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高校情報教育の最前線 ~ Google for Education と情報クリエイティビティの融合~/ 2024.12.7(土)講座参加レポート

こんにちは!
G-Apps.jp 公式 note 担当の伊藤です!

本日は、2024年 12月 7日(土) 20:00〜21:30 に開催された「高校情報教育の最前線 〜 Google for Education と情報クリエイティビティの融合 〜」の講座参加レポートをお届けします!

講師は、大商学園高等学校の中村 天良(なかむら てら)先生です。情報科が全ての高校で必修化される流れの中で、情報の授業はどう再設計されているのか、そしてAIやノーコードアプリ開発ツール、Google Workspace for Education Plus などをどう活かしているのか――まさに “現場からの最先端レポート” と言える内容でした。


はじめに

文部科学省が定義する情報教育は「情報活用能力の育成」が目的とされていますが、本講座では 「情報クリエイティビティ」 にまで踏み込んでいたのが一番印象的でした。生徒たちが AI やノーコードツールを使うだけでなく、そこから “何かを創り出す” ことを期待している姿勢が新鮮でした。

情報教育の現状と課題

講座内では、「情報が溢れる一方で、授業時間は限られている。どうやって生徒に“思考する余白”を残すかが課題」というお話がありました。
具体的には、

  • 部活や宿題で忙しい:特に高校生は課題や試験勉強が多く、放課後の時間もタイト。

  • ICT活用が増えた結果、“やること”も増加:紙からデジタルへ置き換えただけでは余裕は生まれず、むしろ複雑化することもある。

  • 創造的な話し合いの時間:アイデアを膨らませたり、試作したり、議論したりする時間こそが情報教育の本質だが、どうやって捻出するか?

上記のような課題を、ICTや生成AIを活用することで解決されている様子をお話いただきました!

情報教育の課題を解説されている様子①
情報教育の課題を解説されている様子②

情報科に限らず、授業では「生徒が創造する時間を、いかに確保するか」がポイントだと気付かされました。

Google for Education の実践的活用法

Gemini を活用した企画検討

先生の授業では、Google Workspace for Education と Gemini API を連携して、生徒が行う企画の下調べやアイデア出しを効率化されていました。

生成AIの活用を進めるためのポイントを解説されている様子

流れとしては、

  1. 知る → 調べる

    • 生徒同士で Google スプレッドシート に情報を共同編集し、Gemini API で要点を自動要約。

    • 調べられる量が一気に増え、かつ早くまとまるため、短い時間でも大量の資料を精査できる。

  2. 洗い出す → 解釈する

    • Google フォーム 等を使ってアイデアや問題点を吸い上げ、そのデータを Looker Studio で可視化。

    • 生徒同士が「どこを深掘りするか」をすぐ共有し、より深い話し合いに入れる。

  3. 決める → ディスカッション

    • 仮想ペルソナを設定して生成AI( Gemini API と多角的に議論したり、結論を出す。

    • ここでも生成AIが補助的にアイデアを提示するが、最終判断は「人間が考えるべき」とのこと。

  4. 発想する → 具体化

    • 最終提案へまとめる。

参加者目線で印象深かったのは、“ 生成AIが色々やってくれるからこそ人間が考えるべきところに集中できる  という言葉でした。
たしかに、情報収集から要約まで生成AIがサポートすれば、「何を決め、どう実行するか」の部分に生徒が注力できるんだな、と納得です。

仮想ペルソナの議論の様子はこちらからご覧いただけます。

また、フィードバックにおいても効果的に活用されていました。

3年生の卒業制作の授業では、活動レポートを毎時間 Google フォーム で提出させ、そのデータを教師がAI連携してフィードバックを生成→加筆修正→ Looker Studio で可視化→再度生徒へ共有、という循環を作っているとのことです。

Google フォーム と Gemini API を連携した様子

Google フォーム との連携についてはこちらからご覧いただけます。

これにより、
生徒目線では、タイムリーかつ丁寧なコメントを得られるため、「次の時間に何を改善すればいいか」がすぐ分かりますね!
教師目線では、いちいち手書きでコメントする負担が軽減され、AIが出してくれた文章にポイントを補足する形でOKなので、質量ともに対応しやすいです。

結果として、レポートの内容自体が格段に濃くなり、生徒同士の情報共有も活性化したそうです。

Google AppSheet の実演の様子

また、 Google AppSheet を活用して、教師側では生徒のコメント管理やフィードバックの入力を効率化していました。
この Google AppSheet の活用方法は注目かなと思います!

レポートの質を上げるための活用事例はこちらからご覧いただけます。

ここでの生成AIの活用として、「生成AIが下書きを作り、教師が“最終チェックをして温度感を入れる”」というイメージを解説されており、とても実践的だと思いました。
私自身もレポート指導の時間不足に悩むことが多いので、真似してみたいです!

これからの情報教育に向けて

講座の最後では、「生成AIやICTの進化速度は速いが、あくまで生徒の思考や創造力をどう引き出すかがポイント」とおっしゃっていました。

具体的には、次のようなポイントを解説していただきました。

  • 先生が答えやプロンプトを先に配りすぎない:生成AIが即答してしまう時代こそ、生徒がどんな問いを持ち、どんなアプローチをしたいのかを考えさせたい。

  • 常に“再設計”:授業をやって終わりではなく、さらにどう発展できるかを考え続ける。

  • 試行錯誤や対話の時間:どれだけ生徒に与えられるかが「情報クリエイティビティ」育成のカギ。

「生成AIが強力になったら情報科の意義はどうなるの?」と思われる先生方も多いのではないでしょうか。
この講座をご覧いただくと、それはむしろ “ 生成AIをどう使うかを考える人間側の創造力 ” がますます重要になるということだと実感できると思います。
受講後、「私も授業をもう一度組み直してみよう!」と意欲が湧いてきました。

おわりに

今回の講座で特に胸に刺さったのは、情報科こそ生徒の創造力を本気で育む場になるという視点です。テクノロジーが発展すればするほど、単なる活用術だけでなく、“ 自分たちで何を作りたいのか、誰のために作るのか ” を考える教育が必要になる――まさに「情報クリエイティビティ」と感じました!

さらに詳しい内容や活用事例は、教員限定の Facebook グループで公開していますので、ぜひ G-Apps.jp Community ~ 教育現場での Google for Education 活用コミュニティ~ にご参加ください!

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