蒸留所紀行 番外編 ポチーンとBán Poitín
Poitín(ポチーン)
Poitín(ポチーン)との出会いはダブリンのとあるバーだった。
Poitín(ポチーン)は穀物、乳清、テンサイ、糖蜜、ジャガイモなどから成る、アイルランドの伝統的な蒸留酒である。
アイルランド語のpotaをその語源としており、その名の通り小さなポットスチルで蒸留される密造酒だった過去を持つ。
まだアイルランドがイギリスに支配されていた時代、徴税人からPoitín(ポチーン)を隠すアイルランド人に対抗して、1661年チャールズ2世はPoitín(ポチーン)を禁止した。
それまで原料は大麦100%だったが、1661年以降はより安価なテンサイやジャガイモを使用するようになった。
また、もっぱら政府の目から逃れやすい農村部で、煙が目立たない悪天候の日に生産されていた。
1997年、Poitín(ポチーン)の禁止は撤廃され、密造酒としての歴史を終える。
2008年にはEUからGI(地理的表示)認証を受け、2015年にはアイルランド政府により生産方法など定義された。
Bán Poitín
ここでPoitín(ポチーン)の銘柄の1つとして、Bán Poitínを紹介する。
Bán Poitín、英語でBawn Potcheenと発音するこのPoitín(ポチーン)は、北アイルランドにあるエクリンビル蒸留所(Echlinville Distillery)で蒸留されている。
ジャガイモ、大麦麦芽と糖蜜を原料としており、このエクリンビル蒸留所(Echlinville Distillery)ではダンヴィルズ(Dunville’s)というウイスキーやジンも生産している。
以下、Bán Poitínのテイスティングノートだ。