高校の授業料無償化っていうけれど、他にもお金はかかるよねって話。
現在、高校は授業料実質無償化になっているのはご存じだと思う。高等学校等就学支援金制度があり、保護者の所得910万円以上は対象外であるが、全国の8割の生徒が利用しており、公立高校の全日制の場合、授業料相当額(年額11万8800円)は実質0円になっている。私立高校の場合、年収590万円以下の世帯では、年間最大39万6000円が支援されることになっている。
公立高校の授業料は実質無償で、私立に関しても39万円以上の支援があれば、経済的な問題であきらめていた私立に行くこともできるだろう。だが、あくまで支援されるのは「授業料相当額」のみである。したがって、それ以外の金額は当たり前だが支援されないので自前で用意する必要がある。
入学金はもちろん、施設設備費等がおそらく10万円単位でかかってくる。制服代や体操服代等細かいものを考慮すると、チリも積もればなんとかで結構な額になっていく。後は、私学ではICT教育を謳っているのが当たり前になっているので、情報端末購入費で最低でも7~8万円はかかってくるのを覚悟した方が良いだろう。これらを合わせると、何だかんだで入学時に合計40万円くらいは見ておいた方が良いのと、私立の場合、年間39万円が支援の上限(しかも最大で)なので、それ以上の授業料の場合は足が出るため、家庭で補填しなければならない。学校によっては、授業料が年間60万円というところもあるので、そうなると補填額は年間20万円以上はかかるということである。
お金がかかるのは入学時だけではない。例えば修学旅行。今はコロナ禍で海外に行くということも無く、場合によっては中止を余儀なくされたケースも多いが、それまでは東南アジアや韓国等の近場の海外に行くケースも多かった。その場合10万円前後はかかるので、1年次2年次に分けて積み立てのような形を取るケースも多い。それ以外の細かいところで言うと、放課後教育で使う教材使用料(例えばスタディサプリみたいなもの)や外部テストの受験料等がかかってくる。この辺は、全体的に公立の場合はかからないわけではないけど安い印象がある。
ちなみに、高校生等奨学給付金は、生活保護世帯や非課税世帯を対象としているため、現実としては利用できない世帯の方が多い。
また、地方では私立は公立の滑り止めという意識が強い地域もあり、私立は学力が低い人が行く学校という意識もあったが、支援金効果と私立自体が生き残りをかけて大学進学に力を入れているため、私立に行くケースも増えてきている。ただ、その場合も、上記のような出費があるので注意していただきたい。
大学等の授業料実質無償化も始まっているが、今対象になっているのは生活保護世帯や非課税世帯が中心であり、まだまだ一般的に利用できる制度ではない。しかし、昔に比べると制度は確実に拡充してきているので、自分に合った制度をよく考えて選択してほしい。
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