不機嫌な夜に
「ママの目標って何?」
家族3人で夕飯を囲んでいるとき、娘が私に問いかけてきた。
その時、私はどうにも虫の居所が悪くて、ただただむすっとしながら豆腐やキムチを口に運んでいた。夫も不穏な空気を察知して、ただ気まずそうにしている。
時々こういう時がある。何かに対して無性に腹が立っていたり疲れていたり眠かったりして、喋ることも面倒くさい。口角をほんの少し上げる気力もない。
周囲に不機嫌を撒き散らしている自覚はあるものの、どうにもできない。
自分で自分の機嫌をコントロールできないことにも苛つき、自己嫌悪もある。申し訳ないとも思う。それなのに、家族に対して1ミリたりとも気遣いの言葉が投げかけられない。投げかけてやるものか、とも思っている。
そんな時に何を思ってか、小2の娘が私に聞いてきた言葉。
目標は何か。
その瞬間、無表情のまま咀嚼していただけのその時、私の頭には「楽しく暮らしたい。今、みんなでおいしくごはんを食べたい。」という言葉だけが浮かんだ。なんだそれ。
自分で楽しい時間を遠ざけておいて、何言ってるんだろう。
そう思ったら、無性に泣けてきた。
私は、足元に転がっているものに気付かずに、遠くばかり見ている。
涙をこらえながらうーんと考えるふりをしていた。頭の中は「たのしく」「かぞく」という単語が反響しっぱなしだった。
夕飯時に泣いた、というだけの話。
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