永久保存版!教え方の極意~フィードバック編~
こんにちは。
㈱ヒューマンリソースマネジメント研究所
なつカウンセリングルーム 代表
土肥なつみです。
「人生を彩る居場所をつくる」を企業理念とし、
起業研修・カウンセリング・人材育成コンサルティング等を行っています。
私の自己紹介はこちらのマガジンをご覧ください。
本日は前回の記事の続きです。
前回は「教え方の型」ということで教え方の手順について解説をしました。
今回は、その説明に基づき実際に部下・スタッフが実際に動いたあとの「フィードバック」の型について記事にしていきます。
初めてお読みになる方は前回の記事からお読み下さい。
※分かりやすくするため、ここでの想定シチュエーションは
「飲食店の新人アルバイトさんに初めて席案内をさせる」に統一します。
考える力を付けさせるフィードバックの極意
①良かったところを伝える
まず“良かったこと”を伝えます。
初めてやる仕事は大抵グダグダです。言いたいことが山のようにあるのも分かります。
できたことなんてあるのか?と言いたくなるかもしれませんが、それをしっかり観察するのが教えるものの仕事だと私は思っています。
良いところを見つけられない人に相手の個性を伸ばすことはできません。
「笑顔良かったね」
「お客様としっかりアイコンタクトが取れていたね」
「元気な声を出せていたね」
そういう小さなことで良いんです。
初めての仕事は誰だって不安ですよね。人によってはそれに加えて「何ダメ出しされるんだろう…」とビクビクしていることもあります。
出来たこと、良かったことを最初に伝えることで部下・スタッフに自信を付けさせることができます。
ちょっと本題からそれますが、私が過去に経験したお店でこんなことがありました。
異動してきた初日、なんとなくスタッフたちの口数が少ないなぁ…と感じていたらスタッフに
「土肥さんは怒ったりしないんですか?」といきなり聞かれたことがあります。
話を聞いてみると、過去にいた上司のダメ出しがとにかく激しい。一歩足を踏み出せば罵声が飛んでくるぐらいの勢いだったと聞きました。
お客様が目の前にいる仕事で、スタッフが先輩や上司の顔を見ながら仕事をし出したら終わりだな、と私は思うんです。
必要な指摘はもちろんしますが、そこに怒りの感情や罵声を乗せる必要は全くないです。
スタッフに自信を付けさせるため、100%お客様の方を向いてもらうためにも、まずは相手の良いところから伝えてあげましょう。
少し上級編ですが、良かったところを伝える際に
「(その良かった行動が)お客様にとってどうだったか」
という視点を入れることで、スタッフによりお客様視点を持ってもらうことができます。
褒めることも大切ですが、褒め方を間違えると「上司や先輩に褒められるための仕事」になってしまいかねません。特に就労経験の少ない学生スタッフさんには最初の段階で「これはお客様のための仕事である」ことを意識してもらいましょう。
②やってみた感想を聞く
多くの人がやっていないけどとっても大切なことは、やってみた感想を部下やスタッフに聞くことです。
「やってみてどうだった?」
「どんなことがうまくできた?」
「自己採点するとしたら何点?」
800名以上の新人さんを教えていて感じるのは、多くのスタッフが
“答えを待っている”ということです。
学校教育の影響なのか、すぐ情報が手に入る世の中になったからなのか何なのかはわかりませんが(私も新人の時はそうだったし)、
「答えは与えられるものだ」と思っている可能性があります。
まずは、自分で自分の仕事ぶりがどうだったかを考えてもらいます。
スタッフ教育の方法が本にもなっているスターバックスは、接客マニュアルがないことで有名です。
お客様にとってどのように接すれば“サードプレイス”になるか、コーチング的な関わりでスタッフひとりひとりに考えさせると言います。
しかしマニュアルのきっちり決まっているチェーン店でも同じです。答えはあるのですが、まずは自分でどうだったかを考えてもらうことが大切です。
順番としては
1)うまくできたこと
2)できなかったこと
がベストですが、あまりにもスタッフが「全然ダメだった~!」と言うようであれば、まずは気になっていることから話してもらいましょう。
③どうなっていればいいかを考えてもらう
ここでもまずは自分で考えてもらいます。
スタッフの自己評価で「できなかった」ことについて、それがどうなっていれば良いか考えてもらいます。
初回ですので、おおむね
・笑顔が全然出せなかった→笑顔でお客様をお迎えしたい
・声が小さかった→元気な声で挨拶したい
のような基礎的な内容になるかと思います。
指導者側が「もっと笑顔出して」「もっと大きな声で!」と言うのは簡単ですが、
自分で考えてもらうことがポイントです。
心理学には「コミットメントと一貫性の法則」というものがあり、
簡単に言うと“自分の言ったこと、したことについて一貫性を持たせようとする”心理のことです。
「もっと笑顔出して!」と人から言われるより、「笑顔でお客様をお迎えします」と宣言させる方が実行率が上がるのです。
④アドバイス
ここでやっとアドバイスです。
ここでのポイントは相手が課題だと思っていることから伝えることです。
先程の例で言うと、「笑顔がない」「声が小さい」ことが課題だと思っているわけですから、どうやったら笑顔になるか、大きな声を出せるかをアドバイスします。
「マスクをしているから、ちょっと目を細めるだけで笑ってるように見えるよ」
「3テーブル隣の人に語りかけるようにイメージしてみて」
人は、一番自分のことに興味があります。
自分が気になっていることについてアドバイスをされることで
「自分のことを分かってくれた」「自分の課題を解決してくれた」と思って、今度はこちらの話を聞こうという気になってくれます。
カウンセリングやコンサルティングの現場でもいきなりアドバイスはしません。
クライアントが一番問題だと思っていることからアドバイスを始めます。そうしないとほとんどの相談者は、こちらの話を聞いてくれません。
相手が課題だと思っていることについてアドバイスを終えたら、やっとこちらからのアドバイスです。
コンサルティングの現場では「本当の課題」と言われることもありますが、飲食店の場合だとマニュアルや接遇マナーに照らし合わせてアドバイスします。
あくまでも“ダメ出し”にならないように、
「でね、更に良くするために~」というスタンスで話し始めます。
ダメ出しになるか、アドバイスになるかは話し方一つで決まります。
出来ているあなたが更に良くなるために、という姿勢が大事です。
そして背中を押して再実行、この流れになります。
まとめ~考える力を付けさせる大切さ
さて、本日はフィードバック手順として
①良かったところを伝える
②やってみた感想を聞く
③どうなっていればいいかを考えてもらう
④アドバイス
という流れをお伝えしました。
本題でも少し触れましたが、やはり教えていて感じるのは
「答えを与えられるのを待っている」スタッフが多いなと感じることです。
もちろん私も最初はそうだったし、何かのせいにするつもりはないです。
正解が分からない今の時代だからこそ、どうすれば良いかを自分で考える力がより求められると思うんです。
その力を、仕事の中で身に着けてほしい。
そして、自分で考えるって楽しいよってことも伝えたい。
お客様や一緒に働く仲間のためにどうすればいいかを自分で考えて、行動して、時には失敗もするけどそうやって自分にどんどんスキルと自信が身について、その分幸せに出来る人の数も増えていく。
それってすっごく楽しいことだよ、ということを教えたいなって思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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