部下の話を素早く整理する!相談対応のポイント
こんにちは。
㈱ヒューマンリソースマネジメント研究所
なつカウンセリングルーム 代表
土肥なつみです。
「人生を彩る居場所をつくる」を企業理念とし、
企業研修・カウンセリング・人材育成コンサルティング等を行っています。
私の自己紹介はこちらのマガジンをご覧ください。
今日は、マネジャー・管理職のお悩みで比較的多い
「部下からの悩み相談」について記事を書いていきたいと思います。
対面だけでなく、オンラインや電話でも対応が求められることがありますね。
悩み相談にだけ乗っていればいいのですが、マネジャー自身もたくさん仕事を抱えているので、この対応方法に頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。
部下からの相談を受けることが多い上司の方や社内で相談窓口を担当されている方だけでなく、職場で相談役や橋渡し役になっている方にも是非お読みいただきたい内容です。
(この記事を読み終わるまでの時間:約8分)
なぜ、話が延々と続いてしまうのか
突然かかってくる部下からの電話。
出てみるとちょっと浮かない声で
「あの…ちょっと今、よろしいでしょうか…?」
話を聞いているうちに、気づけば1時間経ち、2時間経ち…
「ちょっと」のつもりで出先で対応していたあなたは、だんだん立っている足が痛くなってきてソワソワ…
早く切り上げたいけど、でも話はちゃんと聞いてあげたいし…でもさっきから話が堂々巡りなんだけどな…
そんなことはありませんか?
なぜ、こんなことが起きてしまうのでしょうか?
カウンセリングの現場では、話が堂々巡りになってしまう理由として
相手が「“話を聞いてもらった”と感じていない」というものがあります。
聞いてもらったと感じていないから、聞いてもらいたくて何度も何度も同じ話をするのだそうです。
「え?じっと黙って聞いていたのに!?」
そう思う方もいるかもしれませんね。
はい。ただ黙って聞いているだけでは相手が“聞いてもらった”と感じないんです。
相手に“聞いてもらったなぁ”と感じてもらうには、カウンセリングで使われる「傾聴」という手法で話を聞くことが重要です。
具体的にどのようにすれば良いのか、今からそのポイントについてお伝えしていきます。
話を素早く整理するポイント
①簡単受容(非言語)
簡単受容とはうなずきやあいづちのことを意味します。
これらは、ただやれば良いというわけではありません。
“どのようにするか”が重要です。
話し言葉によるコミュニケーションである「言語的コミュニケーション」に対して、
ジェスチャー(身振り手振り)、姿勢、動き(うなずきや振る舞い全般)、表情、声のトーン(強弱や早さ、間)などのことを「非言語的コミュニケーション」と言います。
これが相手に与える情報量の大半を占めていることは「メラビアンの法則」でも証明されています。
皆さんは「ステイト」という言葉を聞いたことがありますか?
直訳すると『状態』や『ありさま』といった意味です。
神経言語プログラミング(NLP)ではステイトを主に『心の状態』を表す用語として用いられており、
アドラー心理学修士・メンタルコーチの平本あきお氏は傾聴の際、このステイトを相手が持つ1.3~1.5倍(-1.3~-1.5倍)にするのが良いと提唱しています。
相手が楽しい話をワクワクしながらしてきたら、自分はその1.5倍ワクワクしながら話を聴く。
そして相手が悩んでいる話を辛そうにしてきたら、自分はその-1.5倍辛いステイトで話を聴く。
こうすることで相手は「自分の話を聴いてくれた」「共感してもらえた」と感じると言われています。
私の体感ですが電話の場合は2倍くらい、
オンラインだと3倍、それに加えて画面にジェスチャーがしっかり映るように(驚いた時に口に手をあてる等)工夫する必要があります。
この非言語である「ステイト」を意識しながらうなずきやあいづちを入れてみて下さい。
②応答
相手が使った言葉をそのまま伝え返すことで
「あなたの言っていることを理解しましたよ」ということを示す“応答”という手法があります。
さらに、この応答は全部で3種類あり、それぞれに意義があります。
カウンセラーと相談者、双方の理解を確認できる「事柄への応答」
相談者の気持ちを注意深く聴きとり、それを伝え返す「感情への応答」
伝え返すことで、相談者は自分の言ったことを一度客観的な立場で聴くことが出来るという利点はありますが、多用することでただのオウム返しにもなってしまうこともありますので注意が必要です。
ここで、大切にしたいのが3つめの応答である「意味への応答」。
相談者の感情とその理由をカウンセラーが理解したということを相談者に伝え返します。
相談者が語る「事柄」や「感情」を結びつけ、そこに込められている意味を明らかにします。
③要約
相手が一方的に次々と話してきたり、話が堂々巡りになっている時に使うと効果的です。
いきなり要約すると少し責められているような印象を持たれてしまうので、相手が話したことを一旦受け止めてから要約に入るのがポイントです。
カウンセリングの現場では、一つの相談の中に複数のテーマが含まれていることがよくあります。
最初は仕事のことで相談してきたんだけど、話しているうちに
「実は妻も最近…」という流れになって、2つのテーマ(仕事と家庭)が一つの話の中に入っているような状態です。
この時も一度要約を入れて整理したり、この相談の中ではどちらの話をしたいか改めて質問したりします。
相談というのは基本的に話がまとまっていないので、聴きながら要点をうまくまとめて整理してあげると、それだけで相手の頭がすっきりする、なんてこともあります。
まとめ~どれだけ聴くか、よりどう聴くか
さて、今日は延々と続く部下の相談を素早く整理するポイントとして
①簡単受容(非言語)
②応答(事柄・感情・意味)
③要約
の3つをお伝えしました。
飲みミケーションがなくなり、1人1台のパソコンだけでなく携帯も支給される企業も増えてきて、職場に派遣さんやアルバイトさんの割合も増えてきた現代。
「会社に居ても孤独」と感じる社員の方が増えてきています。
更にコロナ禍でリモートワークも普及し、デスクに立ち寄ったついでにちょっと相談…といいうのも難しくなってきました。
あえて社内レクリエーションやミーティングの回数を増やしたりしてコミュニケーションを円滑に図ろうとする企業もありますが、平成や昭和ほどの時間を確保することはやはり出来ないのが現実です。
これからは「どれだけの時間話を聴くか」より「どう話を聴くか」という
量より質が求められてきます。
今日お話した内容は傾聴のほんの一部ですので、興味を持った方はこの機会にぜひ傾聴について学んでみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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