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「なぜ日本絵画には水平線が無いのか」を考える(その1)
最近、西洋と東洋の絵画の違いについて、ふわふわと考えていることがあって、まだ全然まとまってないんですけど、自分のnoteならいいだろってことで(いいですよね?)、頭の整理をかねて書いてみようかな、と思います。
本当は1記事にしたいのですが、かなりボリュームが大きくなって最後まで読んでくれる人がいない気がするので、シリーズものにさせてください。
きっかけは東京芸大の卒展
ちょっと前に、上野の東京藝術大学(と東京都美術館)に卒展を見に行ったんですよ。いろいろなジャンルがあって全部は見られなかったんですけど、日本画は興味があるのでちゃんと見ました。
日本画コーナーの会場をぐるっと見回すと、当然何点も日本画が壁に並んでいるわけですが、「日本画っぽいな」と感じるものと「日本画っぽくないな」と感じるものとがありました。不思議なことにじっくり見なくても、遠目に見ただけでそう感じるのです。
そもそも現代で何をもって「日本画」と呼ぶかというと、基本的には使う材料なんですよね。近代日本画に強い山種美術館さんの説明を引用させてもらいます。
「日本画」と「西洋画(もしくは洋画)」の違いは、大雑把な言い方をすれば、描くために使用する素材の違いということになります。(略)
一般には紙や絹、木、漆喰などに、墨、岩絵具、胡粉、染料などの天然絵具を用い、膠(にかわ)を接着材として描く技法が用いられています。また、金などの金属材料(金箔など)を画材として効果的に取り入れています。
このように、墨と岩絵具(顔料)を使って、紙や絹に絵を描けばそれすなわち日本画なのです。つまり、そこでどのような絵画様式かということは問われないということです。
現に芸大・美大の日本画専攻の受験では、ほとんどの場合、洋画専攻と同じようにデッサンが課題に入っています。これって西洋の絵画教育の指導法ですよね。西洋絵画的な絵の上手さを持つ人が入学してきて、そして岩絵具などの使い方を指導されて絵を描くという流れになります。
その結果、私が卒展で感じたように、材料は伝統的なものだけど洋画のコーナーに並んでいても気づかないような日本画作品が登場するのでしょう。それが良いとか悪いとかではなく、私が興味を持ったのは「日本画っぽい絵」と「日本画っぽくない絵」の2つがあるという厳然たる事実と、その違いを生み出している要因です。
一体どこからこのような印象の違いがきているのでしょう。
ちなみに「日本画っぽい絵」と言っているのは、古典的な日本絵画の流れを汲んでいると感じられる絵のことで、「日本画っぽくない絵」というのは西洋絵画に近い絵のことだと思ってください。
両系統の絵が1つの会場に集まっていたので、ぐるっと見回して「なるほど、そういうことか」と気がつきました。
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写実的な描写か否か?
色合いが落ち着いてるか否か?
いえいえ、私の考えですが、それは画中の水平線の位置です。言い換えると視点をどこに設定するかです。
さて、これは何を意味するのか。面白そうなテーマなので、考えてみることにしました。
思いつきで書いているので、間違っているかもしれません。ご意見、ご感想なんでもコメントでどうぞ。