2023年 新人ブログ⑤ 若手企画者座談会 ~若手編集者が感じるやりがい&苦労とは?~
皆さん、こんにちは。入社2年目のNです。
企画課志望の方々、お待たせしました!
今回は編集部企画課の若手社員へのインタビュー記事です。
1年目以降、どんなステップでキャリアアップしていくのか気になる方必見です!
先輩! ここまでどんな道のりだったか教えてください!
【今回お話を伺った2人】
Kさん:入社5年目。行政書と教育書がご担当です。
Tさん:入社4年目。Kさん同様、行政と教育を担当されています。
――今回会社説明会にご参加いただいた就活生のアンケートを見ると、キャリアパスについて知りたいという方もいらっしゃるようでした。1年目からここまで、どんな感じでステップアップされましたか?
Tさん:1年目は全部署を研修して回って楽しく毎日を過ごし、2年目は初めて著者に会って、自分の企画の立て方を教えてもらいつつ、先輩の引き継ぎ企画を担当させてもらいました。先輩に教えてもらいながら実際に編集作業をさせてもらったというのが、1年目と2年目の大きな違いでした。
3年目になると、先輩の企画を引き継いだり、自分の通った企画を実際に編集したりして、結構実践的に動き出す感じです。
Kさん:2年目の後半から3年目の前半にかけては、私は引き継ぎ企画よりわりと自分の通った企画を時間かけてやってたかも。
経験して思う「企画の仕事」とは?
――そんな2年目3年目を経て、今、何か気持ちや考え方に変化はありますか?
Kさん:最初の頃は知名度とか人気を見て著者を探してたんだけど、その人が実際に書いてるものを見て判断するようになった。
あと、企画始めたてのときって、類書がない分野の方が作るのが楽かなと思って、ニッチなテーマに行きがちだった。でも、そういう本が本当に売れてるのかっていうことを調べるようになったかな。
類書がたくさんあるテーマで作る方が、差別化を考えなきゃいけないっていう意味では大変なんだけど、買う人が確実にいるなっていう考えに変わってきた。
――学生の頃って、「企画」はこの世に存在しない新しいものを作る仕事というイメージだったので、今の話に「なるほど!」と思う学生は多いのではないかと思います。他にも、就活生の頃や入社当時にイメージしていたよりも違っていたことはありますか?
Tさん:仕事する前はこんなに読者との距離感が近いと思っていませんでした。企画の段階から読者の方の意見を聞いて、それを反映して目次案にしているので。セミナーや講演会とか、読者の集まる場所に飛び込んで繋がりを作ることも、イメージになかった仕事の一つです。
――では改めて、編集企画ってどんな仕事だと思いますか?
Kさん:コーディネーターじゃないけど…印刷所とかイラストレーターさんとかデザイナーさんとか、本に関わるいろんな社外の方と連絡を取って、調整をする仕事かな。
あと、企画の内容に関わることも、より読者の役に立つものに調整するという…。著者の伝えたいことと、読者の求めるものにずれがないように構成を変えたり、やっぱり「調整」したり。
Tさん:今Kさんのお話を伺っていて、私たちが作る実務書の編集は、「読者が使えるものにすること」が大事だなと感じます。もしかしたら、それが文芸書などの編集とは違うところなのかなと。
Kさん:そうだね。表現の分野ではないもんね。
編集企画職のやりがいとは?
――そんな企画の仕事ですが、やりがいは何でしょうか?
Kさん:自分が見つけてきた「いいな」って思える著者や考え方を本にして、それが結構売れたりすると、「これをいいって思ってくれる人がこんなにいたんだ!」「やっぱりいいよね!」みたいな嬉しさがある(笑)
――いろんな人からお墨付きを得た、みたいなことでしょうか。
Kさん:そうそう。なんか、自分が発見したっていうか。
『子育て教師の超効率仕事術』は、そのとき自分が私生活の方で大変な時期で、その先生の言ってることを聞いてたら「ああ、涙…」みたいな感じで(笑)
――ご自身の状況とリンクしたんですね
Kさん:うん。正確には同じ立場じゃないけど、自分がもし読者だったら、めちゃくちゃいいだろうなって思って。実際出して、重版もできたからよかったな〜と思う。
もちろん自分がいいって思うだけじゃ駄目で、やっぱり読者が本当にいいと思うか、聞かなきゃいけないけどね。
Tさん:私もKさんの話、本当にそうだなって思いました。
仕事相手に共感しながら仕事ができるのは、この仕事ならではかなと思います。
著者と自分の間だけじゃなくて、それが読者にも共感してもらえる。根本的に前向きな仕事であるっていうことは結構自分のモチベーションの一つというか、やりがいですね。
大変なこと&壁にぶつかったときは?
――改めて、企画の仕事の良さに気付かされました! 反対に、大変なことは何でしょうか?
Kさん:大変というか、社内の他の仕事とちょっと違うかもなって思うのは、プライベートと仕事時間の切り分けが完全にはできないところかな。
例えば、タイトルを考えるのとかも、業務時間内に机に座ってというよりは、帰りがけに書店に寄ってみたりとか。プライベートと完全に切り分けるのは難しいかな。
Tさん:私は、「著者の方もテーマも決まっているけど、どうやったら社内の企画会議に通るか分からない!」というときにすごく悩みます。
会社からの意見を踏まえて、また著者と一緒に目次案を考え直したり、コンセプトを考え直したりするんですけれども。
修正案を考えるのが結構難しくて。書店に行って、何かヒントないかなと探してます。書店でウロウロしながら、「世の中にはこんなにいい本がいっぱいあるのに、私は何一つ思い浮かばない…!」みたいな現象に陥ってます(笑)
――そういう壁にぶつかったとき、お二人はどうされてるんですか?
Kさん:先輩に聞く。一人だったら絶対無理(笑)
Tさん:とにかく壁に当たったら先輩に相談しますね。先輩も、答えを教えてくれるというよりかは、経験からのエピソードだったりとか、こういうふうにやっていくといいんだよっていうやり方を教えてくれます。
Kさん:確かに、基本は自分でやる感じだよね。
――自立できるようにアドバイスをしてくれる先輩がいるって、すごく心強いですよね。さて、ここまで大変なことを挙げてくださいましたが、どういう人なら乗り越えていけると思いますか? 今、お二人が考える「企画者に向いている人」を伺いたいです。
Tさん:正直自分が今「向いてる人」になろうとしてる状態なので、学生さんに対して、「こういう人が向いてるよ」と言えない部分があるのですが、自分自身の課題としては、行動すること。
例えば、すごくたくさんの著者に会いに行ったりとか、いろんな読者に会いに行ったりとか、やっぱり行動がそんなに苦にならない人が向いているのかなと思っています。
Kさん:この仕事は自分から動かないと何も始まらないもんね。著者に声かけないと…。
Tさん:そうですね。私は逆にいろいろ悩んじゃって行動できない感じになっちゃってたんですけど。ひとまず行動してみるっていうのが大事だと思いました。
Kさん:私は、人と意見が違ったときに、上手く折り合いをつける力?
譲れないところは押しつつ、でも相手の意見もちゃんと聞きつつ、みたいなところが必要なのかなと思う。
先輩と著者の打ち合わせに同席させてもらったときに衝撃を受けたことがあって。
私だったら、あまりに意見が違いすぎて著者に萎縮しちゃうかなと思うような場面だったんだけど、先輩はその先生の意見を無視せず、肯定・共感しつつ調整してたんだよね。すごいな~って思った。
Tさん:確かに著者とか、デザイナーさんとか、その仕事のプロの人に、こっちもプロとしてお願いしなくちゃいけないですよね。
――そのお話を伺って、私もそんな企画者になっていかなければと思いました。お二人には何か目標はありますか?
Kさん:売れる本を作ることかな! そのためにもっと読者に会ったりしないとって思います。
Tさん:今は、特別支援教育の本を作りたいなって思っていて。いろんな著者の方に会っていくと、どの方も「子どもに生きる力を身につけてほしい」とおっしゃるんです。
その言葉にとても共感しました。それを本を通じて伝えるのって、すごく難しいことだと思うんですけれども、実現できるように、読者が実践できるようなわかりやすい本を作っていくのが仕事だと思うので、そういう本を出していきたいなと思います。
インタビューは以上です。いかがでしたでしょうか?
KさんとTさんが感じているやりがいや苦労は、とてもリアルで私自身とても勉強になりました。
就活生の皆さんにとっても、ご自身が働いている姿を想像できるような記事になっていたら幸いです。
来週は、制作室の先輩へのインタビューです。
またお会いしましょう!