夕方、開店したばかりのバーで
夕暮れが迫る帰り道、散歩する犬とその飼い主が視界を横切り、遥か彼方へ消えていった。どうして犬という生き物が、心を奪われるほど魅力的なのだろうか。
尻尾を優雅に揺らし、潤んだ瞳で純真無垢な微笑みを見せながら、人々に愛おしさを捧げる姿を思い浮かべる。戯れに興じ、投げられた棒やボールを喜び勇んで追いかけ、力強く持ち帰る。不審な者に対しては敵意を剥き出しにし、無邪気な瞳でこちらを見つめる。
その姿は、言葉が通じないからこそ美しいのだろうか。それとも、犬の本質そのものに、心を惹かれる魅力があるのだろうか。
「無償の信頼を求めずに与える。」
それは、餌をもらえるからなのか、それとも運命が結んだ絆ゆえなのか。どうして、こんなにもこちらを信じてくれるのだろうか。疑念を抱くほど、犬の瞳には真実が映る。
もしも、そのような部下がいたら、上司として彼を気に入ることだろうし、どんどん出世させたくなる。彼は噛み付かないし、純真で正直だ。愛らしいし、手元に置きたくなる。確かに、そうした存在は魅力的だ。そんな者たちが、まさに愛らしい存在だ。
「オレはそんな犬になるべきであった。」