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【雨傘革命10周年】雨傘革命に学ぶ

2014年の雨傘革命から10年が経ち、香港は現代の文字の獄とも言える激しい言論弾圧に晒される権威主義体制へと変貌した。しかし、その萌芽は10年前に既にあったと言えるだろう。

2014年10月14日、7人の警察官がデモ参加者を引きずり、暗がりへと連行したのち衆目の及ばないところで殴る、蹴るなどの私刑を加えた。この事件は偶々テレビカメラが捉えていたために大事となり、警察官らは有罪判決を受けた。

しかし、この事件の時点で既に警察による市民への暴力が常態化し、「警察国家」化が始まっていたと言えよう。

このケースを日本にそのまま当てはめることは難しいが、機動隊による辺野古基地移設反対を訴える抗議者への暴行や「土人」呼ばわりなど、似たようなケースを思い起こすことは可能だろう。

雨傘革命の翌年、2015年に公開されたオムニバス映画『十年』は様々な側面で示唆的であった。10年後の世界を描いた5本の短編作品からなるこの映画では、ディストピア的な香港社会のあり方が描かれている。

『時代革命』で知られるキウィ・チョウ監督の『焼身自殺者』(原題: 自焚者)では「犠牲者が出なければ運動は前に進むことは出来ない」という悲壮感に満ちた言葉が語られている。

社会が回帰不能点を超えてしまえば、もはや犠牲者が出なければ前に進まない時がやって来る。実際に、2019年6月15日には梁凌杰が飛び降り自殺を行い、2019年民主化デモ最初の犠牲者となった。『十年』は悲惨なまでに予言的であった。

しかし、こうした悲惨な状況においても「絶望」しながらも希望を失わずに戦い続ける仲間がいることを忘れてはならない。「絶望」は終わりではないのだ。そして、連帯は彼らにとって、我々にとって、権威主義に立ち向かう強大な武器である。


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