056 他者から始まる
人生とは変化に適応すること
哲学的に言えば「他者」とは自分以外のすべて
人も、社会も、時代も
そういう他者にどう適応するかが、ひとりひとりの本質的な課題だと思っている
適応したければ外に目を向けよう
なぜ「他者(相手、社会、時代など)」に適応できなきゃいけないのかと言えば、「他者」を無視したら生きていけないからだ
その際、大きな障壁になるのは「自分は正しい」という思いこみ(認知バイアス)である
それはたいがい無自覚で、得てして誰かとの衝突を招き、へたしたらケンカに発展することもある
いや、ケンカで済めばいいけど、極端な場合、戦争にまで発展することもある
だから思い込みは、意識して客観視し、ときどき科学的に検証し、常に更新し続けなきゃならない
そうしないと他者から共感されず、商売にもならず、ひいては生きるか死ぬかの問題もなってしまう
すべては「相手のある話」
「自分は正しい」という思い込みは、得てして「相手は間違っている」という思い込みに発展する
相手の半生・状況、興味・関心、知識・能力、可能性など、見えない部分(潜在性)を自分の思い込みで判断するとそうなる
これが「他者」に対する普通の反応かも知れない
そうならないために私は、世の中すべて「相手のある話」だと思うことにしている
少なくとも対話相手に対しては、彼の潜在性を何とか感じ取ろうと努力している
相手の心に響くのはけっきょく目的や理由
さて、対話相手の潜在性を感じ取ることが大切と書いたけど、それはこちらが一方的に努力すればいいのだろうか?
もちろん相手もこちらの潜在性を配慮してくれた方がよい
その際、簡単な方法として、こちら側の目的や理由をしっかり語ることが良いだろう
表面的な「事柄」しか語らないと、相手もこちらをヒトとしてではなく、「事柄」として扱ってしまう
でも、こちらから「目的」や「理由」を語るなど、人間臭い部分を見せれば、相手もヒトとして扱ってくれる可能性がある
私の内面にある「潜在的な可能性」などを感じ取ってくれれば、そこから人と人との関係が築かれるに違いない
傾聴とは聴くことではなく返すこと
「目的や理由を語るとよい」と書いたけど、注意点がある
それをするのは対話が始まってからだ
対話にもなっていないのに、いきなり目的や理由を語っても、厚かましい押し付けでしかない
そうならないためには、まず対話に入る必要がある
具体的には、相槌、うなずき、伝え返し、そして開かれた質問で相手の話を深掘りする
それを「傾聴」という
そして相手と目的が共有できそうだと感じた時、こちら側の目的や理由との接点を模索したらよい
お互いの共通目的が見つかったら、そこからが対話の本番である
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