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著者インタビュー『業務の「ヒヤリ!」を解消する!公務員の法的トラブル予防&対応BOOK』(米津 孝成 著)

12月11日に『業務の「ヒヤリ!」を解消する!公務員の法的トラブル予防&対応BOOK』が発刊されました。

住民のクレームが発展して訴訟になった、公用車で事故を起こして「賠償しろ!」と詰め寄られた、SNSに気付かず住民の個人情報を載せてしまった、同僚がハラスメント被害に遭っている、窓口に弁護士が来た、自分が担当しているSNSが著作権違反だと炎上した……。

公務員の身のまわりに潜む法的な「ヒヤリ!」。

昔痛い目に遭ったという方も、今まさに嫌な予感がしている方も多いではないのでしょうか。

そして、実はそれぞれの詳しい予防法や対処法が曖昧なまま、まさか自分はそんなことにはなるまいと、目を逸らしているという方もいらっしゃるかもしれません。

そこで本書は、法的トラブルを未然に防ぐヒントと、実際に起きてしまった場合も被害の拡大を食い止めるためのコツを解説。

窓口の法的トラブルに繋がりそうなクレーム対応から、審査請求や訴訟に関わってしまったときにすべきことなど、新人からベテランまで抑えておきたい予防&対応法がすっきりわかります。

発売を記念して、著者である米津孝成氏にインタビューしました!本書とともにお楽しみください。


▼ 『業務の「ヒヤリ!」を解消する!公務員の法的トラブル予防&対応BOOK』
(米津 孝成著、定価=税込1,980円、四六判・152ページ、2021年12月刊)

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▼ 本書の目次
1章 ふとした瞬間にヒヤリ! 公務員がおちいる法的トラブルとは?
2章 「訴えるぞ!」にヒヤリ! 住民対応の法的トラブル
3章 「漏えいでは?」にヒヤリ! 情報管理の法的トラブル
4章 「懲戒されるよ」にヒヤリ! 職員不祥事の法的トラブル
5章 「○○ハラでは?」にヒヤリ! ハラスメントの法的トラブル
6章 「弁償しろ!」にヒヤリ! 自動車事故の法的トラブル
7章 「審査請求します」にヒヤリ! 審査請求のしくみと方法
8章 「裁判で争いたい」にヒヤリ! 行政訴訟のしくみと方法
9章 「ヒヤリ!」に慌てる前に 法的トラブル克服の4原則


本書が誕生したきっかけ


―はじめに、今回「法的トラブル」をテーマに執筆されたきっかけを教えてください。

(米津氏)公務員としての私たちの地位と仕事は、さかのぼれば、すべて法令(条例、規則を含みます)の根拠に基づいています。

ですので、業務で法的なトラブルが発生したときには、法令の根拠に立ち返り、法令の規定に沿って解決しなければならないですし、また、それが解決への近道であるはずです。

しかし、私たちは、日常の業務に追われる中で、ついついそうした基本的なことを忘れがちです。

そうしたことを念頭に、特に若手の自治体職員のみなさんに、法的トラブルの火種、備え、解決のための基本的な知識と心構えを確認してほしい、そうすることでみなさんの日々の業務の一助になるのではないか、そんな思いから本書を執筆することとしました。

―たしかに、「法治行政」とも言われるように、公務員の方にとって、法律は大切ですよね。


法的トラブルが自治体に与える影響



―CHAPTER1では、総論として法的トラブルについて解説されていますが、そもそも、「法的トラブル」が起きると、自治体や住民、そして職員にはどのような影響が及ぶのでしょうか。

(米津氏)本書で取り上げたところですと、職場でのハラスメントによる職員の心身への負担、公用車での交通事故による住民の財産の侵害、国家賠償請求に敗訴することによる自治体の財産への影響などが挙げられます。

―本当に幅広く影響が及ぶのですね。こんなトラブルに遭う可能性があると思うと怖いですね・・・!

(米津氏)しかし、もっと深刻な影響は、こうした法的トラブルによって、自治体が住民の信頼を失い、有効な施策を打ち出せなくなり、ついには地域全体の活気が失われることです。

人口減少社会において、全国の自治体が生き残りをかけて地域を盛り上げていこうという中で、地域全体の活気が失われてしまうことは、自治体にとって致命的な事態となりかねません。

これは、とても恐ろしいことです。


「分かっているつもり」という油断が招く落とし穴


―本書のタイトルには「業務の『ヒヤリ!』を解消する」とありますが、ご自身がヒヤリとした経験がありましたら、お聞かせください。

(米津氏)住民や議員からの問合せに間違った情報を伝えてしまい、そのことに後から気付いたときには、顔面蒼白になります。

「言われたとおりにしたのにおかしいじゃないか」というクレームから法的トラブルにつながることは必至です。

これは、「分かっているつもり」や「伝えたつもり」といった油断から落とし穴にはまるケースで、残念ながら、今でも時折やってしまいます。

―法律を熟知されている米津さんでも、油断してしまうことがあるとは・・・!

あらかじめ、法的トラブルが起こりうることを想定しておくことの大切さを痛感します。


―CHAPTER2の「住民対応」やCHAPTER3の「情報の取扱い」は、特に窓口部門の方が関係する場合が多いのではないかと思います。

窓口を担当する方にとって、特に重要なポイントはどの項目ですか?

(米津氏)窓口で対応する一件一件に、いかに集中力を維持するかが大事だと思います。

例えば、補助金の申請の受付であれば、ちょっと極端かもしれませんが、「自分は今、この会社の命運を握っているんだ」というぐらいの気持ちで向き合うと、油断からくるエラーやミスリードの危険性を減らすことができます。

もちろん、日々の業務の中で集中力を維持し続けることは容易ではありません。

集中力を維持するためのリズムやメリハリを心掛けるところから取り組むと良いと思います。

このことは、窓口部門の業務に限らず、あらゆる業務について言えることです。

―なるほど。ルーティンワークや、業務に慣れてきたタイミングなど、油断しがちなときこそ注意する必要がありますね!


法的トラブルの火種と備えと解決法を押さえる



―CHAPTER9では、「不安を克服する心構え」として、「正しく恐れる」と述べられています。

コロナ禍でもよく耳にした言葉ですが、法的トラブルを正しく恐れるとは、具体的にはどのようなことでしょうか。

(米津氏)古い言葉に、彼を知り己を知れば百戦あやうからずというものがあります。

敵と自分をよく理解していれば、100回戦っても負けることはないという意味です。

これを法的トラブルの解決に置き換えると、「彼」は法的トラブル、「己」は自分の仕事に関する知識と職員としての心構えのことで、正しい知識と心構えで法的トラブルに備えておけば、いざというときにも対処できるという意味になるかと思います。

「正しく恐れる」とは、怖いからこそ「彼」と「己」をよく理解し、いざというときのためにしっかりと備える心構えを表しています。

―怖いからこそ、法的トラブルをよく理解しておく。この言葉は、読者にとって響くと思います。


常に理由・根拠を考え、想像力を磨く

―どうしても、いざ法的トラブルが起きてからの事後対応になりがちな人は多いと思うのですが、予防のために日頃から意識していること、心がけている習慣などがありましたら教えてください。

(米津氏)なにをするにしても、根拠をしっかり確認してから臨むことです。

具体的には、私は「理由は?」「根拠は?」と聞かれることを想定して準備をするよう心掛けています。

相手のリアクションを想定することは、相手の求めるところを想像することを意味します。

こうした想像力を磨いていくと、ニーズに的確に応えることができる、伝えるべきことを的確に伝えることができるといったメリットも生まれてきます。


―最後に、読者へのメッセージをお願いします。

(米津氏)私たちの周囲には、法的トラブルの火種がそこかしこに隠れています。

一方で、私たちの地位や業務は、法によって非常に強く守られています。

それらのことを忘れずに法と上手に付き合っていけば、法的トラブルを防ぎ、いざ発生してしまったとしてもダメージを拡げる前に適切に解決することができるはずです。

私は、そうした法との付き合い方をみなさんにお伝えするため、本書を執筆しました。

みなさんが法的トラブルを克服し、地域を盛り上げていくため、本書がその一助となることができれば、とてもうれしく思います。

―米津さん、このたびはありがとうございました!


著者紹介


米津 孝成(よねづ・たかなり)

市川市議会事務局議事課主幹。学習院大学法学部卒。議会事務局実務研究会会員、かながわ政策法務研究会会員。

『疑問をほどいて失敗をなくす 公務員の仕事の授業』(学陽書房)、『自治体訟務イロハのイ』、『自治体法務の事件簿』(いずれも自治体法務NAVI e-Reiki CLUB)などを執筆。


著書

▼ 『疑問をほどいて失敗をなくす 公務員の仕事の授業』
( 塩浜 克也・米津 孝成 著、定価=税込1,870円、四六判・184ページ、2019年12月刊、学陽書房)

https://amzn.to/3oelbRf


▼ 新刊!『業務の「ヒヤリ!」を解消する!公務員の法的トラブル予防&対応BOOK』
(定価=税込1,980円、四六判・152ページ、2021年12月刊、学陽書房)

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