子持ち女性の「働き方」について考える。7つの背景要因と、8種類の働き方。
女性も独身時代は、正社員のフルタイム勤務で働いていた方が多いと思います。しかし子供を出産するとその「働き方」は、専業主婦や共働き、非正規雇用など様々なタイプに分かれます。
では、その働き方を選択した背景には、どのような理由があるのでしょうか?
最近では「労働市場の人手不足の解消策として、女性も積極的に働くべき」というコメントをテレビで目にします。しかし子持ちの女性は、いくつかの要因が複雑に絡み合って、現在の働き方を選んでいるのです。
人によっては現在の働き方を「選ばざるを得なかった」と言ってもいいかもしれません。
この記事では、「第一部:女性の働き方に影響を及ぼす、7つの背景要因」をまとめて、それらがどう組み合わさると、専業主婦や共働きなどの働き方を選択するのか、「第二部:子持ち女性の8つのキャリアパスと、その背景要因」を考えていきます。
第一部:女性の働き方に影響を及ぼす、7つの背景要因
【1】パートナーの収入
■パートナーの収入/高い
=女性が働かなくても生活できる状況ができる。
■パートナーの収入/低い
=女性が家庭を支えるために働く必要あり。
【2】性別役割意識
性別役割意識とは、「男性は仕事、女性は家庭」という意識のことです。家庭内での役割分担に対する考え方も、女性の働き方に影響します。
■性別役割意識/強い
=女性の家庭内負担が多く、仕事を続けることが難しくなる可能性大。
■性別役割意識/弱い
=夫婦で家事育児を分担する意識があると、女性の家庭の負担が少なく、働き続けやすい。
【3】子どもの育てやすさ
■子どもが育てやすい
=手がかからず自立心が強い子どもは保育園や学校に行ってくれるなど、両親が働きやすくなる。
■子どもが育てにくい
=手がかかる子どもや発達に遅れがあると特別な支援が必要となり、共働き家庭にとっては負担が増すことがある。
【4】女性自身のスキルや学歴
■女性自身のスキルや学歴/高い
=仕事にやりがいを見出しやすくキャリアを追い続ける傾向。
■女性自身のスキルや学歴/低い
=再就職が難しかったり、限られた選択肢の中で働くことになりやすい。
【5】社会的サポート(保育園が利用しやすい・職場での育児休業制度など)
■社会的サポート/整っている
=育児をしながら働き続けることができる。
■社会的サポート/整っていない
=育児をしながら働き続けることが難しく、家庭中心の生活を選びやすい。
【5】仕事へのやりがい
■仕事にやりがい/ある
=キャリアを追求することが多い。(社会貢献・技術重視・成果報酬型など)
■仕事にやりがい/ない
=仕事よりも家庭での時間を大切にしたいという気持ちの方が強く、専業主婦や短時間勤務を選びやすい。(作業的な業務・代替可能な時間労働など)
【6】仕事の賃金
■仕事の賃金/高い
=働き続けるモチベーションにつながる。
■仕事の賃金/低い
=保育料などのコストを差し引くと「働いてもあまり収入が残らない」と感じてしまう。それならば家庭中心の生活に切り替えたほうが良いという判断につながりやすくなる。
【7】時間の融通
これは家庭の負担量との相互関係によります。時間の融通がきき、都合のよい時間で働けることは、家庭と仕事を両立する上で重要です。
■時間の融通/きく
=女性の家庭(家事育児)の負担が多い場合、時間の融通がきけば、家庭(家事育児)の状況に合わせて働くことが可能。
■時間の融通/きかない
=時間の融通がきかなければ、家庭をサポートしてくれる存在が必要。パートナーの協力や親の協力、保育園や職場、公的サービスなど。
第二部:子持ち女性の8つの働き方
【1】正規雇用タイプ
[背景要因]
パートナーの収入/中~高
社会的サポート/充実
性別役割意識/低
女性自身の学歴やスキル/高
仕事のやりがい/強
仕事の賃金/高
[典型的な状況や特徴]
高学歴でキャリア志向が強く、パートナーや社会的サポートが安定している
安定した雇用形態は、労働法の保護を受け、福利厚生や昇進の機会が整っているのでキャリアを描いやすい。
育児休暇や産前産後休暇など、女性に特有の制度利用が可能。
[職業例]
一般職(事務職、営業職など): 定型的な業務を担う。
専門職(エンジニア、デザイナー、医療職など): 専門知識を活かす職種。
管理職: チームや部門を統括する役割(課長、部長など)。
[人物像の例]
キャリアを積んで30代で結婚した場合など。出産後も育児休暇や子の看護休暇など職場の福利厚生が充実しており、職場の理解があると家庭と仕事を両立しやすい。独身時代の正規雇用を出産後も継続しやすい。
[課題]
長時間労働が求められる場合が多く、育児や家事との両立が難しい場合も。
【2】非正規雇用タイプ
[背景要因]
パートナーの収入/中
社会的サポート/低〜中
女性のスキルや学歴/限られている
仕事の賃金/少
仕事のやりがい/低〜中
家庭都合の良い勤務時間を希望
子どもの育てやすさを考慮
[典型的な状況や特徴]
パートナーの収入が安定している場合、家計補助として短時間の非正規雇用を選ぶ傾向に。また、子どもが手のかかる場合は長時間の勤務が難しくなるため、 家庭と両立できるように柔軟なシフトが魅力となる。家庭中心の生活を優先したい女性が選択する傾向。
[働き方の例]
パートタイム: 短時間勤務が可能で、子育てとの両立がしやすい。
派遣社員: スキルを活かして働けるが、雇用が一時的。
アルバイト: 若年層や転職準備期間などに多い。
非正規雇用長時間労働型: フルタイムに近いパートタイム。収入は増えるが負担も大きい。
非正規雇用短時間労働型: 週数回の勤務や1日数時間のシフト制など。
[人物像の例]
卒業後すぐに若くして出産した場合など。20代前半の女性が出産・育児期間に入った場合、その後復職を希望しても、スキルや経験の少なさによりなかなか正規雇用につながらないケースも含む。
[課題]
雇用の安定性や社会保障が弱い場合が多い。
【3】フリーランスタイプ
[背景要因]
女性自身のスキルや学歴/高
時間の融通/高
仕事のやりがい/高
社会的サポート/中
[典型的な状況や特徴]
クリエイティブ職: デザイナー、ライター、カメラマン。
IT系: プログラマー、Webエンジニア。
専門職: 通訳、コンサルタント。
特定のスキル(デザイン・ライティングなど)を持つ場合、フリーランスという形態を活かしやすい。子育ての合間やライフスタイルに合わせて働けるのが大きな魅力。好きな仕事や得意分野に集中したい場合に選ばれやすい。子育てや家事のサポートがある程度整っていると、仕事に集中しやすい。
[典型的な状況]
自分のスキルを活かしたいと考える女性や、柔軟な働き方を求める女性。正社員の共働きで働いてきたが、長時間労働による家庭との両立が難しくなった場合など。
[課題]
収入が不安定で、営業力や自己管理能力が必要。
【4】起業・経営タイプ
[背景要因]
女性自身のスキルや学歴/高
仕事のやりがい/高
働き方に柔軟性を求めるタイプ
パートナーの収入/中〜高
性別役割意識/高
[典型的な状況]
小規模ビジネス: ネットショップやハンドメイド作家。
中規模以上の起業: サービス業、飲食業など。
社会起業: 社会問題解決を目指した事業(保育関連、教育事業など)。
経営スキルや専門的な知識を持つ女性が起業を選ぶことが多い。自分の価値観やアイデアを形にしたい場合に起業を選ぶ。家計が安定している場合、リスクを取って挑戦しやすい。「家庭だけでなく社会でも貢献したい」という思いが原動力になる場合がある。
【5】テレワーク・リモートワークタイプ
[背景要因]
子どもの性格や育てやすさを考慮
時間の融通/きく
社会的サポート/底〜中
[典型的な状況]
正社員での在宅勤務: 大企業での導入が増加。
フリーランスの在宅業務: オンラインでの契約や業務提供。
パートタイムのリモート勤務: 時間や場所を選べる柔軟性が高い。
子どもを見守りながら働くために在宅勤務が選ばれやすく、家庭と仕事をバランスよく両立させたい女性が選択する傾向。通勤時間がないことで育児や家事と両立しやすい。保育園利用や家族の支援があると、より集中した在宅業務が可能になる。
【6】社会貢献型・ボランティアタイプ
[背景要因]
パートナーの収入/高
性別役割意識/高
時間の融通/きく
[典型的な状況]
地域活動: NPO法人や地方自治体での支援活動。
教育関連: 子供たちへの学習支援。
環境保護活動: 環境問題に関するプロジェクト参加。
子育てが一段落した女性や、地域社会に貢献したいと考える女性が選択する傾向。家計が十分に安定している場合、金銭的リターンを求めずに活動できる。家庭以外の活動で社会に関わりたいという意識が強い人で、時間的な制約が少ない生活スタイルで選ばれやすい。
【7】副業・兼業タイプ
[背景要因]
仕事の賃金/低〜中
時間の融通/きく
女性自身のスキルや学歴/中〜高
[典型的な状況]
本業だけでは十分な収入が得られない場合、副業を検討する。副業の方が柔軟な場合、本業と両立しやすい。趣味や特技を副業にする場合が多い。本業以外での収入源を確保したい女性や、スキルや趣味を仕事にしたい女性。
[職業例]
ネット販売、オンラインレッスンの講師。
【8】休職・キャリア中断・専業主婦タイプ
[背景要因]
子どもの性格や育てやすさ/難
パートナーの収入/高
性別役割意識/高
子どもが小さい、または特別なケアが必要な場合。パートナーの収入が家計を支えられる場合。「家庭に専念したい」という価値観や社会的期待が影響する場合。
[典型的な状況]
出産・育児・介護などの理由でキャリアを一時停止し、家庭に専念する選択肢。
背景要因の組み合わせによる働き方選択フロー
経済的状況(パートナーの収入、賃金)
→ 家計に必要な収入レベルを考慮して選択。育児負担(子どもの性格、社会的サポート)
→ 育児のしやすさに応じて、時間的な柔軟性を優先。自己実現(スキル、やりがい)
→ 自分の能力や興味に合わせて、正規雇用、フリーランス、起業を選択。価値観(性別役割意識)
→ 社会進出を目指すか、家庭を優先するかの選択。
おわりに
私は2人目を産むかどうか悩んでいたとき、「あのご家庭みたいに正社員で夕方に退勤できて、パートナーも夕方に退勤して家事育児を手伝ってくれたら、、、もう1人産めたかも」などと、他の家庭と比べて悩んでいたことがありました。
残念ながら我が家は、パートナーが深夜帰りで家庭のことは私のワンオペです。それでどうやって、2人の子供を育てながらフルタイムで働けばばいいのでしょうか。。。もちろん、親戚の助けもない、会社のサポートもない、この状況で。。。
でも、世の中の流れは、「なんで女性は働かないの?」であったり、「人手不足なのだから子持ちの女性も積極的に働くべき」なんてコメントを目にします。人によっては、「単に怠けたいだけじゃやないの?」と考える人がいます。
違うのです。
働きたくても、働けないのです。
様々な理由があるのです。
しかし、子育てを経験したことのない人には、
「その様々な理由」が分からない。
このままでは、子育て中の女性を人手不足の労働力として投入するために、社会が何か悪い方向で動き出すのではないか,,,という不安が頭をよぎりました。
例えば、周囲のサポートもなくワンオペで子育てをしなければならない女性に「もっと働け」と言われても、「家庭と短時間勤務を両立するだけでも大変なのに、今以上に働くなんて体力的に無理」という人がいます。
短時間勤務から長時間勤務にするためには、女性だけの努力ではどうにもならない部分があります。例えば、パートナーが保育園の送迎の「送り」か「迎え」を担当してくれるとか、誰かが変わりに病気の子の預かりをしてくれるとか。女性一人が、家庭(家事育児)を担うには限界があります。その現実を、当事者である私たちはよく知っています。
しかし、当事者ではない人たちは、どれくらい知っているでしょうか。。。
当事者ではない人たちにも私たちが置かれている状況が伝わるように、情報を発信していこうではありませんか。
言語化して、まとめて、できればグラフィックを用いて感覚的に可視化して。
子育て中の女性が、生きやすい社会を目指して。
※この記事は、私が読んだ本の知識をもとに、AIを活用しながら作成しました。