見出し画像

040 日本人はなぜこんなに知的生産性が低いのか?

日本人の知的生産性はすごく低い。

信じられないかもしれないけれど途上国並みである。

平均IQが世界最高水準で、まじめで、子供のころから先進国環境で育っているにも関わらずだ。

この原因について色んな学者が様々な仮説を立てているけど、今のところ「複合的な要因が影響している」としか言えないみたいだね。

でも敢えてここでは「日本人の自己肯定感の低さ」が原因として話を進めてみたい。


日本人は知的生産性が低い

画像1

ご存じの人も多いと思うけど、日本の労働生産性はOECD38か国中28位である。

まあ、低いよね。

でも今更そんなに驚かないかな。

続けて製造業の労働生産性である。

画像2

おお、製造業はそれなりに健闘しているね。

全体が28位なのに対し18位だからまずまずだ。

・・・

って!これって見方を変えるとすごくヤバくない?

製造業がまあまあなのに全体が悪いってことは、製造業以外はボロボロってことだ。

特にGDPの7割を占めるサービス産業の労働生産性はすごく問題があることになる。

今や労働生産性=知的生産性の時代であると考えれば、日本のサービス業は、知的成果物を生み出す効率において諸外国の平均値よりも劣ることになる。

日本人の平均IQは世界最高水準と言われているのに、どういうことだろう。

世界の平均IQ(出典:https://brainstats.com/en/average-iq)

画像3

日本人は自己肯定感が低い

話は変わって、日本人の自己肯定感の低さについてまとめてみた。

下に列挙した沢山のグラフは『平成26年版子ども・若者白書』をコピペしたものである。

画像4
画像5
画像6
画像7
画像8
画像9
画像10
画像11

さて、とくに解説はいらないと思うけど、どうだろう。

何となくだけど、この自己肯定感の低さが、知的生産性の低さに連動しているような気がしてならない。

自己肯定感と知的生産性の関係ついて

上記のとおり日本人は自己肯定感が低い傾向がある。

自己肯定感という言葉は心理学者の高垣忠一郎が作った言葉なので、昨今、世界的に市民権を得つつある「中核的自己評価」という言葉に置き換えれば、「職務満足度」や「職務遂行能力」との関連を読み解くことができる。

下の図はJ. Bono, T. Judgeの研究結果である。

「中核的自己評価」と「自尊心」「自己効力感」「統制の所在」「神経症傾向」および「職務満足度」「職務遂行能力」との相関を現わしている。

画像12

このとおり、そこまで強い相関じゃないけど、中核的自己評価と「職務満足度」「職務遂行能力」は明らかに関係している。

なお、矢印横の数字は相関係数である。

相関係数は、0.7~1はかなり強い相関、0.4~0.7はやや相関、0.2~0.4は弱い相関、0~0.2はほとんど相関なしだ。

ちなみに「自尊心」「一般化された自己効力感」「統制の所在」「神経症傾向」の意味は以下のとおり。

中核的自己評価(Core self-evaluation)と関係の深い心理傾向
◆自尊心(Self-esteem):自分を好きか嫌いかの度合い。子供時代の環境、周りとの関係性、関係の質に変動する。遺伝的ではないと言われている。ローゼンバーグ(Morris Rosenberg)が提唱者の一人。

◆一般化された自己効力感(Generalized self-efficacy):「自信」とほぼ同じ意味。達成経験、代理経験、言語的な励まし、生理的情緒的高揚、想像的体験、他人から認められることにより変動する。バンデューラ(Albert Bandura)が提唱。

◆統制の所在(Locus of control):自責か他責かの度合い。物事に対する意味付けで変動する。ロッター(Rotter J B)が提唱。

◆神経症傾向(Neuroticism):ストレス耐性のこと。遺伝の影響が大きい。パーソナリティ特性の分類法であるビッグファイブの一つ。

ここまで考察してきたけど、どうやら日本人の知的生産性の低さは、自己肯定感(中核的自己評価)の低さと関係が深そうだ。

知的生産性と精神的な健康の関係は、心理的安全性、ワークエンゲージメント、ポジティブ・メンタルヘルスなどでも言われていることなので、特段驚くことじゃない。



さて、結論だけど、日本人の知的生産性の低さについては、経済学、経営学、社会学などのアプローチで色んな説があるけど、ここでは自己肯定感(中核的自己評価)の低さが原因であるとしたい。

問題は、「じゃあどうしたらいいのか?」だけど、できることは後天的である「自己肯定感のアップ」と「自責と他責のバランスを取ること」である。

この2点を考慮した経営支援により、仕事そのものの楽しさを引き出すことができ、働き手ひとりひとりの内面に「働く意味」が出来上がり、知的生産性アップにつながると考えている。

『自律型組織をデザインする』好評発売中!!



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?