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albertus
名画ってなんだ?完結編 [思いのほか長文です]
前回の「名画ってなんだ?」の続きです。
どうやら私たちが「名画」と聞いて思い浮かべる絵には、一定の傾向があるみたいだぞ。以下の項目を満たしていることが、名画の条件では?と推測しました。
ヨーロッパ美術
イタリア・ルネサンスから近代の印象派あたりまで
著名な作家であること
写実的な描写技術が高いこと(これは必須ではなさそう)
日本の国宝に指定されている《信貴山縁起絵巻》や雪舟の《秋冬山水図》は、貴重な絵だというのはわかるけど「名画」という言葉は少しそぐわない気がするし、ましてやアフリカや南米、東南アジアの絵画作品で「名画を挙げろ」と言われてもひとつも思い浮かばない。そんなところではないでしょうか。
なぜ、狩野探幽(1602年生まれ)よりフェルメール(1632年生まれ)の方が、なぜ富岡鉄斎(1837年生まれ)よりクロード・モネ(1840年生まれ)の方が、日本に暮らす私たちにとって身近なのでしょうか?(まぁ、このnoteを読んでいるような人はどの作家も既知でしょうが)
この西洋美術に偏った価値観の成り立ちを考えるためには、「美術」という概念が日本に持ち込まれたところまでさかのぼる必要があります。いつもより長くなってしまったので、お時間のある人だけお付き合いください。