVDを買って観ていたほどでした。私がトトロに没入していた一番の理由が、メイの存在にありました。現実世界の私もメイと同様に次女で、上には姉がおりました。私の家族が初めてトトロを観たとき、全員口をそろえて“メイ”が、私の幼少期にそっくりだ…と言っており、私自身もそうだと自覚しておりました。なので、トトロを観るたびに、メイの気持ちになりきって没入していたのが思い出されます。
想像がつくかと思いますが、そんな私だったので、子どもが生まれてもなお、私の心は“メイ”のままだったように感じています。

私は相変わらず高熱を出す日々が続いておりました。
息子もまた腸が弱い子で、生後間もない頃から、便秘と下痢を繰り返したりする子どもでした。そしてこのことが、私のストレスの一つでもありました。ある時、息子が腸壁が剥がれるほどの酷い腸炎になったとき、いつものことながら私も共に体調を崩しておりました。

自分もつらい、息子もつらい、そんな状態が日々続いて、とうとう私の心が崩壊してしまった瞬間がありました。息子のオムツを替える、下痢によりお尻がオムツかぶれを起こさないようケアをする…、の繰り返しの中で、交換したそのオムツを放置したまま、涙が止まらなくなってしまいました。自分でもびっくりするくらい涙が止まらなくて、わんわん泣いていたのを覚えています。そのうち、日が暮れていっていたようなのですが、そんな事には全く気づいておらず、私は部屋の片隅で体育座りをした状態で顔を伏せ、ずっと泣いていました。その間、息子がどうしていたのか全く覚えていないのですが、ふと自分の前に誰かが立っている気配を感じてようやく顔を上に上げました。

すると、オムツ交換をした時のまま、つまりは…ロンパースの股の部分のボタンも留めていない格好のままで、まるでワンピースでも着ているかのようにはだけている息子が、何かを持って立っていました。私が顔を上げたのが分ると、暗闇の中でそっと私に何かを差し出していました。何かと思ってその差し出されたものを、暗闇の中で目を凝らして見てみると、それは、息子のオムツ交換の時に使っている“おしり拭き”でした。

きっと息子は、これで涙を拭きなさい…と、言いたかったのではないでしょうか? それを見た瞬間、私はハッと我に返って、息子を抱きしめて再びわんわん泣き始めました。「ごめんね。ごめんね。ごめんね。…」って、何回も息子に謝って、下痢でやせ細ってガリガリになってしまっている息子を抱きしめて泣いていました。その後のことはあまりよく覚えていないのですが、その瞬間強く想ったことがありました。「しっかりしなきゃ。こんな言葉もまだ話せない小さな子に、自分だってお腹が痛くてつらいのに、こんな気遣いをさせてしまって…。私は何をしているんだろう。自分の具合いが悪いなんて言っている場合じゃない。しっかりしなきゃ!!」という想いが強烈に湧き上がってきました。

それ以降です。私が“トトロ”を観るとき、心の様が“メイ”ではなく、メイとさつきの“お母さん“としての目線で観るようになったのは…。

そしてこの日が、私がようやく「お母さん」になれた日です。
息子がちょうど、9か月の時のことでした。


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