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夫と火花とディアマンサブレ。

つい最近、家のオーブンレンジが大きな火花を散らして以降、うんともすんとも言わなくなった。

人からいただいたもので製造年はなんと2004年。大往生だ。古かったけど、使い勝手は結構よかったのに…。

こうなってくると早急に買い換えなければいけない。
しかし、料理は好きだが、電化製品の性能なんかはさっぱり分からない。
今まで、「なんかデカくて頑丈そう」「ロボットっぽくてかっこいい」くらいのふわふわした感じで私が選んだPCや掃除機はいざ使ってみる段階になってから色々と問題点が見つかってきた。

こんな時は、几帳面で凝り性な夫の出番。

電化製品を購入する時は、スペックから機能、画面表示やメーカーごとの商品特徴まで徹底的に調べる。朝起きると「2時間しか寝られんやった…」と、フラフラになるほど調べたおす。寝てくれ。

ということで、今回のオーブンレンジも故障した瞬間から情報収集。

「容量は27L以上あればいいやろ」
オーブンレンジに容量とかあるんだ。

「ファンがない方が掃除しやすいかな」
ファンあったほうがかっこいいじゃん。

「外側が○cmだから棚の上には置けないか」
ほーん(半分聞いてない)


ということで、「これとこれどっちがいい」と、最終的に厳しい夫基準を潜り抜けた2つを提示された。


私が選んだのは、過熱水蒸気オーブンレンジ。の白。


夫はそれを聞いて、数秒の沈黙ののち「…色は黒で」と言った。
なんだなんだ。世の中は民主主義だぞ。私の意見も少しは聞いてくれー。

「来年引っ越すんだから、家電の色は揃えた方が方が家がかっこよくなるやろ」。


我が家の冷蔵庫と炊飯器は黒だ。
……夫の言うことも一理ある。ここは私が折れよう。


ということで、我が家にオーブンレンジが届いた。うぉー!なんだか画面からしてもうハイテクっぽいぞ。

スマホと連動して、料理を選べば、それに適した治療方法で水蒸気調理やオーブン、レンジを勝手に使い分けて美味しく仕上げてくれるらしい。ほぇー。


とはいえ、未知の機能に手を出すのは慣れてからにしよう。
オーブンは機種によって火の通し方のクセが全然違うらしい。手始めに、作り慣れた「ディアマンサブレ」を焼くことにする。


ディアマンサブレは、私が一番よく作る焼き菓子だ。アーモンドプードルと粉砂糖を多めにして軽めの食感に仕上げるのが我が家流。

薄力粉、粉砂糖、塩、アーモンドプードルをフードプロセッサーに入れて混ぜ、そこに角切りにしたバターと卵黄を入れて再度混ぜる。
常温に戻したバターを使って手で作るのも好きだけれど、せっかちだから頼っちゃうよね。文明の利器様様。

まとまるようになってきたら生地を取り出し、棒状に成形してしばし冷凍庫へ。数十分間、Backstreet Boysの「I Want It That Way」を聴きながら踊る息子を眺める。えらい発音がうまいな。

息子が踊り疲れた頃、寝かせておいた生地を取り出し、周りにグラニュー糖をまとわせて適当な厚さにカットし、シルパンを敷いた天板の上に均等になるよう並べていく。
シルパンって敷くだけで、焼き菓子の仕上がりが全然変わる。初めて使った時は、その仕上がりの良さに感動した。

本当にサッッッッッックサクになる。
まだ使ったことがない方には是非に試していただきたい。あ。突然のPR。


余熱しておいたオーブンが軽やかに時間を告げる。今までと違う音がする。
熱気を逃さないように、サッと天板を入れてすぐに扉を閉める。なんだか今までのやつよりも温度が高く感じるような…。少し焼き時間を短めにしておくか。

スタートボタンを押すと、オーブンレンジは低く唸り声を上げながら、サブレを照らし出す。
部屋中に甘い匂いが漂い出し、それまでピアノを弾いていた息子が顔を上げる。
「クッキーつくってるの?みたい」と、夫に抱っこをせびる。夫も息子を抱き上げながら、中の様子に興味津々。


焼き上がりの音が鳴ると、私が立ち上がるよりも先に夫がミトンを装着し、中から天板を取り出す。厚めに切ってしっかり冷やしたから、高さがしっかり出ている。
夫は、まだ柔らかいサブレをケーキクーラーにひょいひょいと出していく。お、分かっているじゃあないか。

息子は文字通りよだれをたらしながら、「○○ちゃん、クッキーたべたぁい」と言う。気持ちは分かるけれども、もうあなた歯磨いちゃったからね。


粗熱が取れた後、乾燥剤を入れたタッパーの中にサブレを収めていく。
今回作ったのは、プレーンとチャイとローズマリー。スパイス系のクッキーってなかなか売っていないから、家で作る時はここぞとばかりにたくさん茶葉やハーブを入れる。


夜ももう遅い。クッキーはまだほんのりあたたかい。
これは明日のお楽しみだ。


我が家の新入りオーブンレンジ。焼き具合も使い心地も申し分ない。
どうやら我が家には、有望な新人が来たようだ。





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