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半紙の裏打ち

 毎年8月から9月にかけて、私の教室「桃李会」では、社中展に向けての作品作りがメインになります。今年も無事にみなさん作品を書き上げて、現在は表具屋さんに表装の依頼中です。

 おひとり、半切作品を書く時間がどうしても取れなくて、半紙の作品を書かれた方がいらっしゃいます。その方の作品は私が裏打ちをしました。

1.裏打ちの準備

 私は裏打ちのとき、カラーボックスに使われるようなコーティングされたボードを使います。このボードはツルツルなので、糊を使う裏打ちには便利。このボードの上で裏打ちをして、もう一枚のボードに貼り付けて乾かします。紙も扱いやすいし、乾いた後も剥がしやすいのです。
 裏打ち紙は2種類用意します。薄い鳥の子紙と厚めの裏打ち紙。どちらも本紙よりひとまわり大きめに切っておきます。
 また、紙の切れ端でテープ状の紙を2枚用意しておきます。後ほどボードに貼り付ける時に必要になります。

裏打ちの道具たち

 ノリは正麩糊を使います。小さじ3に水200ccくらいがわが家のレシピです。今回は、半紙一枚だけなので、その割合で全体の量を少なめに作りました。正麩糊を水によく溶かして、お鍋で沸騰直前まで温めて、沸騰しないくらいにキープしながらとろみが出るまで煮ます。

2.裏打ちの道具

 ハケは2種類必要です。糊刷毛と撫で刷毛です。写真の毛が白いのが糊刷毛、茶色の方が撫で刷毛です。
 糊を入れておくパッド、糊をつけた紙を持ち上げる掛け棒もあると便利です。
 そして、前述のボード。このツルツルのボードでないと、私はなかなか上手くできないので、私には必須の道具です。

3.裏打ちの工程

 まず、ボードの上に本紙を裏返しに置いて、霧吹きで水をかけながら撫で刷毛を使って水貼りしてゆきます。この時、シワにならないように気をつけながら。水はだんだん染みてゆくので最初からかけすぎないように。なんども撫でつけると紙が傷むので手早く。

霧吹き
撫で刷毛で水張りします

 水張りしたら、鳥の子紙を貼ってゆきます。このとき、本紙の5〜6センチ外のボードに糊を塗ってしまって、鳥の子紙の端の方をボードに貼ってしまいます。そうすると、本紙に貼る時にズレなくてやりやすいです。

本紙の外側に糊をつけます
裏打ち紙に糊を塗ります

 ボードに貼った部分から鳥の子紙を折って、鳥の子紙に糊を塗っていきます。この時使うのは糊刷毛です。
 全面に塗り終わったら、掛け棒に鳥の子紙の端をくっつけて持ち上げ、本紙に貼ってゆきます。片手で掛け棒を移動させながら、本紙に着地した鳥の子紙を撫で刷毛で撫でながら、シワを作らないように貼ってゆきます。

撫で刷毛でシワにならないように

 鳥の子紙が貼り終わったら、厚手の裏打ち紙を同じ手順で貼ってゆきます。

2枚目の裏打ち

4.乾燥

 2枚の裏打ち紙が貼れたら、本紙より大きめにはみ出した部分にだけ、糊を塗ってゆきます。そして、左右にテープ状のかみを貼り付けます。

はみ出した部分にだけ糊を塗ります
テープ状の紙を貼ります

 次に、ゆっくりとボードから裏打ちされた紙全体を剥がして、乾燥用のボードに貼ります。

もう一枚のボードに貼ります

 貼り終わると、ピッタリボードに紙が張り付いた状態になっていますので、先ほどつけたテープ状の紙を少し持ち上げて、フッと息をひと吹きします。こうすると糊のついていない本紙部分が少し膨らみます。

息をフッと

 これをしないと、乾燥後にべったりボードに張り付いた状態となり、剥がすのが大変になるのです。一見ボコっとなって大丈夫かな?と思うのですが、乾燥するとピーンってなりますので大丈夫です。

 この状態で最低1週間ほど乾燥させましょう。

以上は私のやりかたなので、違う方法でされる方もいるかと思います。参考にしていただければ幸いです。

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