本屋が恋しい。
毎月月初。
会社終わりに近くの本屋さんで毎月購読している料理雑誌を購入したり、気になるレシピ本を物色するのが私の楽しみ。
先月も、ELLE gourmetとcafe-sweetsを求め、るんるん気分で本屋の駐車場に車をつけた。
……なんだか店が暗い。店休日か…?
車を降りて店に近づいて行くと、なんだか無機質な棚やコンテナが中に見えてきた。
嫌な予感がする。
ドアの前に立つ。
貼り紙が貼ってある。
何やらかしこまった様子の明朝体がズラリと前ならえしてピシッと整列している。
「閉店のお知らせ。」
えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええええ!!!!
え、なにそれいやだ。
2週間前も来てウー・ウェンさんの点心レシピ本買ったばっかりなのに。
その前は、息子に勉強を教える来たるべき日に向けて数学Ⅱ・Bの問題集を買ったのに。
2.3ページ解いて、十数年前と同じ「ワカンネ」状態に陥ってから一度も開いてないけど。
なんなら息子はまだ3歳でカタカナの「サ」しか書けないけど。
全然気づかなかった。
漫画よりも専門書や少しニッチなレシピ本なんかがたくさん並んでいたお気に入りの本屋さん。
仕事が定時ぴったりに収まり、息子のお迎えまで少し時間がある時なんかにふらっと立ち寄って料理本や受験・資格カテゴリをウロウロと物色するのが好きだったのに。
息子の初めての絵本もここで買ったのに。
少し無愛想だけど本が好きなんだろうなと言うメガネをかけた店員さん。
まだまだ初々しいけれど丁寧な接客をしてくれたお姉さん。
あの知と興味に溢れた空間の豊かな時間が失われちゃった……ってコト!?!?(ハチワレ構文)
去年は住んでいる街のTSUTAYAが潰れた。漫画とかCDとかよくジャケ借りしていたのに。多分年間200冊は借りてたのに。Tポイントだいぶ貯まってきてたのに。
まだ街には本屋さんがあるのはあるんだけれど、いかんせん会社からかなり離れているし。
何より私にとってはコンパクトで洗練されすぎている。
聞けば通っていた大学の近くの本屋さんもつい最近閉店したと言う。
高校3年生の頃、夜23時に当時住んでいた祖母の家の窓から家を抜け出し、毎日徒歩で通って参考書を読み漁った大きな本屋さんも。
気づけば看板が白塗りにされてしまっていた。
ここのところ身近な本屋さんが立て続けに潰れている。
ネットショッピングで買えばいいだけの話ではあるんだけど…
そうじゃないんだなぁーーーー…。
自分で興味のあるワードを検索して、これだと思う本をワンタップで購入するのも嬉しい。とっても便利だ。
それでも。
みっちり並んだ背表紙をずらっと目を通し、たくさんの本の中から
心にビビッと刺さる自然体なタイトル
美味しそうな表紙の料理写真
サラッとした凹凸のある紙質のカバー
ホワイトスペースが効いたデザイン
心が「なんだかこの本いいな」と思うものを手にとる。
受動的で。
不便で。
雑多で。
時間のかかる宝探しのような時間がどうしようもなく好きだったんだ。
そんな豊かな時間が、ここ最近で一気に気軽にふらっと行けるものじゃなくなったのがかなり残念…。
「あの頃は良かった」なんて言いたくはないんだけれど、やっぱりこういうアナログなところは自分の中でも大切なところなんだなと実感する。
あぁーーーーー難しいのかもしれないけれど、やっぱ近くに欲しいなぁ…本屋さん…。