理凰くん、よくぞいった!光を救えるのは君しかいないぞ!:最近の毒親設定やトラウマ主人公の描き方が現代的にアップデートされてきている
アニメ化もして、あまりに熱すぎる、つるまいかだ『メダリスト』の最新刊。
最高だった。
りお×ひか推し
僕は、りお×ひか推しなのです。今回の巻は、胸が熱くなりました。いや、『メダリスト』って素晴らしい、現代最前線のビルドゥングスロマンの類型なので、僕の大好物で、語りたい内容は、山ほどあるんですが、あまりに好きすぎて、まだ手がついていない。お経のように、ふと思い出しては全巻読み直すのを繰り返している。
なんだけど、今回は声を大にして叫びたい。
理凰くん、よくぞいった!光を救えるのは君しかいないぞ!
って。これは、僕の中では、
アーニャ×ダミアンと同じ感覚で、好き。みてるとたまらん。
何を言っているかは、これだけで、伝わる人には、伝わると思うんですが、狼嵜光(かみさきひかる)ちゃんとか、ダミアン・デズモンドくんって、トラウマ持ちのキャラなんですよね。親に愛されたり、人から大事にされた記憶がないので、けど才能がとびっきりあるから、どんどん破滅の方向に向かっていくキャラなんですよね。破滅しないならしないで、世界の頂点とか目指していって、どこまでも孤独になってしまうキャラクターのドラマトゥルギー持ち。
もちろん、光ちゃんにとって、自分を越えるべきライバルとして、同志として同じ時間を共有できるのは、いのりちゃんだけなんだけなので、この百合パターンも、もちろん妄想になるんですが、というか、これまででの世の中の普通の物語だと、光ちゃんの相方は、いのりちゃんだけでしかあり得なかったと思うんですよね。だから百合ぐらいしか妄想が働かせられない。言いかえれば、いのりちゃんだけが、光ちゃんを救える、と言いたいところだけど、この二人は勝負をしているライバルで、同性なので、なかなか「その先のステップ」には行きにくい。
理凰くんが光を救うには役不足と描かれ続けてきた
もちろんかなり近しい家族として、理凰くんが設定されているけれども、彼だと明らかに役不足。
なぜ役不足かって?
一つは、世界の頂点を狙って生き急いでいる狼嵜光の生き方に「ついて来れる」人しか、横に立てないんですよ。
もう一つは、理凰くん自体が、銀メダリストの巨大な父親の像を追っているけれども、それをなかなか克服できていない形で、自分の自意識、自分ドラマトゥルギーで一杯一杯で生きているのが、最初のいのりとの出会いから描かれ続けているので、とてもじゃないけれども、同世代の女の子を抱擁、包摂、抱きしめてあげられるだけの器がない。
・・・・・・・・はずだと僕は思っていました。
名古屋を離れる光に、理凰くん、いきなりプロポーズするでしょ!
じゃあ俺と結婚しようよ!
僕は、よくぞ言った、お前!!!と、思わず立ち上がって、拍手喝采でした。まじか、、、、そんなに器のあるやつだったのかおまえ!って、めちゃくちゃ、胸が熱くなった。
ちなみに、この申し込みが「家族としての意味」なので、光が即答で「NO」と断るのも素晴らしすぎる。彼女は、よくわかっている。この時点で、実力差もありすぎるので、理凰が横に立てる余裕がないのもわかっている。
でも、食い下がるよね。
それに対しての、光の脅しも、凄すぎる。
出会った時から嘘をついてきた、演技してた、あなたの見ていた光は偽物だって。
この手のトラウマ系のキャラクターは、自己防衛で演技がすごいので、これは確実に効くんだよね。この演技って、相手のトラウマに刺さっているから、ほぼこれで人間関係崩壊。えっと、どういうことかと言うと、ようは、「お父さんい追いつけなくて、光に追いつけなくて、一杯一杯で自分の事しか考えられないルサンチマンのコンプレックス」を、あげつらって、ぶっ刺しに来ているんだよね。
光、、、、これで勝負あった、って顔するんだよね。
全部ニセモノだったの
あなたが好きな狼嵜光は存在しないんだよ
って。
このあとのシーン、、、僕は泣いた。マジ泣きした。
このシーンは長すぎるので、文書で書き抜くのは控えるけど、これだけトラウマ持ちのキャラクターの厳しい言葉に対して、通常の「自分のことで手いっぱい君」は、崩れて、倒れちゃう。
けど、ようは、ここは、「光の本当の姿を僕は知っている」と言う説明をするシーンになるんだけど、なにがすごいって・・・
理由がものすごい具体的なの。
ヒラヒラした服が好きなこと、友達のもらったクッキーを大事に食べていたこと・・・
小さな例が、素晴らしくて。しかもこれ、全部伏線回収になっているのも、作者天才。
全部ここで語られているシーン漫画の中で描写として描かれているんだよね。だから、読者も、ああっとわかる。光がヒラヒラな服好きなのなんか、ずっと描かれている。そして、たぶん、たくさんの服をプレゼントしてるぜ、理凰くん。マジで、男としての器、実は素晴らしすぎたよ、こいつ。確か、お母さん、南米系だっけ・・・こんな硬そうな真面目君メガネなのに、実は、情熱のラテン系か!。
これ何を言っているかと言うと、「自分のこと精一杯のいっぱい君」かと思いきや、光のことを、大事な人として、細かく、具体的に覚えていて、しかもそれをすぐ言語化できるほどに、ちゃんと「相手を見ている」ことが明確になっているんだよね。しかも、擬態して嘘をついてきた光相手に。
これで光の表情が、態度がどんどん変わっていくのがわかる。
理凰くん、よくぞいった!光を救えるのは君しかいないぞ!
って、思うよね、これ(涙)。
これとか見て、僕悶えています(笑)。
Twitterではないのか、Xというのか昨今は・・・・いいのうぅ。いいねしておくと、毎回こういうの流れてきて、心洗われる。
孤独の世界を突き進み、一人だけで世界の頂点へ登ろうとしていた、それだけが存在意義だと感じていた光が、自分にも家族がいたこと、帰るところが「できていた」ことを知らしめるシーン。胸が熱くなった。
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