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友と夢とバナナキャラメルマフィン。

3月。関東に行った大学時代の友人がこちらに遊びに来た。
連絡をもらった時から、カレンダーに蛍光ペンでアンダーラインを引き、何度も何度も予定を見返した。

数年前に関東に行ってしまうまでは、車で片道2時間かけて毎月会いに行っては隣県までカフェに行ったり、コスメを買い漁っていた。
人にはなかなか言えないようなこともたくさん話してきた。


その子と私は、一言で言うと「おまおれ」
(※「おまえ=おれ」の略)

納豆キムチ生卵ご飯やマックのてりたま、回転寿司、焼肉を全く同じ日に食べていたり、使っているリップやハイライトが色番まで全く一緒だったり…。

Xで何気なく「ハーゲンダッツのアーモンドキャラメル味が美味しい」と言えば、「今まさに食べてたwwwww」となったり。
挙げ始めればキリがないほど、タイミングぴったり。脳みそをクラウド共有してるのかというレベル。


とにもかくにも、そんな友人が帰ってくる。
10月は島根が神有月なら、3月はここが神有月だ!!!!
\ドンドコドンドン‼︎ワッショイワッショイ‼︎/


離れてからずっと溜まり続けていた「連れて行きたい焼き菓子&パン屋リスト」がそれはそれはたくさんあるのだ。

当日。駅で待ち合わせた。
小雨の中、にっこり笑った友人が手を振りながらやってきた。少し都会の人になった気がする。

ほぼ一年ぶりにあったけれど、そんな時間を感じさせないほど話題が尽きない。


連れていったのは、こじんまりした焼き菓子店。

品揃えは少ないけれど、そのどれもが美味しい!
スコーンにクッキー、ケーキにプリン。それも手作り感のある味わいなのに、真似できないほど洗練された味のバランス。

もうここに関しては、本当に大好きな人にしか教えたくない。だから連れてきた。


そんなお店の中でも、私の一番の推しが「バナナキャラメルマフィン」だ。

元々私にとってマフィンは、「もらったら食べるかな」というくらいの存在だった。
甘すぎたり、紙についた生地がボロボロ溢れたり、口の中の水分ドロボーだったりするんだ。


でもここのは違う。
端っこはカリっとしているのに、中はバナナがぎっしり入っていて半生っぽくて…。

キャラメルではなく「カラメル」だから、しっかり深い苦味やコクがあって甘すぎない。上にごろごろ乗っけられたクランブルもサクッとしていて…。フルール・ド・セルを使用しているのかな?塩気が効いているところがあってとっても美味しい。

一口食べた瞬間、毎回脳に快楽物質がドバドバ出る。何か入ってるのかコレ。


「絶対に食べてほしい」とかなりの熱量で言うと、友人は2つ頼んでいた。

私は知っている。
絶対に2つじゃ足りない。
向こうに帰ってから、「もっと買っておけばよかった」って連絡が絶対来るに違いない。

そう思いながら、いつもなら3、4個買うのに見栄を張って私も2つだけ購入。


その後は、海の近くのお寿司屋さんに行き、スコーン屋やパン屋さんを巡った。

車に乗っている間、今の仕事の悩みや昔の恋愛の話、将来はこういうことをしたい!なんて熱い話をした。

「いつか共同経営者として一緒にビジネスできるといいね」なんて言いながら。


この友人と話すと、とにかく楽しいし、勉強になるし、やる気が出る。

人当たりが良くて、賢くて、でもアホなことでも全力で楽しめて、この子のこと嫌いな人なんていないんじゃないだろうかと思う。



空港まで送った後は、実家から友人が乗っているであろう飛行機を見送った。
雲が分厚くて、飛行機のエンジン音しか聞こえなかった。


そして夜。スマホが鳴った。

「あともう2つくらい買っておくべきだった…」


ほらね。
絶対そう言うと思った。
だって私もちょうど同じ後悔してたから。



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