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099.『公民連携まちづくりの実践 公共資産の活用とスマートシティ』越直美 著

“厳しい財政状況を出発点として始めた公民連携の取り組みであったが、その結果生まれたのは、単なる経費削減ではなく、市民が楽しめる空間だった。本書で述べるいずれの事例も、Issue では取り組みの背景となる問題、Action では問題解決のために大津市が起こした行動、Scheme では具体的な手法や手順、Outcome では取り組みの成果という内容に沿うように記載している。“

☞書籍詳細

自治体が公民連携プロジェクトに取り組む際の実務的なノウハウを、元・大津市長が徹底解説。住民に選ばれる公共空間づくり、稼げる公共施設・インフラマネジメントへの転換、自動運転・AIなど新しいテクノロジー導入による地域課題解決などを目指した実際の公民連携プロジェクトを紹介しながら、当初課題のありよう(Issue)/実際に採られた対応策(Action)/事業者や市民との連携の仕組み(Scheme)/事業によって得られた成果(Outcome)に分けてプロセスを紐解いた。

●はじめに

私は、2012年から2期8年、大津市長をつとめた。本書は、その間に、職員とともに進めた公民連携とスマートシティの実践例である。

厳しい財政状況を出発点として始めた公民連携の取り組みであったが、その結果生まれたのは、単なる経費削減ではなく、市民が楽しめる空間だった。本書で述べるいずれの事例も、Issue では取り組みの背景となる問題、Action では問題解決のために大津市が起こした行動、Scheme では具体的な手法や手順、Outcome では取り組みの成果という内容に沿うように記載している。

公民連携を進めるためには、自治体と民間事業者の役割を整理して再構築するとともに、事前の調査やスキームの組み方に工夫が必要である。本書では、スキームを組む際の実務上のコツを紹介した。

また、現在、私は弁護士として民間事業者へのアドバイスを行っているが、民間事業者からは自治体の仕組みが見えにくいことも多い。そこで、自治体の置かれている状況や背景事情についても言及した。
全国で公民連携やスマートシティを進める自治体の方、そして民間事業者の方に、お手に取っていただければ幸いである。

2021年8月吉日
越直美

●書籍目次

Introduction:今求められる公民連携とは

Case 1:ランドマークを役割分担で再生する
――JR大津駅ビルのリノベーション

●[Issue]駅ビル新築構想と交通結節点ではない立地のギャップ
●[Action]駅ビルの運営管理からの撤退
●[Scheme]民間によるテナント誘致と改修費の一部負担
●[Outcome]既存建物を活かしたリノベーション誘致と若年層の利用者の増加


Case 2:負の公共資産を賑わいの場に変える

――大津びわこ競輪場跡地の利活用
●[Issue]公有地の活用を阻む莫大な施設解体費
●[Action]市・市民・事業者の「三方よし」の利活用方針
●[Scheme]定期借地による民間事業者主導の施設・広場整備
●[Outcome]公園と一体化した複合商業施設の開業


Case 3:インフラのあり方を合理化する

――公営ガス事業のコンセッション
●[Issue]インフラの持続可能性とガスの自由化による厳しい競争環境
●[Action]コンセッション方式の民営化
●[Scheme]料金上限維持等を含む運営権契約
●[Outcome]持続的なインフラ維持と市民サービスの向上


Case 4:ニーズを汲み取った規制緩和を実行する
――琵琶湖沿いの企業保養所の転用促進

●[Issue]空き保養所の増加と市街化調整区域という制約
●[Action]規制緩和のためのニーズ調査
●[Scheme]開発許可制度の弾力的な運用
●[Outcome]観光振興に役立つ宿泊・飲食施設の誘致


Case 5:遊休不動産の活用を促す
――大津宿場町構想

●[Issue]中心市街地の空洞化と伝統的な街並みの悪化への懸念
●[Action]町家ホテルの開業を契機にした宿場町構想の立ち上げ
●[Scheme]都市再生課のまちなか移転とリノベーションスクール
●[Outcome]若者による町家活用の広がり


Case 6:スマートシティをつくる
――自動運転・MaaS・デマンド型乗合タクシー・カーシェアリング

●[Issue]高齢化による公共交通の危機
●[Action]新しいモビリティの導入に向けた実証実験の展開
●[Scheme]新技術を実用化するための連携・検証体制
●[Outcome]「住民の足」の確保に向けた試行錯誤と課題


Case 7:行政DXを推進する
――AIいじめ深刻化予測を中心に

●[Issue]行政課題解決のためのエビデンスの必要性
●[Action]AIによる分析の開始
●[Scheme]AI分析のプロセスと結果
●[Outcome]AI分析結果のさらなる活用と他分野への応用の可能性


☟本書の詳細はこちら
『公民連携まちづくりの実践 公共資産の活用とスマートシティ』越直美 著

体 裁 A5・200頁・定価 本体2400円+税
ISBN  978-4-7615-2789-1
発行日 2021-09-25
装 丁 中川未子(紙とえんぴつ舎)


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