いい意味でわがままになろう。学生プロジェクトインタビューvol.1 和泉克軌
私たち学生人材バンクは、「若者と地域の挑戦が連鎖する社会」の実現を目指しています。
そしてこのビジョンを達成する為に、「学生プロジェクト」というプログラムを提供しています。
その「学生プロジェクト」に所属する大学生が、普段どのような活動をしているのか。その活動の中にどんな思い、苦悩が隠されているのか。
まさに「学生と地域の挑戦」に光を当てる為の、インタビュー企画が始動しました。
第一弾は2年前までpump+itの代表を努めていた和泉克軌(愛称:かっちゃん)くん。
今は休学をして、岡山県にあるNPO法人だっぴさんでインターンをしています。
彼はどちらかというと、器用なタイプではありません。たまに鈍臭いところもありますが、それでも教育を学ぶために、休学をしました。
親の反対を押し切ってでもです。いろんな壁にぶち当たりながらも、
「教育を学びたい」ーこの気持ちを大切に、
まっすぐに挑戦を続けています。
今の現状に満足できない学生はもちろん、日々の生活に閉塞感が漂う社会人の方にも、読んでいただきたい内容になっています。
<学生人材バンク学生プロジェクト>
<NPO法人だっぴ>
<pump+it>
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【今回のインタビュー相手】
▼氏名:和泉克軌(かっちゃん)
▼性別:男性
▼年齢:22歳
▼大学・学部:鳥取大学地域学部人間形成コース
▼入学年度:平成27年
▼所属プロジェクト:pump+it
【この記事の目次】
1 大人と話すことが、とにかく新鮮でした。自分と同じ経験をできる人
が、もっと増えたらいいのに。
2 将来の選択肢は、決して1つじゃない。
3 小さい頃からの夢が、ターニングポイントで少しずつ変わっているん
だ。
4 人の具体的な部分に目を向けることで、本質に近づくことができまし
た。
5 全体を俯瞰して見て、足りない部分を補おうという意識が生まれまし
た。
6 立場が変わることで、やりたいことが増えていきました。
7 やりたい気持ち→行動→フィードバック。このサイクルを大切にした
い。
8 「やってみたい」を形にできる環境は、学生プロジェクトの魅力でし
た。
9 「やりたいことはやりたい」と言える、素直さを大切にして欲しいで
す。
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(2016年12月16日(金)ちょこっとだっぴ トーク中の様子)
大人と話すことが、とにかく新鮮でした。
自分と同じ経験をできる人が、もっと増えたらいいのに。
ーー今日は時間取ってくれてありがとう。さっそくだけど、pump+itに入ろうと思ったきっかけを聞かせてもらってもいい?
和泉:こちらこそ、よろしくお願いします!
僕は高校の時に岡山だっぴに参加したことがあり、鳥取だっぴ(現pump+it)の存在はその時から知っていました。
サッカー部に入ることは決めていましたが、他に面白そうなサークルがないか新歓を回っていたら、ちょうどその鳥取だっぴ(現pump+it)がありました。
そこで会議の日時がサッカー部の休みの日だということを知りました。
活動日数も週一なので、「それなら大丈夫そうだ」と思ったのと、当時の代表森さんの「ぜひ一緒に活動しよう」という後押しもあり、入ることを決めました!
ーー実際に参加した経験が大きいね。pump+itのどこに魅力を感じたの?
和泉:自分が参加しただっぴを想像した時に、大人と話すことがとにかく新鮮でした。
もちろん、普段関わらない社会人と話すことはハードルが高いけど、その分得られるものが大きかったです。
「自分と同じ体験をできる人が、もっと増えたらいいのに」と思える経験でした。
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(2017年7月21日(金)ちょこっとだっぴvol.2 トーク中の様子)
将来の選択肢は、決して1つじゃない。
ーーpump+itでは、具体的にどんなことをしてきたの?
和泉:社会人へのインタビューを、特に力を入れて行いました。
企画したイベントに社会人を30人呼ぶために、1人1人アポ取りをして冊子を作りました。
ーーけっこう大変な作業だよね。活動を行う中で、一番印象に残ってる出来事はある?
和泉:3年生の時はチームとして企画運営をしていました。ただそこで、一つのイベントを作る難しさを感じました。具体的には、メンバーと「共通認識を持つこと」です。
企画のコンセプト一つにしても、自分とメンバーの認識が違うことがあり、ここの擦り合わせをする作業が大変でした。
ーーそれはどうやって乗り越えたの?
和泉:リーダーの意向があるので、リーダーとメンバーでしっかり話をして、認識を合わせました。とにかくコミュニケーションをとり、意思の疎通を図ることを意識しました。
ーー社会人へのインタビューを通して、「鳥取にこんな人がいるんだ!」と感じた人はいた?
和泉:鳥取で当時個人塾をしておられた、坂本さん(Taka Sakamotoさん)の話がすごく印象に残っています。
<Taka Sakamotoさん>
ーーほう。きっかけは何だったの?
和泉:教育系の人に会いたくて行ったのがきっかけです。
直接お会いして、「東大卒で僕と同じ休学経験者で、鳥取で学び場作りをしながら、他方でネイマール選手の通訳をやっている」という話を聞いて、ただただ衝撃的でした!(笑)
鳥取以外の場所でもガンガン活動されていて、話をすればするほど、いろんなことに気付かされました。
ーーなるほどすごいね。話をして、一番気付かされたことって何だった?
和泉:僕自身、将来英語教師になるかどうかで迷っていました。
そんな時、坂本さんとお話をして、「本当に教員になりたいのか?」を初めて問われました。僕はこれまでそんなこと考える機会がなく、「教員以外の道を初めて提示された」初めての経験でした。
ーーいろんな選択肢を考えることは大切よね。教員以外の道を考えてどうだった?
和泉:「部分部分で考えてもいい」という坂本さんのアドバイスの元、どこに魅力を感じて選んだのか?をまず意識しました。また教員でなくても、教育をやっている人を見るようにしました。そうすることで、刺激を受けて、視野が広がるようになりました。
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(2017年7月7日(金)鳥大OB・OGだっぴ 集合写真の様子)
小さい頃からの夢が、ターニングポイントで
少しずつ変わっているんだ。
ーープロジェクトの活動を通して、社会人の変化を感じたことはある?
和泉:難しいですね、、ただ社会人の方とお話してよく言われるのが、「過去を振り返る時間がなかなかない」ということです。僕たちは大学生なので、素直に突っ込んだ質問をすることがよくありました。その中で、「こんなこと思ってたんだ、初めて気づいた!」と言っていただけることはけっこうありましたね。
ーー反対にプロジェクトの活動を通して、かっちゃん自身の社会への意識は変わった?
和泉:そうですね、「働く」ことに対する考え方の幅が、すごく広がりました。一本の軸を作って、ずっとそこに向かっている人は意外と少ない。これはいろんな社会人へのインタビューを通して気づいたことです。小さい頃からの夢がずっと続いている訳ではなく、ターニングポイントで少しずつ変わっているんだ、と気づくことができました。
僕自身のことでいうと、教育=教員が全てではない。自分自身の将来を細分化して考えることで、固定観念がなくなりました。
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(2017年7月21日(金)ちょこっとだっぴvol.2 トーク中の様子)
人の具体的な部分に目を向けることで、
本質に近づくことができました。
ーープロジェクトの活動を通して、「できるようになったこと、意識するようになったこと」ってあったりする?
和泉:僕は団体のリーダーをしていたこともあり、行動する時に「どの部分を目標にしながら動くのか?」はすごく意識するようになりました。特に「ここまでみて動かないといけない」と見通しを立てることです。役職と立場によって見るべき視点は違いますが、どの立ち位置でもしっかりと行動目標を立ててもらうことは、伝えるように心がけていました。
あと、傾聴はシンプルに感覚的にできるようになりました。
ーー他には何かある?
和泉:インタビューする際に、「教員だから」というふわっとした理由ではなく、「この人のここが印象に残ったから、ここを聞こう」などと、より具体的なところを見れるようになりました。このように話を具体的に聞くことで、よりその人の本質に迫ることができました。普通に聞いたら5割くらいしか聞けないけど、具体的に掘り下げることでより深く気づけるようになりました。
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全体を俯瞰して見て、
足りない部分を補おうという意識が生まれました。
ーープロジェクトを行う中で、主体的に動くことは増えた?
和泉:「今、自分に足りていない部分」や「ここはやった方がいい」と思うところは行動できるようになりました。全体を俯瞰して見て、足りない部分を補おうという意識は、以前の自分にはなかったところです。
ーー以前と比べて成長しててすごいね。逆に、プロジェクトに入る前はどうだった?
和泉:これだけやっておけばいいという感覚はありました。勝手に自分の中に「枠」を決めていましたね。
ーーなんで勝手に枠を決めちゃっていたんだろう?
和泉:やったことがないから、わからないというのが正直なところです、、わからないところはやらなくてもいい。もうそういう本能ですね(笑)
「できないことは誰かがやってくれるだろう」という淡い期待を常に持っていました。
単純に当事者意識の問題が大きいと思います。
ーーとりあえず、自分のできるところをやっていたら、なんとかなるだろうという感覚?
和泉:そうですね、最初は絶対そうだと思います。
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(2017年11月11日(土)教育だっぴ 集合写真の様子)
立場が変わることで、
やりたいことが増えていきました。
ーー主体的に動けるようになった、要因やきっかけってあった?
和泉:立場の変化が大きいですね。2年生になるタイミングで、僕は代表になりました。立場が変わることで、自然とやる気になりました。見る視点が変わることで、もっとやりたいことが増えていきました。
ーー環境・立場の変化が大きい?
和泉:そうですね、そこはすごく大きいですね。
ーー既にモチベーションの高い人が集まっていたのが大きかった?
和泉:モチベーションは格段に高かったわけじゃないです。「ちょっとずつやっていこうよ」と、メンバー同士で意思の疎通が図れていたのが大きいですね。
ーーメンバー同士で連携が取れていた?
和泉:僕たちの代は、取れていたと思います。男が「ガンガンやっていこう」と勢いをつける部分があれば、女の子が細かいフォローを入れてくれるところもありました。そういう意味で、良いバランスが取れていたのが大きいですね。どこまでお互い話せるのかは、信頼・信用の部分にすごく左右されると思います。
ーー腹割って話せたのは、何か理由があった?
和泉:理由は単純で、自然となりました。結局自分たちしかいなかったので、全員で話してやらざるをえなかったのは大きいです。本当に環境面の影響が大きいですね。
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(2018年1月12,13日(金、土)だっぴ合宿@BASE8823 集合写真の様子)
やりたい気持ち→行動→フィードバック。
このサイクルを大切にしたい。
ーープロジェクトを行う中で、失敗したなーという経験はあった?
和泉:ありますね(笑)。自分が企画したものでいうと、冊子を作る際に、冊子を作る人の要望通りそのまま印刷してしまいました。その結果、カラーで大量に印刷して、赤字になってしまいました。完全に僕のミスですね(笑)
あとは企画のコンセプトで迷うことがありました。自分の中で「こうしたい」というものがなかった。企画を行う過程で迷っていたので、周りを不安にさせてしまいました。
ーーこの失敗を次に活かしたことはある?
和泉:リーダーの部分でいうと、コンセプトは具体化するように努めました。お金の面でいうと、現実的に考えて吟味するというところですね。この二つは特に意識するように心掛けました。
ーーこれまで培ってきたことを、今後の生活にどう活かしていきたいと考えてる?
和泉:僕は学生プロジェクトを経験したので、自分と同じ学生の気持ちは理解することができます。なので学生プロジェクトに関わるのであれば、寄り添う気持ちをどんどん見せていきたいです。
またやりたい気持ちを持って、実際に行動する。そしてやってみた結果、フィードバックをする。このサイクルが成長に繋がると思っています。
なので、これからもこの感覚を大切にしたいと考えています。
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(2017年7月21日(金)ちょこっとだっぴvol.2 集合写真の様子)
「やってみたい」を形にできる環境は、
学生プロジェクトの魅力でした。
ーー学生プロジェクトの魅力って何だと思う?
和泉:チームビルディングやリーダーシップを学べるのは、すごく大きいと思います。あとは、自分がどういうタイプなのかを知れることですね!
ーーどういう時にそれは実感した?
和泉:いろんな役職を行う中で、自分に合う合わないを感じることができました。
ーーかっちゃんはどんなタイプだと思う?
和泉:自分は強いて言えばリーダーかな、と思います。特にリーダーの中でも「リーダーっぽくないリーダー」でありたいです。自分一人で引っ張っていくのは苦手なので、助けてもらいながらみんなで一緒に作ることを大切にしたいです。
ーーそう思うようになったきっかけって何だった?
和泉:全体的な流れですね。ずっとやってて「しっくりくるな」と思いました。
あとは、やりたいことを形にできる環境があったことが大きいです。
「こういうことをやってみたい」を形にできる、チャレンジできる環境はでかいですね。
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「やりたいことはやりたい」と言える、
素直さを大切にして欲しいです。
ーー昔の自分と今の自分を比べて、一番変わったなと思うことはある?
和泉:ありますね。まず休学して、やりたいことに取り組んでいることです。「やりたい、やれるかも」という自信を持てたのは大きな変化です。
結局、これも学生プロジェクトがきっかけだと思っています。
プロジェクトは純粋に楽しかった。各々の満足する点は違うけど、やりたいことをやっている方が満足度は高いし、一番充実度は高いんじゃないですかね。
ーーやりきった経験が大きい?
和泉:そうですね。一つのことをやりきった経験があるから、それが自信になっていると思います。
ーー最後に、後輩にメッセージをもらえますか?
和泉:はい、僕から言えるのは「いい意味でわがままになろう」ということです。
できるできない構わず、とにかくやってみる。自分の「思い」の部分を大事にして、
やりたい気持ちをもっと周りに伝えて欲しいです。
意思表示をすることで、助けてくれる人が必ずいます。心の中に秘めているよりかは、絶対に前進します。
なので「やりたいことはやりたい」と言える、素直さを大切にして欲しいです。
ーー長時間、インタビューに協力してくれて、本当にありがとう!
「誰かの為に行動する」という気持ちを持てていることは、今後生きていく上で大きな財産になります。
またかっちゃんの場合、プロジェクトを通してたくさんの人と出会い、物事の見方がかなり変わってきていると思います。
これからも周りの人を大切にしながら、この経験をステップアップにして、
挑戦を続けてほしいです。
職員一同、引き続き今後もかっちゃんの挑戦を応援しています!
(2018.6.30 一歩踏み出すきっかけだっぴ:集合写真の様子)
(インタビュアー・文責:原田昂拓)
取材日:2019年1月16日
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