人生で得られるものは時間が形を変えたものだが、形になるまでは一進一退。
最近、ブレイキングバッドという海外ドラマにはまっている。ガンで余命宣告をされた化学教師が家族に遺産を残してあげたいとの思いで麻薬の精製と密売に関わっていく、というストーリーである。
麻薬というのは日本ではなじみの薄いものではあるが、設定自体はそこに精通している人間でもなければあり得そうだなくらいの軽い気持ちでのめり込むことができる。
全体的に重苦しい話になりがちな本作ではあるが、主人公のウォルターがだんだんと引き返せないところまで行ってしまうのが面白い。それも一気に行ってしまうのではなく、一進一退なのが良い。麻薬の密売で大儲け!!と思ったらガンの治療費だったり、犯したミスの隠ぺい工作だったりにお金を吸い取られてしまう。稼いだらほとんどを吸い取られて二束三文のお金しかない、お金が出来たと思ったら今度は妻との不仲に陥る、などという感じで「あと一歩で完璧なのに、最後のひとかけらを積む前に崩れ落ちるドミノ倒し」を見ている感覚である。
現実における学習もこれと同じなのかもしれない。あと少しで何かが掴めそうだという感覚に陥っては、それを忘れ、何度も何度も繰り返してやっとたどり着いたと思ったらスランプに陥る。自然と自分のアイデンティティのひとつのように、自由自在に操れるまでに習得するには時間をかける必要がある。この海外ドラマも5シーズンまであるが、とにかく長い。
人生で得られるものは全て時間が形を変えたもの、ではあるがその何かが形になるまでには相当の時間が必要だということも覚えておかないといけない。このドラマは長い時間がかかるもどかしさの中で、何かを成し遂げようとするウォルターの姿に共感する部分がある。オススメ。
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