私立大学の半数が定員割れという話。
昨日、読売オンラインニュースがyahooで配信されていたが、その内容が私立大学の半数が定員割れという話である(https://news.yahoo.co.jp/articles/571e2b2b3a0365848d77ba6d200227433c7d52b3)。
かなり昔の話になるが、世の中が平成になった直後くらいは、大学の定員に対し大学進学希望者が急増していたために、文部科学省は各大学に対して臨時定員増を行った。経過措置で10年くらいは続いたように記憶している。
そんな時代からすると隔世の感があるが、かなり前から18歳人口が減少すると言われ、実際に減少していっていた。学校業界ではここ20年くらいは18歳人口減と学校増との闘いであったと言っても過言ではない。18歳人口減と言っているが、これは大学や短期大学や専門学校に視点を置いた時の話であって、高等学校視点で言うと15歳人口減というのはもっと早くから起こっていて、公立高等学校の統廃合や学区の再編成等もかなり行われてきた。私立高等学校は生き残りをかけて、難関大学の系列化や部活動強化を行い、確実に生徒募集が出来るように努力を続けてきた。
とはいえ、高等学校は大学や短期大学と同様に1条校であるので、文部科学省から補助金が出ている。1条校とは、学校教育法第1条に記された学校と定義されているもので、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学(短期大学および大学院を含む)および高等専門学校のことを言う。これらは、文部科学省の管轄であり、条件を満たした学校には色々な補助金が交付されている。ちなみに、上記以外で言うと、保育園は厚生労働省の管轄で「児童福祉施設」になる。だから幼稚園と保育園を一元化する議論がなかなか進まないのは、上記省庁の管轄違いと併せて「児童養護施設」と「教育施設」の違いがあるためである。また、専門学校は都道府県認可の教育施設である。したがって、専門学校には補助金が出ない。
大学の運営に話を移すと、上記の通り文部科学省の補助金があるために、経営破綻はなかなかしない。大学の半数が定員割れというのは、センセーショナルだと思うが、実は10年前も半数が定員割れしていたのである。これのからくりにはもうひとつの側面があると思っている。昔の学部学科構成と違い、今は専門化が進んでいるのと同時に昔は大学では無かった学部学科が存在する。大学の許認可は文部科学省だが、同時に他の省庁の管理監督を受ける学部学科がある。例えば、医療系の学部学科は、厚生労働省の管理監督を受けるため、定員を超えて入学させることは原則できない。とはいえ、入試の歩留まりを読み切るのは不可能なので、1.1倍までは認められているがこれを超えると翌年の入学定員を減らさなければならない。これは、施設設備や実習施設のキャパの観点から2年間で調整することを求められているためである。昔に比べると、厚生労働省管理監督を受ける学部学科は飛躍的に増えている。このため、定員を割ることが昔より多いのは確かである。
18歳人口が減っているのに大学数が過去最高になっているのはなぜか?それは大学進学率特に女子学生の進学率が増えたためである。だから、半数が定員割れだからといって、すぐに経営破綻ということはあり得ないが、定員充足率は確認しておいた方が良い。定員充足率が6割を下回ると補助金がカットされるからである。定員を充足させるために外国人留学生を必要以上に大量に受け入れている場合は気をつけた方が良いかもしれない。もちろん、語学系や国際系等元々留学生が多い学部学科は別である。
進路選びは、色々な指標(軸)を持って比較検討する方が良い。その指標が多いほど誤った進路選択をすることは少なくなる。自分で納得する進路選びをするために、多角的に進学先を見るようにしたいものだ。
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