大丈夫

気付けば数ヶ月キッチンに立ってなかった。
独りで生きていると外食か空腹で夜を越す。

俺はチョコが食べられない。
甘ったるさが舌根にまで残る感覚が苦手だ。
けど凍らせたホワイトチョコは食べられる。
理由はわからないけど味覚が受け入れてる。

最近、お湯を飲む事を習慣付けている。
目的はカフェインを少しずつ抜く事と、
なんというか飲むと"ほっ"とするのだ。

適当な時間に飲むようなってしまった
大量の向精神薬、抗鬱剤、抗不安薬を、
段ボールで買い溜めているコーヒーで
流し込んで効いた振りをする毎日も辞めた。

定時に決められた薬を適量、水で飲んでいる。
当たり前の事なのに数年間出来ていなかった。
効いた振りに慣れたから有効かはわからない。

でも、やる事が大事だと思っている。
行動する事が。
自発的に、能動的に取り組む事が。

深夜、飲もうとしたお湯を沸かしすぎて、
氷を足そうと思い、久々に冷凍庫を開けた。
君が「一緒に食べよう」と僕に残していた、
白いアルフォートが隅っこで霜を被ってた。

手に取って、封を開けて、
一欠片、口に放り込んだ。

日常の甘さだった。
大切な物を忘れてしまう気がしたから
ゆっくり舌と心で溶かして飲み込んだ。
目を瞑って考える。過ちと邂逅した日々。

お湯は冷めていた。