博多梁山泊・ウロつき探訪記
一、
おれはガキの時分より致命的といって良いほどに落ち着きがなく、そのせいで今日に至るまでいわば〈実存的ウロつき〉とでも言うべき無軌道な生き方を余儀なくされてきた。しかし、そのようなスタイルを貫くのに要する労力は年々増していくもので、腰抜けなおれは気づけば文献研究などという土着性の極限ともいうべき業界の村人と化しつつあった。もちろんそれはそれでそれなりに充実しているし、徒に英雄的生の遂行を呼びかける無責任な連中の熱気はおれの最も嫌悪するところであるから、べつに現状をはげしく