【SS】伝説の安心感
幼い頃の思い出は人それぞれだ。
小三の掃除の時間。
二階の教室の床には、油を敷いた板が張り詰められていたが、小さな穴が空いてた。
九里雨音はその穴にバケツの水を流した。
暫くするとバタバタと一階から大勢が階段を駆け上がる音がする。
真下の二年生の生徒達だ。
その中でもガタイの良い二人に両腕を取られ、捕らわれた宇宙人のように職員室まで連行された。
「あーれー」
過去を回想していた雨音は、突然 商店街の穴に落ちた。
穴の中は暖かい液体に満たされていた。
懐かしい匂いがする。
穴の淵には瑠璃色のネコが立っていた。
日頃冷静な雨音も懇願するように叫んだ。
「あなたはミーニャね。
私を助けて!」
「僕にはどうにもできないよ。
だって、君が落ちたのは穴ではなくて、肥溜めだから。
表面は乾いて固まってるけど、中は液体のまんまでしょ。
暖かいのは中で発酵してるからさ」
その時、一本の腕が差し出された。
「鉄夫!この手に掴まれ!」
「その声は兄さん!」
雨音は六助の手を取り無事に引き上げられた。
「鉄夫と六助の物語。安定の安心感だね」
と ミーニャは笑い、シッポを振りながら商店街を立ち去った。
(ぱひゅん)469文字 大幅オーバー
BGM
今は少し忙しいけど、止まない雨はない。
また今度!
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