小学生の学習格差-コロナはどれだけ影響を与えるのか-
こんにちは!小学生の学習格差について研究している大学生グループです。
私達は、コロナによるオンライン授業や分散登校など授業形態の変化を受け
小学生って
「オンラインに不慣れそう…」
「親の負担も大きそう…」
「学校という施設の重要性はなに…?」
「この年代での影響は後々にも響きそう…」
などと感じ、コロナにより学習格差は広がるのか考察しました!
では、そもそもコロナが蔓延する以前の「小学生の学習格差」の状況はどうだったのでしょうか?
コロナ以前の学習格差
結論からいうと、学習格差には社会階層と親の意識が深く関係しています!
例えば、日本の小学生の学力テストの結果で、こんな衝撃的なデータがあります。
最も長い時間勉強している貧しい子どもよりも、勉強が0時間の裕福な子どもの学力のほうが高いというデータです。
同時に、保護者に勉強を教えてもらう頻度が高いほど子どもの学習意欲が上がり、勉強時間が長くなる傾向にあります。しかし、経済的・精神的に余裕の無い家庭では、親が子どもの勉強に多く関わることはできません。また、進学が当たり前でない環境で育った親であれば、子どもに勉強をさせようという意識も薄くなるのではないでしょうか。
このように、親の経済状況と意識が子どもの勉強の姿勢に大きく影響しています。このため、学習格差には子どもの努力だけではどうすることもできない部分があるのです。
コロナの影響
今回のコロナウイルスの影響で、この格差がさらに広がる可能性があります。
文部科学省が出した報告書では、オンライン指導に移行できた小学校は...
全国の小中高25223校中 5%のみ!!
このデータは一斉休校前のものですが、オンライン指導の充実度によっても差は生まれるのではないでしょうか。
また、もともと存在していた学習格差に親の意識が深く関与していることは先に述べましたが、一斉休校に伴い親の関与が更に必要になったはずです。
急に教科書だけで学ぶことを求められても子どもだけでは難しく、宿題も多く、授業の内容もよく理解できず…
親も、テレワークや家事に加えて子どもを教えることは大変な負担になってしまいます。
また、パーソルが出した調査によると、テレワークの実施率は東京圏内でも4月は43.5%、5月は41.1%、つまり出社のため家にいない親も多くいるのです。
このように、教えたい意欲があったとしても教えることができない環境の家庭もあります。
つまり、親の関与が子どもの学力に大きな影響を与えるにも関わらず、教えられる環境になかったり、平常時以上に親の意欲が求められたりすることで、より学力の差が開いてしまう可能性は大いにあり得るのです。
この時、塾の対応や学校独自の対応によって、更に差が広まってしまうはずです。
各地域の学校の対応
では、各地域でどれくらい対応の差があるのでしょうか?
横浜市と渋谷区、東京都23区を例に見てみたいと思います。
<横浜市の対応>
横浜市は一斉休校を受け、5月31日までを休校、6月1日から学校再開としています。
その間の対応として4月8日から学生に向け、独自の教育動画を無料配信しました。e-learningを使用した動画は10-15分程度のものであり、ネット環境がない生徒に対しては個別での対応をしています。
学校再開後の動きとしては、初めの2週間は分散登校が実施されていました。その後6月30日までは午前のみの授業となり、この期間の授業時間は実質2-3時間のみと言われています。
その反動として夏休みや春休みの短縮が行われてしまい、生徒には負担がかかります。
<渋谷区の対応>
渋谷区は、休校期間や分散登校期間は横浜市と同じですが、オンライン授業の対応に少し違いがあります。
渋谷区は、生徒の学習を推進するため、インターネット テレビ&ビデオサービス「ABEMA」を活用した一方向の学習動画を「渋谷オンライン・スタディ」として動画配信しました。
小学校1年生~中学校3年生まで、学年ごとに、国語・算数・社会・外国語活動(英語)・道徳・体育・保健の動画がアップロードされています。(https://education.abema.tv/)
渋谷区ではコロナ前の平成29年9月から児童生徒に一人一台のタブレットが貸与され、ICT教育が推進されていました。
そのため、3月から続いた休校中もタブレットを通じて課題を提出したり、双方向での授業をしたりするなどオンラインの学習が進められてきました。
この効果もあって、夏休みは8月1日から31日までの30日間と23区内で二番目に長く、長期休みの短縮が少なくなっています。
<東京23区の対応>
ここからは、大まかに東京23区の教育委員会の対応について紹介します。
ハフポスト日本版が、都内23区の教育委員会を対象にオンライン授業の導入予定や、導入にあたっての課題についてアンケート調査を実施しています。(4月7日~14日に実施)
オンライン授業の予定がないと回答したのは、中央区・新宿区・台東区・墨田区・目黒区・大田区・渋谷区の7区。(渋谷区は調査実施時点では予定がないと回答。)
検討中と回答したのは、文京区、江東区、世田谷区、杉並区、豊島区、北区、荒川区、板橋区、練馬区、足立区、葛飾区、江戸川区の12区。
唯一、港区ではこの調査実施時点で既にオンライン授業が開始されていて、教師たちが動画を撮影し、YouTubeに限定公開しています。
導入にあたっての課題として最も多く挙げられたのは、家庭環境の差でした。
では、家庭によってどのような差があるのでしょうか?
<年収とインターネット普及率の相関>
これは総務省の調査による、年収ごとのインターネットの普及率のグラフです。
出典:総務省(2019)「平成30年通信利用動向調査の結果」より引用
家庭の年収が低いほどインターネットの普及率は低く、年収が上がるにつれて普及率が上がっています。ここから分かるように、家庭によってオンライン授業への対応の可/不可が分かれてくるでしょう。
まとめ
ここまでコロナ以前とコロナ後の教育について各地域と家庭の実態を紹介してきました。
・学習格差には親の意識や家庭環境の差が大きく関わっていること
・コロナによって格差はさらに拡大していく可能性があること
が分かりました。
この記事によって、少しでも多くの方に現状が伝わってほしいと思います。
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