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展覧会はいい加減に見るべし

美術館での鑑賞方法について語ります。

鑑賞方法に決まりなんて無いので、人それぞれ好きなように鑑賞すればいいのですが、真面目な人ほど肩に力が入っているせいで途中で疲れてしまったり、消化不良に終わったりすることがあるので、学芸員として少しだけ鑑賞のアドバイスをさせてください。

まずは肩の力を抜いて、気持ちをゆるめましょう。美術館を楽しむ秘訣、それはずばり「いい加減に見る」ことにあります。

海外に比べて日本では、美術館がお堅い場所であるというイメージが強い傾向にあります。
そのため、多くの人が会場の入り口にあるあいさつパネルからきちんと読み始め、順路をしっかり守って作品1点ずつ解説文をしっかり読みながら律儀に鑑賞しようとしがちです。あなたも身に覚えがあるのではないでしょうか。

その心がけはとても尊いと思うのですが、これだと十中八九途中で集中力の限界がきます。展示室の入口付近が渋滞していて、順路の最後の方は人がまばらになっているのは、終盤に力尽きている人が多い証拠です。みんな最後の方は集中力が切れて流し見になってしまうのです。

だからこそ、まずは「いい加減に見る」なのです。

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