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あなたの脳、キャッシュが溜まっていませんか?

美術館に行くと、鑑賞後にスッキリした気分になるのは何故だと思いますか?

え、そもそも、そんなスッキリした経験がない? いや、1回ぐらいありませんか? うん、きっとあるはず!と決めつけたまま話を進めます。

常に何か行動していることが求められるそんな毎日、私たちの脳は次々に押し寄せる情報を処理しようと忙しなく回転を続けています。

突然ですが、私は人の頭の動きってグーグルの検索窓のようだなと感じます(正確に言うなら「検索エンジンのよう」ですね)。

グーグルで何かを検索しようとあの窓にワードを入力すると、1文字入力するごとに関連する言葉がいくつも表示されますよね。「サジェスト」と呼ばれる検索候補です。
例えば「学芸員」で検索しようと思った時、「が」と入れた段階で「画像検索/ガスト/ガンダム」等の言葉が表示され、「がく」まで入れると「学習机/顎関節症」等の表示に変わり、「がくげ」の段階で「学芸大学/学芸大学駅/学芸員」となり、「学芸員」まで入れると「学芸員とは/学芸員 資格/学芸員 募集」等が表示されるという感じですね。
このようにグーグルはたとえこちらが必要としていなくても、お節介なことに次から次へと検索候補となるキーワードを提案してきます(「ほー、今こんなワードで検索する人が多いのか」とトレンドを楽しめる面もありますが)。

これと同様に、必要・不必要問わず膨大な情報に囲まれて生きる私たちの頭は、自分に関係の無い情報さえも拾い取って、瞬時にそしてオートマチックに様々なイメージを脳内に想起します。グーグルのサジェストが次々に切り替わっていくように、1秒ごとにパッパッと浮かんでは消えていきます。
何とも忙しないことですが、これは脳の基本機能なので情報、信号、ノイズの多い環境に身を置く以上止めることはできません。

もう1つ別の例え話をします。パソコンやスマートフォンは使い続けていると徐々に動きが鈍くなっていきますよね。

その要因の大部分は、ご存じの通り「キャッシュ」という一時的な保存データの蓄積です。パンパンに貯まった不要なキャッシュはストレージを圧迫し、機器のパフォーマンスを低下させます。
私たちの脳内に浮かぶイメージは、すぐ次のイメージに取って代わられますが、完全に消え去るわけではなく少しずつキャッシュが積み上がっていくのだと考えてください。こうして私たちの思考速度も知らず知らずのうちに鈍っていくのです。

パソコンにキャッシュが貯まってしまった時、一番手っ取り早い対処法は再起動です。動きが遅くなったパソコンやスマートフォンが、再起動してみるとキャッシュがクリアされて生まれ変わったようにサクサク快適に動いたという体験は誰しも覚えがあるはずです。
では、人間の頭をキャッシュクリアするにはどうすればいいのでしょう。

すぐ思い浮かぶのは、一眠りすることです。まさに再起動ですね。

「あーでもない、こーでもない」と思考が袋小路にはまり悶々とした時、一旦寝てみて起きたら何となくスッキリ考えがまとまっていた、なんていうことはよくあります。眠っている間に脳がクールダウンし、同時に思考が整理されていくからですね。

また近年愛好者が激増しているサウナも似たような効果があるのでしょう。

サウナはスマートフォンを持ち込むことができないのでデジタルデトックスという意味合いもありますが、ただじっと蒸し暑さの中で時間の流れを感じ、最終的に「整う」と呼ばれる頭が冴え渡った状態にいたると言います(残念ながら私はその境地に達したことがありませんが)。
ノイズの少ない場所で頭をクールダウンさせる、そしてじっくり自分の感情に目を向ける。これは立派なマインドフルネスの手法です。

そしてマインドフルネスなら、美術館もサウナに負けないぐらい適した場所だという話をしたいのですが、長くなってきたのでまた次回。すいません、全然美術館の話じゃなかったですね……。

グーグルの検索窓の例え、分かりにくいですかね? 私はすごいしっくりきてるのですが、もし他に考えがあればコメントにどうぞ。