039 フリーランスと自律型組織が増えればみんなが元気になる
現在、キャリア自律が自己実現の条件になりつつある。
これは遠い未来の話じゃなく、フリーランスの増加やリモートワーカーの増加という形で、徐々に現実化している話だ。
下のグラフはランサーズが発表した「フリーランス実態調査 2021」の結果である。
このグラフを見る限り、コロナ禍によってフリーランスが増えたと言える。
もちろん、会社が人材を抱えられなくなり、否応なしにフリーランスにならざるを得なかった人も少なくないだろうけど、いずれにしてフリーランスが増加したことは間違いない。
続けて、東京一極集中の時代が終わりつつあることをお伝えしたい。
下のグラフは、東京都の住民基本台帳を基に三菱UFJリサーチ&コンサルティングが作成したものだ。
ちょうどコロナ禍の時期から、東京都の転出入動向が明らかに変わっている。
この転出入動向が示唆していることは「働く場所はどこでも良い」という価値観の現れだ。
リモートワークと副業は関連が大きいと言われているけど、そうだとしたら、先ほどのフリーランスの話と同様の傾向を感じる。
もはや収入を得る方法は様々で、働き方は自分で選択する時代になったということ。
おそらく、VUCAと呼ばれる「激動の時代」では、このやり方が一番適応するんだろうね。
大きな「仕組み」に頼るより、「自分の技量」や「仲間との信頼関係」の方を重視した方が確実ってことだ。
人生100年時代の生き方
もはや国や会社は個人を守ることができなくなっている。
今はかろうじて国も会社も個人を何とか守ろうとしているけど、ここから先は相当厳しくなる。
まず、年金は期待できない。
にもかかわらず何割かの人間は100歳まで生きてしまう。
これはもはや他人事じゃない。
おそらく「80歳くらいまで働くしかない」しか答えはないと思う。
「そんなの無理!」
と言ったところでどうしようもない。
脳と身体が動く限り、できれば80歳、少なくとも70歳くらいまで経済参加し続けなきゃまともな老後を送ることはできないし、日本経済も持たない。
これは私だけが言っていることじゃなく、リンダ グラットン とアンドリュー スコットが著した『LIFE SHIFT(ライフ・シフト) 』という本に詳しく書かれている。
ちなみにリンダグラットンは内閣府の「人生100年時代構想会議」の顧問にもなっているので、この本に書かれていることは、外国人の学者が書いた他人事の話なんかじゃなく、我々にとって切実な話なのである。
働き手すべてにDXへの適応が求められる時代
さて、問題は80歳まで働かなくちゃいけないことじゃなく、いくつになっても時代に適応しゃなきゃならないことである。
一番ハードルが高そうなのは第4次産業革命への適応だ。
AI・ロボット、DXにUXに…。
・・・
「またDXの話か…俺には関係ないね!」
と他人事のフリをしたところで、オールドビジネスは駆逐され、時代に適応できなければ失業者になってしまう。
関係ない人なんかいないと思う。
じゃあどうしたらいいのか。
一番単純な方法はフリーランスになることだろう。
「ちょっと待てよ!」
「話が飛びすぎじゃね!?」
って声も聞こえてきそうだけど、勤めていた会社がなくなったら、それしか方法は無くなる。
現に先ほどグラフで示したとおり、すでにフリーランスは増加の一途だ。
だとしたら、ほとんどのサラリーマンは次の問いを考えた方が良い。
まあ、そんなに深刻になる必要はない。
新しい時代には新しい時代なりの生き方があり、今の基準で考えるほどのものではない。
考えようによっては楽しい時代の幕開けだと思う。
あなたの専門性は何ですか?
話を元に戻す。
「もしフリーランスになったらどうやって食っていけばいいのか?」を考える際、ある程度経済の基本を知る必要がある。
まず思考実験だけど次の問いを考えてもらいたい。
想像力勝負の問いだったかな。
「誰にも頼らず」を極端に解釈したら「原始時代」である。
原始時代には分業らしいものは無く、しいて言えば、男は狩り、女は木の実の採取くらいだった。
もし、そんな時代に現代人が迷い込んだらどうなるだろう。
どんなに頑張っても原始時代以下の生活になるだろうし、ほとんどの人は一冬越せないと思う。
そう考えれば現代の裕福さは異常に思える。
一人じゃ絶対作れない立派な家に住み、様々な服を着、うまくて多彩な食べ物を食べている。
この裕福さのために、どれほどの分業細分化が行われているのか…
それを考えると気が遠くなる。
でも、これが現代の高度分業体制なんだよね。
フリーランスを志す方は、このことを踏まえた上で、次の問いに答えてもらいたい。
難しい問いだったかな。
自分の生活を見渡してみても、目の前にあるスマホの部品一つの作るのでさえ相当のハードルを感じてしまう。
溢れかえったモノの中の1000分の1にも満たないスマホの部品ですら一人じゃ太刀打ちできない。
スマホ部品はものづくりの話だけど、それ以外の分野だって高度に分業化されている。
娯楽、知的な満足、安心感、充実感、生活の彩りなど、全部分業によって行われている。
フリーランスには求められていることは、これら高度細分化のうち、何を商売にするかである。
当然、やりたいこと、できること、求められていること、3つのバランスを取る必要がある。
つまり、得意なことで勝負しなきゃならない。
フリーランスは自律型組織でこそ活躍できる。
フリーランスに対するハードルを上げてしまったかな。
でもまあ、そんなに難しく考える必要はない。
今までのフリーランスは高度なスキルの持ち主が多かったかもしれないけれど、これからのフリーランスは必ずしもそうじゃないと思う。
フリーランスの数が多くなれば、世の中もそれに合わせてフリーランスの生きやすい環境になるものだ。
とは言ったものの、やっぱりいきなり裸一貫で生きようとするのは得策とは思えない。
まずは自律型組織で働くことを考えたらどうだろう。
別に正社員というわけじゃなく、年間契約でも、アウトソーシングでもいいから、何らかの形で関われば良い。
自律型組織とは、経営理念(ミッション・ビジョン)を中心に、貢献意欲とコミュニケーションで成り立っている組織のこと。
そこではフリーランスの活用も進んでいるんだよね。
自律型組織には明確なミッション(存在目的とも言う)があるので、自分に合った組織を見つけやすいし、高度専門的な人材でなくても「主体性」さえあれば貢献できる。
正社員・限定正社員・契約社員・パートナー、どれを取るかも自身のキャリアプランに合わせて選べばよい。
これらを考慮すれば、自律型組織がフリーランスにとっての拠り所になる可能性は十分にある。
フリーランスと自律型組織が増えればみんなが元気になるとしたのはそういうことだ。
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