誰かを想う。|撮影日誌
今回写真の展示を行うにあたって、
一番に浮かんだ写真。
この一枚から導かれたテーマは、
『think of...』
誰かが誰かを思う瞬間、です。
8月1日から9月のはじめまで
高知県黒潮町にある宿泊施設
ネスト・ウエストガーデン土佐さんにある
小さなギャラリーで写真の展示を
させていただいております。
今回、お声掛けいただいて
とても嬉しかった反面、
さて何を展示しようかと悩みました。
写真展示は今回で3回目。
1回目は初めてのこともあって、
私の記録のような、ただ好きな写真を集めた
まとまりはないけど、鮮やかな展示に。
2回目は継続して撮らせていただいている
果樹園さんの文旦の成長をおった展示に。
そして、今回。
会場である黒潮町には、小さい頃から行き慣れた
大きな大きな海岸、入野海岸があります。
毎年そこで行われている『Tシャツアート展』が大好きで、
過去に撮った海岸の写真でもいいなと思いましたが、
ふと、ネストさんのギャラリーを考えた時に、
木で作られた明るい、暖かい、
温もりのある空気を感じました。
同時に、わたしの中で思い浮かんだ一枚の写真。
この写真が私の今回の展示のキーになりました。
友人宅に第二子が生まれ、訪問した際に
『新生児のこの匂いがすごく好き』と
父親がその子を抱き、匂いを嗅いでいる瞬間です。
本人も気にも留めていない、
本当に何気ない一瞬ですが、
この瞬間が、尊くて、美しくて、幸せで、
一瞬、時が止まったかのように感じたのです。
この一枚から導かれたテーマは、
『think of...』
誰かが誰かを思う瞬間、です。
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少し時は遡りますが、
2019年の12月、
友人の子どもが1歳になりました。
「1歳記念の写真を撮って欲しい」
その一言をきっかけに写真を撮り、
その日の思い出をSNSにのせたことをきっかけに、
『写真を撮ってほしい』
といういろんな方々からの連絡に繋がっていき、
思い出のお手伝いとして
写真を撮らせてもらうようになりました。
誕生日、七五三、成人記念...
人生の節々に頼んでいただいている写真。
その日を、その時間を
思い返せるように、空気感を留められるように
ひとつひとつの撮影に向き合っています。
ご依頼いただいて、
セットを組んだり、
みんな目線を揃えたりといった
記念になるような写真はもちろんですが、
その写真の前後の写真。
記念写真とはいえない
メイキングのような写真も
必ず引き渡しの時にお渡ししています。
誰かが誰かを思いやる
そんな気持ちがこもっている写真が
わたし自身、とても好きです。
あんなに緊張していたのに、
こんな表情が出るんだ、なんて
写真を撮ると、
思いもしなかった幸せな瞬間に巡り合います。
「いつもはガチガチになる父の自然ないい表情が写っているのも嬉しいです」
そう依頼してくれた方から言葉をいただくこともありました。
家族でも、大事な人でも、
実は自分や、子どもに向けて
こんな表情をしているんだ、
なんて
第三者が撮る写真を通して、
気づくことがあるんだと思います。
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今回の展示は、
そんな今までお仕事で撮影した家族写真のなかで
記念写真ではない、メイキングのような瞬間だけど
誰かが誰かを想っていることが
感じられる写真を集めました。
誰かが誰かを想う瞬間は
とても優しい空気が流れます。
当日機嫌があまり良くないと言っていたお兄ちゃんだって、
撮られることは慣れていないから心配と言っていたお父さんだって、
好きな人たちに向ける顔は
とっても優しい顔をしています。
それが
『think of…』
誰かが誰かを想う、瞬間です。
お仕事を始めて当初の写真もあり、
撮影技術的には未熟な写真もありますが、
それでもわたし自身が思い出深く、
好きな写真ばかりです。
大半は仕事アカウント(@matataki_)に
載せたものですが、
もし近くまで行かれることがあれば
少し立ち寄っていただけると嬉しいです。