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五月十五日。

夏みたいな暑さと相模大野。
失くした物を数えていく程、
自分の指の少なさに呆れる。
覚えやすい名前をした建物。
どんなセンスしてんだって、
笑い合った日々は無かった。

鼻を突いたあの日の匂いを辿って、
見づらい角を曲がれば君が居た街。
轍は記憶と一緒に取り壊されてた。

五月十五日。
夜が眠りに着いた頃、喘鳴が響く。
何かの誰かに成りたかったのか?
誰かの明日に成りたかったのか?

見慣れた景色にも不安を抱えて、
成りたかった自分は居なかった。

君が眠りに着いた頃、嗚咽が響く。
珍しく人前で泣いた。少年の様に。
気付けば明日は何処にも無かった。
明滅する視界と記憶、また泣いた。

見飽きた風景にも心臓を揺られて、
眺望していた人がまた溶けていく。

窓辺へ洩れる暖かさは、
ただ悲しく、甚だしく。

もう誰も失くしたくない。
もう誰にも捨てられたくない。
出来ない事の多さに嘲笑されたくない。

生きてる理由が死神の様に、
ずっと背に張り付いている。
死なない理由だけが居ない。

頼むよ、今日の話をさせてくれ。
頼むよ、過去に変えないでくれ。
頼むよ、約束をさせないでくれ。

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