[二つの嘘] 第一話
あれは猛暑、蝉のなき声と共に流れ落ちていく汗。
中学受験の時に住民票的なものを探す必要性があった。
親に大事な書類は2番目のタンスの中にあると言われてたから探すのは容易だった。
そして自分の気持ちが崩れていくのも容易だった。
書類上では自分の父の名前が今一緒に生活している父の名前ではなかった。
確認するのが怖くって、知らないふりをした。
書かれている名前の人はあったことある方だった。その人のあ母さんとお父さんにも会ったことがある。
親にはおじいちゃん、おばあちゃん、まささん(偽名)と呼んでねと言われたこともあった。
悶々とした気持ちの中で中学受験が終わった。
夏休みだから毎日家にいた。
親は毎日経過をしていた。お金がないから。
父はお母が家事をしないことに怒っていた。母は父が働かないことに怒っていった。
ついに椅子を投げ合う羽目に。
自分は部屋に籠っていた。
とばっちりを食らうのが怖いというよりこれが日常だから止めるのも面倒くさいと思った。
直接見なくても消えてくれない喧嘩の音。
あー学校だったらよかったのに、親が視界から入らくて済むから。そう心から思った。
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