DX の心技体【5】Small Start で始めて、失敗と成果を積み上げて進めること(勇気を出して1歩踏みだそう)
Small Startを決めよう
2022年の今年の漢字は『戦』と発表されました。
オリンピックイヤーには『金』の字が多いように、世相を反映した言葉が選ばれます。
今年も、世界で文字通りの出来事も発生している中ではありますが、今の閉塞した時代を生きる中、人それぞれが思い浮かべる「生活」や「ビジネス」、「スポーツ」の戦いという観点からも、この字が選ばれたのではないかと思います。
今回着目すべきは、前回のテーマの「デジタル武装」の続きとして、とにかくDXへの道を進めていこうというです。DXロードのキックオフです。
そうは言っても、予算もない、デジタルスキルのあるリソースもないなど、この先の不安や、想い通りに事が進められないことがあるのも容易に理解できます。そのため、様子見や、他社の動向伺いをしてしまうことがあっても何ら不思議ではありません。
そこで、スモールスタートです。
これは通常、「新たな事業を立ち上げる際に、最初は機能やサービスを限定するなどして小規模に展開し、需要の増大などに応じて順次規模を拡大させていくこと。」と意味合いで使われます。
たとえデジタル武装を進め、準備万端であったとしても最初から高いハードルを設定してはいけません。まずは小さな成功を繰り返しながら、徐々にステップアップしていくことが重要です。気持ち的には一気に行きたくなるところですが、体がついてこないと意味がありません。着実なステップを刻むことが、長期的にみて大きな成功に至るための近道になります。長い旅路になるので、ハイジャンプのバーを段々上がていく感じで行きたいです。
例えば、グーグルワークスペースのようなコラボレーションツールを導入し、それでクラウドでのドキュメントの作成、共有、コミュニケーションや会議などで働き方を変えてみる。Amazonビジネスプロフィールに登録して、ビジネスサイトや店舗、商品を発信してみることで、マップ検索からの訪問客を増やしてみるなど。
デジタル武装を重ねて、素早くビジネスを進めていくことで、その効果を素早く確認していくことです。
ということで、今回言いたいことはこちらになります。
1.一歩踏み出す勇気を
2.焦らないこと
3.失敗と挫折を糧に
4.背中を押してもらいながら
5.足跡を残すこと
1.一歩踏み出す勇気を
何かを始めるとき、これまでと違う新たな道へ進もうとする時、誰もが悩み、迷い、決断できない時もあるでしょう。
そんな時のために、この言葉があります。まず有名なところでは、あの方の発言です。
「変わらないこと、あきらめないことはもちろん大事。でも、変わろうとする思い、変わろうとする覚悟、そして、一歩踏み出す勇気も同じぐらい大事なんじゃないかな」(内藤哲也)
ご存じ新日本プロレスで熱い闘いを見せ続けている内藤選手ですが、その発言力も強烈で大きな魅力で人を惹きつけて止みません。この話は、熊本でのプロレス興業の際に、熊本地震からの復興に触れ、「プロレスを通じて、一歩踏み出す勇気を皆様に与え続けていきたいなと思います」と感動のマイクパフォーマンスを行ったものです。
そして、これと同様の趣旨の言動や、この言葉をリスペクトしたと思われる発言なども、度々聞くことがあります。
「一歩目を踏み出してみなけりゃ 何も始まらないよ 頭の中で 答えを出すな」(制服のマネキン / 乃木坂46)
「一歩踏み出す勇気さえあれば、10年後、20年後、笑っていられる自分がいると思っています」(乃木坂46新内眞衣)
「だから、私も勇気を振り絞って一歩踏み出したいと思いました。というわけで、私、松井珠理奈はSKE48を卒業します」
このようにショービジネスの現場では特に共感を得られる言葉になるのでしょう。近年の世相を反映してか、アイドル界でも「グループ解散」や「メンバー卒業」が相次ぎました。新しい道に進もうと決意する時には、想像以上の大変な勇気が必要なのでしょう。
宙飛行士であるニール・アームストロングの名言「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である」も頭に浮かんできます。たかが「一歩」、されど「一歩」。その重さ、意義はそれぞれなのです。
こうした勇気と決意は、DXの道についても同様に大事にしたいところです。
2.焦らないこと
いざ取り組みを始またところで、簡単に結果が出ないこともあります。例えばRPA(Robotic Process Automation)を使った業務処理の自動化・業務効率化のPoC(Proof of Concept:概念実証)を続けても最終的に業務移行の壁にぶつかり実際の効果発現に至らないケースも多くみられます。SNSを始めても、そんな簡単にフォロワーが増えたり、”いいね”がもらえたりする訳ではないでしょう。
結果が見えない時には、もどかしさや焦りが出てしまうことも。まだまだこれからとは思いつつ、なんでだろうという焦燥感。
で答えはもちろん、トランキーロ、あっせんなよ!
これもご存じの通り内藤選手の言葉で、お約束です。
「人間のあらゆる過ちは、すべて焦りから来ている。周到さをそうそうに放棄し、もっともらしい事柄を、もっともらしく仕立ててみせる。」(フランツ・カフカ)
目先の結果に一喜一憂することなく、むやみに焦る必要はありません。時にはポジティブ思考で、長期的な視点をもっていきましょう。
3.失敗と挫折を糧に
「失敗は成功の母」という有名な言葉があります。
「失敗は、その原因をつきとめて改善すれば、むしろ成功への契機となる。失敗したからといってくじけず、冷静に対処することが将来の成功をもたらす。」という意味ですね。
システム開発のプロジェクトなどでも、大小はあれ問題が発生しないということは通常ありません。トラブルの発生は本来避けたいところですが、むしろその対応如何が重要になります。
この世に生きている限り、失敗は繰り返されます。若いうちはそれも勉強だと言って失敗を恐れてはならないと教えられます。でも気を緩めるととんだミスをやらかすこともありますので、何らかの意識づけをしておく必要が出てきます。
ビジネスの世界でも失敗学という研究分野があり、企業戦略論として語られることがよくあります。
失敗学の権威である畑村洋太郎氏の『失敗学のすすめ』では、「失敗体験には、人の関心や興味を惹き付ける不思議な力があり記憶に残りやすい」と語られます。失敗から学ぶには失敗の原因を分析することも大切で、失敗の原因を突き止められれば、適切な対策方法がわかるということです。
『トヨタの失敗学 -「ミス」を「成果」に変える仕事術』では、冒頭に「トヨタに『失敗』という言葉はない。」と記されています。何故か?
トヨタでは、不良やミスは、そのまま放置するものではなく、「改善のチャンス」ととらえているからだ
みんなで、真因(真の原因)を追究し、「答え」を考える
トヨタにとって、「失敗」は、よりよい仕事を実現し、強い組織をつくるための貴重な学びの機会になる
※これは、「NO10.組織力を上げること」につながる話ですね。
「失敗することは本当に大切だと思う。失敗の恐ろしさをよく分かっている人は、準備もたくさんするし、心から勝ちたいと思うことができる。」(リーチ・マイケル / ラグビー日本代表の元キャプテン)
失敗を成功へのプロセスとしてポジティブにとらえるマインドセットが必要なのででしょう。そして、失敗から学ぶには、失敗を成功へのプロセスだと考え、チャレンジを続けることが大切です。
成功体験とともに失敗体験も糧として、レベルアップを図ることを続けていきたいです。絶えず繰り返される営みとして、小さな波や大きな波を乗り越えながら、戦い方を学んでいくことが肝要なのでしょう。
4.背中を押してもらいながら
少しの勇気と失敗をも恐れないマインドがあれば、Smallビジネスはすぐにでも動かすことができるでしょう。
それでも足が動かない時には、誰かに手を引いてもらいたいこともあるでしょう。一緒に走ってもらえる仲間が欲しくもなります。いわゆる伴走支援者というものの存在ですね。
とにかく、誰かと手をつなぎながら、背中を押してもらいながら、感謝しながら走り続けましょう。
心千切れ辛い時も 背中を押す手が何度も繋いでくれるよ
僕らが燃やすプライドだけ 信じて突き進むさ(PRIDE / Nobelbright)ひとりじゃないよ 春風よ 僕の背中を押してくれよ今(春風 / 西山晃世)
空は今 明日を始めようと叫んで 誰かの背中を押す風になる(光彩と涙 / 佐咲紗花)
※これは、「NO9.変革・変化に対応するものを巻き込むこと(チェンジマネジメント)」につながる話です。
5.足跡を残すこと
最後になりますが、これは個人的にも結構好きなフレーズです。変革においては、一時的に何かをなすだけでなく、それを定着化させることが重要になります。そのためには、次につなぐための種を撒いていくことがとても大事なのです。形として残すこと。それを見て、使って、後続が続いていけることで、その足跡がゆるぎない深いものとして刻まれていきます。
自分が歩む道は、後に続く誰かがたどる道になります。
自分の前に道はなくとも、自分の後ろに道はできる。
例えば、真っ白な雪道にのびる誰かの足跡。そこをたどることで、後続が安心して続いてこれるのです。
足跡としてどんな形を残せるかを意識しておきましょう。それは誰のために、何のために。
また一歩 次の一歩 足音を踏み鳴らせ! この足音を聞いてる誰かがきっといる(足音 ~Be Strong / Mr.Children)
辿った道に続く足跡 全て美しく 届けたい未来は叶えたい未来 あの日の自分へ(足跡 / Little Glee Monster)
孤独な夜も星を味方に 自分の足跡残すんだ(ファースト・ラビット / AKB48)
失敗と成果を積み上げながら、デジタルトランスフォーメーションの道を歩み続けましょう
変わるものと 変わらないもの。
追いかけるものと 付いてくるもの。
これらも意識しておきましょう。
目には見えない大事なものがあり、それらがきっと背中を押してくれるはずです。
さあ、勇気を出して1歩踏みだし、傷つきながらも強く、たくましく、しなやかに進んでまいりましょう。
この先は、「No.6の最新技術・ソリューションをうまく活用し、新しいビジネスを作ること(デジタル技術の活用で経営課題の解決へ)」に繋がっていきます。
DXの心技体【6】~はまた以降の投稿で!
【再掲】DX推進の心技体(10選)
まずは自分なりのDXを語ること(自身の言葉で定義してみよう)
未来ビジョンに向けたJourneyとすること(ありたい形、なりたい姿を追求する)
顧客志向で提供価値を表明すること(「ならではの価値」を提供しよう)
手っ取り早くデジタル武装すること(低コスト・短期間で効果を実感できるものがあります)
Small Start で始めて、失敗と成果を積み上げて進めること(勇気を出して1歩踏みだそう)
最新技術・ソリューションをうまく活用し、新しいビジネスを作ること(デジタル技術の活用で経営課題の解決へ)
戦略的に考えてみること(シナリオ、プランを練って先を見据えて動こう)
気力・体力を維持し、流されないこと(絶えずゴールを見据える)
変革・変化に対応するものを巻き込むこと(抵抗勢力に対するチェンジマネジメントも必要)
組織力を上げること(横断組織、俊敏性、爆速、Agile)