22.根本的な改良 アンクル・テュペロ
学芸出版社営業部の名物社員・藤原が、書店での何気ないやり取りを手がかりに、自らのロック遍歴にまつわる雑感をつづります。
書店に勤める彼女は元WEBデザイナーだとか。彼女が言うには
「仕事は元々あるプログラムを現状に合わせて改良していくというものだったんですが、既存のものにプログラムを足していくことになり窮屈なものになって根本的な改良にならないんです。この部分が苦労するんですよ。」
「そう、書店の棚もいっしょ。既存の棚に新人さんが本を詰めて行く。すると、ほら、なかなか思うような陳列が出来ないでしょ。思い切ってやり変えないとうまく行かない。でもこれって手間がかかるので誰もやらない。とりあえず既存の棚に入れてしまう。これダメですからね。」
「はい、私もそう思います。」
「まだ書店に来たばかりで、専門書のことが分からないだろうから、ひとつひとつ改善しましょ。手伝いますよ。」
とりあえずこの日は当社の商品情報を伝えておいた。
NO DEPRESSION/UNCLE TUPELO(1990)
ファーラーとトゥイーディを擁していたアンクルテュペロは二つのバンドに分裂した。才能ある二人が奏でるバンドはそれ自体完成されたものであるが、それぞれが目指した音楽の違いをこのバンドで埋めることが出来なかったのである。そしてファーラーはウィルコ、トゥイーディはサンヴォルトというバンドを結成し、それぞれが成功を収めることになる。根本的な改良は、それを壊してしまうことで成就する例である。
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